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第37話 再会

「……倉田……倉田 優姫?」

 すると、線路沿いで泣いていたボクに話しかけてきた人物がいた。ボクを憐れんだ誰かが声を掛けてくれたんだろうか。ボクはゆっくりと顔を上げる。

「君は……」

「芹那、菊野 芹那。サークルで話したの、まだ覚えてるでしょ? 何してんの? こんな所で」

 芹那……あのサークルで1度だけ会話した、いや絡んできたあの女の子。相変わらずの金髪で、鋭い目付きでボクを見下ろしている。

「別に……っ、何も……」

「何もって顔じゃないけど。何メソメソしてんのよ」

 泣きじゃくっているボクの顔を見下ろし、芹那はそう言う。確かにこの顔で何も無いと言うのは無理がある。

「……」

「まぁ、何でも良いけど。ねぇ、暇ならちょっと付き合いなよ」

 そう言うと、芹那はボクの返答を待たず片腕で車椅子を押し始める。

「え、ちょっと!」

「別に何もしないわよ、ちょっとお喋りするだけ」

 そして芹那は自販機でコーヒーを2人分買って、最寄りの公園へとボクを連れて行ってくれた。


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