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第11話 魔法少女? いえ、冒険者です

お〜だいぶステータス変わったぞ。E級ダンジョンに1回来ただけでこんなに向上してるんだし、久後さんや紗夜さんはとてつもない数値なんだろうなぁ。


 改めて確認するか。


「ステータス」



名前 戸波 海成

階級 E級冒険者

職業 武闘家

レベル 35


HP 440/440

MP 44/44


攻撃力 79

防御力 79

速度  79

魔攻  44

魔坊  44


マナポイント 142


▼スキル(残りポイント2070)

【不屈の闘志】 【鑑定 Lv 1】

【身体強化 Lv 6】 


よしよし、ここに来た時とは段違いに成長してる。きっと今ならこのダンジョンもクリアできるぜっ!


 ちなみに【鑑定 Lv 1】には200ポイント、【身体強化】に関してはLv1で10ポイント、Lv 2で20ポイント、Lv3になると40ポイントというように倍々システムになっていた。


 こうしてスキル獲得も終わったことだし、とりあえずさっきの通路に戻りたいところだが、何かヒントがないとどうしようもない。


「どう? 気が済んだ?」


 うおっ! びっくりしたっ!

 急に声をかけられると心臓に悪い。

 そしてその声は前でも後ろでもない、上から聞こえてきた。


 俺はゆっくりと声のする方へ視線をやる。


 そこには宙に浮いた魔法少女がいた。

 それこそまさに○リキュアである。

 10歳くらいの見た目に綺麗なブルーの髪色で肩に届くかどうかというショートヘア、露出の少ない青ベースのフリフリドレスを着ており、自分の身長と同じくらいの杖を持っている。

 魔法少女にチームがあるのなら彼女の担当カラーは青色ってとこだろう。


「ちょっと! 返事しなさいよ!」


 あ、色々考えていて無視したみたいになってしまった。


「あ、ごめんね? 君は一体何者なの?」


 すると彼女はため息混じりに、


「え!? もしかして瑠璃から聞いてないの?」


「いや、何も」


 俺は首を横に振った。


 何これ、瑠璃が関係してるのか?


「はぁ……。そっちが大変なのも分かるけど、一言くらい説明しててくれたらよかったのに……」


 何やら瑠璃に対して小言みたいなことをブツブツと言っているようだ。

 彼女はそのまま続けて、


「アタシはアイリーン! ネクサリウスからきた冒険者よ。職業はこう見えて魔法使いなのっ!」


 何やら彼女は自慢げに胸を張っているが、どう見ても魔法使いだけど?

 いや、それよりもネクサリウスってどこ!?

 なんとなく地名からして発展してそうだし、アメリカの方だろうか。


「自己紹介ありがとう! 俺は……」


 アイリーンは俺の言葉を遮るように、


「知ってるわっ! 海成でしょ? 武闘家の」


 もう知ってるんだな。

 あと武闘家って言われるのなんでだろう、あんまり嬉しくないんだけど。

 あ、ハズレだからか。


「そうだけど? まぁまだ冒険者のこと自体何にも知らないんだけどな」


「みたいね。だからアタシが呼ばれたのっ!」


 そう言ってアイリーンは宙に浮いている自分の身体を地上まで降ろし、俺の前までやってきた。


 こんな小さな子でも瑠璃と知り合いということはおそらく冒険者関係だろう。

 宙に浮いてたし……。


 しかしこの子の口ぶり、もしかすると何か教えてくれるかもしれないな。


 そう思って、


「つまり瑠璃から何か任されたのか?」


「ええ、あなたに冒険者のことを教えるようにってね!」


 アイリーンはそう言って話を続けた。


 彼女の話を要約すると、


 レベルラビットに触れることで、冒険者の力を手に入れることができる。

 冒険者になるとダンジョンへの入口に繋がる異次元空間が視えるようになる。

 ダンジョンはS級からE級まで存在し、S級ダンジョンを突破できるものは極わずか。

 ダンジョンを攻略するとダンジョンへの入口が塞がれる。

 逆に攻略失敗したまま放置しているとダンジョン内のモンスターが外に出たり、一般の人がダンジョンに迷い込むこともある。

 すなわち、そうならないために冒険者がいる。


 そういうことらしい。

 実に分かりやすい説明だった。

 これで俺はこのE級ダンジョンで何をするべきかなんとなく分かった気がする。


「どう? 分かった?」


「あぁ分かりやすい説明だったよ」


「そりゃそうよ、アタシが今まで何人の冒険者を育ててきたと思ってんのっ!」


 アイリーンは鼻高々にそう言った。


 いや冒険者育てたって君10歳くらいじゃないの?って思ったが、話していると大人びている感じもするし、そうやって自慢げに言うところは子供っぽい可愛さもあるし俺の中では謎が深まっていく。


「へぇすごいなぁ」


「ちょ、ちょっとあんた信じてないでしょ?」


「え、顔に出てた?」


「あーやっぱり!? ひどいっ! まだ伝えなきゃいけないことあるのに。もう教えない!」


 アイリーンはそう言って、体ごとそっぽ向いてしまった。


 いや、子供かっ!

 おもちゃ買ってくれなくて拗ねる子供かっ!


 ますますこの子のことが分からないな。

 ただ……大事な情報を持ってるのには間違いないんだ。

 謝る理由もない気がするけど、仕方ない。


「アイリーン、ごめんな? 俺が悪かったよ。だからさ、さっき言ってた伝えなきゃいけないこと教えてくれよ」


 よし、どうだアイリーン!

 俺の今まで磨き上げてきたこの謝罪スキルの威力は!

 ジリジリと効いてきているはず……。


「え~もう仕方ないなぁ……。じゃあ話すっ!」


 ほら効いた――っ!

 まぁ年頃の子どもなんてこんなもんよ。


 心の中ではその年頃の子どもよりはしゃいじゃっている俺を差し置いて、アイリーンは話しを始める。


「海成……あなたが倒すべき敵なんだけど、レベルアップコーポレーションの社長だからよろしく!」


「え、なんて?」

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