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第14話 この強さこそ冒険者の醍醐味だ

 果たしてこの数のコボルトと親玉を同時に相手できるのかと、そんなことを思っていたが、どうもコボルトロードの方はその場に座り込んでいる。


 そして何体かのコボルトがボスの元へ行き、手当のようなことを行っているみたいだ。

 あれは手当というか……まぁそうなんだけど、魔法みたいなものを使っているような。

 それはキラキラしたものに包まれて傷口がみるみるうちに塞がっている。よくゲームでみる『ヒール』ってやつか。


 一方、こちらはコボルト部隊の残党が処無しに突っ込んできていた。


 くっそ、一体一体は大したことないのに、大人数になるとここまで厄介とは……。


 しかしありがたいことに、一体を吹き飛ばせば、後ろにいた数体も巻き添えになる。

 このやり方を活かしながら、なんとかダメージを最小限に抑えることができた。


 HP 162/350


 それでもこの数相手だ。

 さすがにノーダメージというわけにはいかず、HPも半分を切ってしまった。

 まだ半分近くのコボルトが残っているのにだ。


「これやばいなぁさすがに。ステータスさん、なんとかならんかね〜」


 (……では《ネクサリウス型レベルラビットからの贈り物》を使用しますか?)


 あれ、なんとなしに呟いた言葉にこのAIさん反応してくれたのか。

 そしてなんかアイテムっぽいものを勧められている。

 あ〜たしかレベルラビットの報酬かなんかでもらったんだっけ。

 となれば怪しいものではないはず。

 よし、ものは試しだ。


「よし、ステータス! その贈り物、使うぞ」


 (《ネクサリウス型レベルラビットからの贈り物》を使用します)


 《鑑定 Lv 1が鑑定眼 Lv 1に進化しました》


 《隠蔽 Lv 10を獲得しました》


 《スキルポイントを獲得しました》


 《武闘家からマジックブレイカーに無条件で昇格できます。実行しますか?》


 なんだ、武闘家が進化するのか?

 なんにせよ、強くなるなら大歓迎だ。

 もちろん答えは決まっている。


「ステータス、答えはYESだ!」


 (かしこまりました)


 すると、何か強い光に全身が包み込まれて……ってこんな無防備な状態なのにコボルトがめっちゃこっち向かって来てんだけど!?

 変身中は攻撃して来ないって小さい時仮面ライダーとか魔法少女的なもの見て学んだよ?


「「「ガウウウ」」」


「やばい、やられるっ!」


 (パッシブスキル《自動反撃》を発動します 敵が多数のため攻撃スキル《|疾風烈波《しっぷうれっぱ》》を発動します)


 なんだ、身体が勝手に……。

 なぜか拳を前に突き出したかと思えば、前方広範囲へ鋭利な爆風が吹き荒れた。

 もちろんそれに巻き込まれたコボルト部隊は一体残らず、切り刻まれながら吹き飛んでいった。


 おぉ、これが攻撃スキル。なんだか分からないが勝手に事が運んだ。そして、事態に遅れて通知が鳴り始める。


 《武闘家からマジックブレイカーに昇格しました》


 《専用パッシブスキル【自動反撃】を獲得しました》


 《専用パッシブスキル【魔力吸収】を獲得しました》


 《専用パッシブスキル【 貯蔵 Lv 1】を獲得しました》


 《専用攻撃スキル【アークスマッシュ】を獲得しました》


 《緊急時のため、攻撃スキル【疾風烈波】を獲得しました》


 《レベルアップしました》


 《レベルアップしました》


 よし、なんとか生き延びたぞ。レベルも上がったし、スキルも増えた。


 そして、ちょうどコボルトロードの休息も終わったようだ。


 あれ?唱えていないのに、やつの情報が視える。



 コボルトロード L v 29  HP 1055/2090 MP 35/35 


 《スキル》

 【群れの放流】 【咆哮】 【主の剣撃】



 しかもさっきより情報が明確だ。なにしろHPが視えるってのがありがたい。


 向こうも戦闘状態に入っており、いつでも襲えるぞといった格好をしている。よし、いつでも突っ込んでこい!


 そんなことを思っていると、


「ガーーーーーーーーッ!!!」


 今回の咆哮は今までと違い鋭く、それはまるで斬撃かのように具現化して飛び交ってきた。


「うわっ! まじか!」


 そんな時、またしても自らの身体に異変が起こる――

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