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69. Anotherstory.5 ~【隣で輝き咲く一輪花】現在~

69. Anotherstory.5 ~【隣で輝き咲く一輪花】現在~




 あたしの目は真っ赤になっているかな?鼻も真っ赤になっているかな?あのあと、あたしは高校生にもなって大声で泣いてしまった。本当に不安でいっぱいだったからだ。そして結愛先パイが迎えに来てくれた安堵感もあったから。


「飲み物買ってきたわよ。」


「ありがとうございます。結愛先パイ。」


 結愛先パイが冷たいお茶を買ってきてくれた。あたしはお茶を一口飲んでから話すことにする。


「結愛先パイ……ごめんなさい。あたし……すごく不安で……だって紗奈さんとあたし全然違うし……本当にあたしの事好きなのかなって……思っちゃって。」


「そう……。」


 あたしの話を聞いて結愛先パイは無言になる。なんで……否定してくれないの?すると結愛先パイは優しく抱きしめてくれる。ギュッ…… 温かい……。


「大丈夫よ凛花。あなたは私の大切な人だから。私はあなたが大好き。それにあなたの言葉を借りると中学生の私と今の私は違うから。信じてほしいわ。」


 結愛先パイに抱きつかれて温かくて、安心したせいかまた涙が出てきた。でもさっきまでとは違う涙だ。とても温かい涙だ。あたしが落ち着くと結愛先パイはある提案をしてくる。


「せっかくだし、今日は凛花の家に泊まろうかしら?ご両親に挨拶もしてないし。」


「ええ!?あたしの家ですか!?狭いし汚いですよ!」


「ふふっ。そんなことないでしょ?ほら許可をとって?こんな暗くなって帰りに私が襲われたらどうするの?」


 それからお母さんに連絡したら、何も考えずに許可が出た。緊張する……あたしの家なのに……。しばらく歩きあたしの家に着く。家に入るとお母さんとお父さんが玄関で待っていた。


「ただいま~……えっ!?」


「おかえり。あらいらっしゃい。あなたが部活の先輩の。いつも凛花がお世話になってます。」


「小鳥遊結愛です。突然申し訳ございません。少し遅くなってしまいまして、帰るのは危ないとのことで、凛花さんのご厚意を受けることにしました。よろしくお願いします。」


「すごい美人さんだな。礼儀正しいし、凛花お前も見習え。凛花が何かしたらいつでも言ってください。」


 お父さんがそう言うと結愛先パイは微笑む。結愛先パイ……すごい別人に見えますよ……。そのあとは夕食を食べ、お風呂に入り、今はあたしの部屋にいる。


「ふーん。ここが凛花の部屋かぁ。すぅー。はーっ。凛花の匂いがするわね?」


「やめてくださいよ!変態ですか結愛先パイは?」


「そうね。普通だとは思ってないわよ?」


「開き直らないでくださいよ……。」


 結愛先パイはなんかいつもと違う。なんだろう?こう無邪気でテンションが高い?そんな感じ。


「オモチャとかないのかしら?凛花が使ってるやつ。」


「ないです!そんなの!それにひとりでなんてしませんし!」


「あなた、声大きいわよ?いいの?」


 ああっ……そうだ。今はあたしの家だった。ううっ……。結愛先パイはクスリとしてベッドに座っているあたしの隣に来る。そして肩に手を乗せてくる。ビクッとするけど、優しい手つきで頭を撫でてくれる。


「今日はごめんなさい。不安にさせて。」


「いえ……。あたしもすいませんでした。結愛先パイのこと疑ってしまって……」


「凛花は悪くないわ。悪いのは私だから。ごめんなさいね?これからはもっとあなたの気持ちを考えないといけないわね。」


 結愛先パイはあたしのことをずっと心配してくれていたんだろうな。きっとたくさん悩んだはずだよね。それなのにあたしは……。


 ギュウゥゥ 気がつけばあたしは結愛先パイに抱きついてしまっていた。結愛先パイは何も言わず、そのまま受け入れてくれている。あったかい。安心する。結愛先パイのことが好きだ。結愛先パイじゃなきゃダメなんだ。


「あの結愛先パイ。なんで急にあたしの家に泊まるなんて言ったんですか?」


「あなたを1人にしたくなかったから。それと好きな人の家に行きたいと思うのは普通のことじゃないかしら?」


「結愛先パイ……ありがとうございます。あっ。だからいつもより少しテンション高いんですね結愛先パイ?」


「えっ?そんなに行動に出ていたかしら?恥ずかしいわね……。」


 結愛先パイは頬を赤くしている。可愛い……。ああ……もう好きすぎるよぉ。あたしはそんな結愛先パイに言う。


「そういえばこの前のスピーチ大会のご褒美もらってません。」


「何がほしいのよ?」


「結愛先パイがほしい。これからもずっとずっとあたしのものだから。」


「凛花……でも私はもうあなたのものよ?ずいぶん前から。凛花が私のこと好きって気持ちより、私の方が凛花のこと好きじゃないかしらね?」


 その言葉が嬉しい。あたしが結愛先パイを好きな以上に結愛先パイはあたしを好きでいてれくれる。それが嬉しくて仕方がない。


「さてもう寝ましょうか。明日も学校だしね。」


「あっそうだった!結愛先パイ、エッチなことしないでくださいよ?あたしの両親いるんですから。」


「ふふっ。それフラグかしら?」


「違いますよ!おやすみなさい!」


 結愛先パイの体温が心地よい。これで今日のことは忘れられる。あたしと結愛先パイは同じ布団に入って眠るのでした。

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