脳のリミッターの解除率を、今の500%から1000%へとさらに外す。
「ま、これくらいで行けんだろ」
漲ってくる力を手で掴み、足で捉える。掴んでいる「これ」を…捉えている「これ」を、奴に全部ぶつけてやるよ。
「こっちはもういいぜ。来いよ」
そう言葉をかけるがミノウは何も応えない。
「………死ネ」
ただ殺意を込めた言葉だけを呟いてから、全ての触手を同時に動員させる。四方八方から一斉に極太の「魔力光線」が飛んでくる。
「せぇーーーのっ!!」
向かい来る四つの光線をギリギリまで引き付け、一点になりかけたところで俺の攻撃を放った。
“
諸手突きを放つと同時に、その両手に込めていた嵐属性と重力属性の魔力を全開で放った。さらに諸手突きを繰り出す際に「連繋稼働」も発動していたから威力は通常の数十倍だ。
その結果、何もかもを破壊する最強の衝撃波が完成した。
属性魔力を纏った状態での武術。その技術をさらにものにしている。精度も威力も以前よりさらに強化されている。
しかし、「魔力光線」の攻撃はこれで終わりではない。すぐさま第二波がとんできた。百近くもある触手があるんだ。一回で終わるわけないよな。
「分かってた。だから、対応できる!」
さっきと同じようにギリギリ引き付けて、一点になったところであらかじめ溜めておいた属性武撃を、再び繰り出した。
「波ぁ!!」
ドン!!
第二波となる光線の束を同じように消し飛ばす。
さらにまた、第三波がくる。俺もまた同じ技を繰り出す。
「波っ!!」
威力は全く同じ、正面から光線の束を力で打ち破る。
まだくる、第四波だ――同じように破る。第五波も――――破る。
(ゾンビだから、魔力が無限なんだ。だから無限に魔力を熾せる、纏える、撃てる!)
第六波、第七波、第八波……何度来ようと同じ諸手突き&衝撃波の合わせ技で悉くぶち破ってやった。
そしてようやく「魔力光線」の嵐が途切れた隙をすかさず突いて一気に駆け出し、眼前に生えている触手二十本程を、「身体武装硬化」でつくりあげた刀で一気に切断して殺す。
それでもまだまだ大量に残っている触手どもは、ミノウ本体のところへ向かい、奴に取り込まれていく。
取り込まれていくことでミノウの体に異変が生じる。だんだん巨大化していき、気が付けばSランクモンストールすら踏み潰す程の超巨大な化け物と化した。
「あ~~……テメーらの世界じゃ知らないことなんだろうけど。
戦いの終盤で巨大化するのは………」
俺の発言を待たずにミノウは爆音のような咆哮を響かせながら、超巨大な両手をハンマーのように固めて振り下ろしてきたから、俺は話すのを中断して武の構えをとる。
迫りくる振り下ろしの一撃を、躱すことも防ぐこともしない。
受ける―――!
ド……ッ
頭で受けて――
(いくぜ―――)
全身の筋骨のフル稼働を開始する!打ち込まれた瞬間、前方へ体を回転。その間受けた攻撃のダメージエネルギーを、頭→首→胸→腹・背→腰→左脚→左足へとパスしていく。
ミノウにくらわされた振り下ろしの一撃のダメージエネルギーは今、左足に全て集まっている。加えて自身のパワーも乗せて、全身全霊を込めた
「―――負けフラグなんだよ!」
ゴキャアアッッッ!!
耳を劈く破砕音が鳴り響く中、振り下ろしてきたミノウの両腕が粉々に砕けて壊れていた。
『ギャアアアアアアッ!!』
腕を破壊されたのがよほど痛かったらしくミノウは断末魔の叫びを上げる。
何はともあれカウンター技成功せり…だ。
「そういやこの技に名前はまだなかったっけ。そうだな……」
苦悶の絶叫を上げているミノウの前で、保留にしていたカウンター技の名前を今決めることにする。名は……
「――“
中国に伝わる四神の霊獣の名を使わせてもらう。技名ってのは自分が分かりさせすれば良い。わざわざ他人・敵に内容を予測させるような技名はつけない方が良い。「玄武」ならどんな技なのか誰にも予測されないからちょうどいい。あと何か響きも良いし。
「さて……仕上げといこうか」