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「アレンたちのステップアップ」

 「私も!“水魔法 聖水付与”」


 藤原が追撃にと、通常時よりも威力が数倍増した水魔法を放つ。その魔法攻撃には「聖水」が付与されていてモンストールには特効である。胴体に撃ち込まれ、その体がジュウウウと音を立てて溶けていく。モンストールは激痛を感じてるのかジタバタ藻掻いていた。

 しかしまだ反撃の意思があるようで、まだ消滅していない腹の口が胎動するのを確認する。また毒を吐くようだ。


 「させるかよ」


 「瞬神速」で接近して、超音速のつま先蹴りを下から叩き込む。それにより強引に口が閉じられてうめき声を上げる…ていうかこの腹の口って声出るんだ。まあいいや。

 その隙に、再度「連繋稼働」を展開。今度は決める!

 右足に体重を乗せて軸を通す。右腕→腰→体幹→左腕へと繋げていき力を増加・加速させていく。最後に左手を貫手にして、相手の胴体に力いっぱい突き刺す!

 「絶拳」の貫き手版。名付けて、


 「絶槍ぜつそう


 腹の口にぶっ刺して背面にも大きな穴を空けてやる。蛇の化け物は今度こそ動きを止める。完全に絶命する前にこいつの肉を喰い千切り、「過剰略奪オーバードーズ」する。ある程度喰らってから炎熱魔法で焼却して…決着がついた。俺が肉を喰らっている様を見た藤原は引いていた。


 「それが君が言っていたレベルを凄く上げる方法…。肉を食べることで経験値と固有技能を奪う能力なんだね…」

 「ああ。ともあれこの蛇化け物は終わった。んー経験値が以前よりもの凄く入ってくるとはいえ10しか上がらないか」


 厄介な相手だった。毒をもつ敵がここまで面倒で手強いとは。ま、これでその厄介だった固有技能は俺のものになったが。手に入れた技能は、

 「王毒」に「毒耐性」 これで俺に毒攻撃が効かなくなった!



 とはいえ、戦いはまだ終わっていない。まだ二体残っている。一体はアレンたちが相手している。そしてもう一体は…


 「っ!藤原、右か左かへ回避だ、思い切り走れ!」

 「え!?分かったわ!」


 言われた通りに右へ回避行動を取る。直後、藤原がさっきいたところに砂で出来た大剣が勢いよく突出してきた。俺が何も言わなければ串刺しになってたな。「未来予知」が役に立ったな。


 「危なかった…!そうだ、まだ一体残っていたんだった」


 藤原は再び戦闘態勢を取って地面を警戒している。


 「いや、俺が奴をここへ引っ張り出してやる。藤原、障壁を張っておけ、全力で」

 「え……うん、分かった」


 藤原が言われた通りに「魔力防障壁」を展開したのを見た俺は大地魔法で地中へ潜る。中にあのモグラは見当たらない、だが想定内だ。ああいうちょろちょろ動き回って引きこもるモグラには地上へ出て行ってもらおうか。両側に小さな空間をつくってその中に手を突っ込む。両手には炎熱と重力の複合魔法。巨大な火の玉を出してその外側に重力の膜を張る。そのまま圧縮して火の玉を手のひらサイズにまで縮める。ギリギリと音を立てて今にも飛び出しそうだがまだ溜める。限界まで重力で縛ること約5秒。限界ギリギリで火の玉を左右に放つ。

 その直後、粉塵爆発など目じゃない規模の超爆発が起こった。


 “スーパーノヴァ”


 火の玉を重力の膜で圧縮して飛ばし、その反動で通常の何倍もの威力を発揮するオリジナル魔法だ。ゲームの知識でどんどんオリジナル魔法がつくれるね!


 で、超爆発の効果を見るべく地上へ出て上から見ると凄い光景だった。

 俺がいる近くの地が砂漠と化していた。地中の土が大量に出てきた影響だろう。地面にはさっきの余熱が残っているみたいだ。陽炎が漂っている。藤原は……無事だな。あからさまにビックリした顔をして地面を見ていた。で、肝心のモグラは…いた。丸焦げになってるな。腕も一本消し飛んでる。


 「藤原、止め!」

 「あ、うん!“光炎砲メギド”」


 藤原の杖から光と炎熱の複合魔法、巨大な砲撃が放たれる。光と炎の砲撃は、モグラモンストールを消し飛ばした。


 「弱っていたとはいえ、Sランクモンストールを消し飛ばすとは。めちゃくちゃ強くなってんな藤原。“限定強化”か、凄まじい固有技能だ」


 魔力を使い果たしたのか、「限定強化が解けて通常時に戻った藤原は膝をついて息を乱している。


 「はぁ、はぁ……発動時間はまだまだ短いみたい…。もっと持続できるようにしなきゃ。でも、初めてSランクモンストールを討伐出来た……!」


 大物を仕留めたことに藤原は疲弊しながらも喜びを嚙みしめていた。これで二体。残りは……アレンたちが相手している山椒魚の奴か。まだ戦闘中のようだな。近くへ行くか。もしあいつらがヤバくなったら俺が入って終わらせよう。あいつらの成長を考えると余計かもしれないが仕方あるまい。


 「あんたはそこで息を整えてから国王どもの護衛でもしてな。俺はアレンたちのところへ行く」

 「……分かったわ!アレンちゃんたちをよろしく!」


 まだ息が整っていない状態のまま藤原はそう返事する。俺は颯爽とアレンたちのところへ移動した。



                  *


「次、左方からきます!センさんガーデルさん対応してください!その後右側ががら空きになります!そこに魔法攻撃を!


 カミラっていう軍略家の指示通りに皆が動く。「限定進化」して体が大きくなったセンとガーデルはそれぞれ攻撃という名の防御でモンストールの攻撃を防ぐ。そして言った通り、右側が隙だらけとなった。


 “黒雷閃華こくらいせんか

 “神通力”


 そこに同じく「限定進化」したギルスが闇と雷の複合魔法を、ルマンドが「神通力」をそれぞれ放って攻撃する。モンストールは悲痛のような叫びを上げて暴れ出す。

 カミラが分析した通り、あいつは物理防御はあっても魔防は弱い。ギルスとルマンドが大活躍している。

 でも二人だけにいいところは渡さないよ!


 「アレンさん、さらに隙が出来ました!雷の鎧を纏って攻撃して下さい!」

 「分かってる!“雷電鎧エレク・アーマ”」


 私は全身に鎧を纏ってモンストールの胴体に接近して、拳闘武術を叩き込んでいく。


 “金剛撃こんごうげき

 “裂け爪”


 一つ目は拳で、二つ目はクローで攻撃する。一つ目よりも二つ目の方がダメージが大きいように見えた。物理攻撃でも斬撃性には弱いらしい。なら、鎧をさらに鋭くして……!


 「っ!ぐう……っ」


 いつの間にかモンストールが態勢を立て直していて、その反撃をくらってしまう。巨大な鞭を思わせるムカデ脚の一撃は凄く重く、胴体の骨が折れてしまう。が、まだ戦える。


 「アレン、大丈夫!?」

 「うん、まだいける。拳闘術でいくならあいつには斬撃性の攻撃が効く。次は鋭い攻撃で攻めていく」

 「なるほど。なら私とガーデルもそれで行きましょうか。ギルスとルマンドみたいに魔法が使えない私たちでも、それなら行けるかも!」


 センが私の作戦に同意してくれる。ガーデルとも足並みを揃えてモンストールへ攻撃に出る。まだまだこれから――!





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