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第30話 朗読会

【20時手前】

「太一が彼氏のように寄り添ってくれるなら…学校に行っても良いかなぁ……みんなから妬まれちゃったりして〜♪…なんてね(笑)」


水族館の帰りの電車内で「仲良しでいたい。出来たら一緒に卒業したい…」とは言われた亜沙美だが、決して正式な男女の為の告白を受けた訳ではないのだが…

水族館が楽しかったのか?ラブホテルに一緒に入ってテンションが上がっているのか?学校生活を都合の良いように考えている亜沙美


「テレテレ〜テッテーテーン!」

20時を告げるアラームが鳴った。亜沙美が好きなロールプレイングゲーム【ドルコンクエスト】のレベルアップ音をタイマーセットしていた


「やっば!配信開始1時間前だ。準備始めないと…【ドルコンクエスト】は配信では成立しないかなぁ?動きの少ないゲームだからなぁ…約束してた今日の朗読会で、落ち着いた配信でも需要があるのか?試してみようっと…」




【21時】

「皆さん!こんアミーゴぉ!AA(ダブルエー)VTuberの浅宮アミでーす!待っててくれたかな?」


✱「待ってたでー」

✱「こんアミー」

✱「アミーゴ」

(同接150人ちょいか…駆け出しのVTuberにしては上出来だよね?良し!頑張ろう!)


ライブ配信を生で見てくれている人が150人居る。という事なのだが、その数字が駆け出し個人勢の新人VTuberとしてはどうなのか?その辺を分かってない亜沙美だが…

(学校で言えば…5クラス分の人が私の配信をわざわざ見てくれてる。って事だもんね…うん、頑張らなくちゃ!)

その数を素直に有り難いことと捉え配信を続ける亜沙美



「それでは今夜は約束通り、朗読会をしようと思います。気持ち入れて読むから、少し退屈でもお付き合いくださいね」


✱「頑張れ」

✱「何用意したん?」

✱「いつでも付き合うぞ」

✱「布団の上なら付き合う」


「ちょい、ちょいΣ\(゜Д゜;)。エッチぃのダメよ〜。えー、それでは…【本当は怖い白雪姫】の朗読を始めます」


✱「ソッチできたか」

✱「エグい系」

✱「聞いた事ある」

✱「アミちゃん好きなん?」


「やっぱり興味持って聞いてもらいたいじゃない?だから少しひねった物を、と思って選んだんだよォ」


軽い前説を終えた亜沙美は朗読を開始した



「王子様は部下に死んでいる白雪姫の入った棺を担がせ、城に持ち帰って愛し続けよう!としましたが山道の途中、部下が木の根に足を取られ棺を落としてしまいました

その拍子に白雪姫の喉に詰まっていた毒リンゴの欠片が吐き出され、白雪姫は目を覚ました」


✱「なんだ、Kissしねーのか」

✱「改編酷いんだな」

✱「死んでる白雪姫愛すとか王子サイコパス」

✱「予想してたんとちゃうんな」


「本当だねぇー。ここまで読んできたけど…だいぶ作品のイメージ違うね。死んでるのに愛される。って嬉しいのかな?それとも…怖くて少し引いちゃうのかな?」


✱「死体愛好家はなぁ…」

✱「その先はどうなるか」

✱「アミちゃん。良い声や」

✱「アミちゃんなら死んでてもOKっす」


「そして、白雪姫は醜い心の王女様に仕返しを実行しようとします。王女様は必死になって赦しを請おうとしました

けれども、その時にはもう人々が石炭の火の上に、鉄で作ったうわぐつを乗せておきましたのが、まっ赤に焼けていました

それを火ばしで部屋の中に持ってきて、悪い王女さまの前に置きました。そして、むりやり王女さまに、そのまっ赤に焼けた靴をはかせて、たおれて死ぬまで踊らせました。終

………………………………思ってたよりエグいねw」


始めて【本当は怖い白雪姫】を読んだ亜沙美は、既に知っていた白雪姫との内容の差に驚きを通り越して呆れていた


✱「散々意地悪されたら仕方ないな」

✱「ドッチもドッチな」

✱「撃って良いのは撃たれる覚悟が…だな」

✱「アミちゃん悲鳴聞かせてよ」


「悲鳴は出ないったらぁ…」


✱「読んで欲しい小説があるねん」


「そうなの?どんなお話?…官能小説とかはNGだよ!」


✱「【小説家になろう】サイトに連載中のファンタジー小説」


「あー、ソッチ系ね。ライトノベルって奴よね。ファンタジーストーリーなら良いよ。タイトルは何?教えて、調べるからさ」


✱「ようこそ幼い嫁候補たち」


【本当は怖い白雪姫】を読み終えた亜沙美は、アミーゴのリクエストに応えファンタジー小説を読み始めるのだが……実はあまり女の子に読ませるような内容じゃないのが含まれているのだが…何も知らない亜沙美は、ソレを読むことにした




続く

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