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第53話 憧れの女性

【名古屋駅】

下呂市に泊まり飛騨高山の観光を終えた3人。旅の中で色々とありはしたが、貴重な経験も出来たようだ。亜沙美たちは三重県に帰るため、乗り継ぎになる名古屋駅まで戻ってきた


「私って…本当バカだなぁ…はぁ…」


素顔を晒さないVTuberにとって、身バレは最大級のMissとしか言い様がない!それを…始めてから半月のうちに、太一と梨香の2人に早速バレた(バラしてしまった)亜沙美は、三重県行きの特急電車を待っている間ひたすら落ち込んでいた


「あの…亜沙美さん。私は絶対に誰にも言わないと誓いますから…そんなに落ち込まないでください」


「あ、ありがとう梨香さん……でも、VTuberにとって身バレは厳禁なのに…引き籠もりしてたうえに…こんなにドジだなんて…私…」


流石に自分の愚かしさに落ち込む亜沙美に対して梨香は…


「落ち込む事でも、恥じる事でも無いと私は思いますよ。むしろ成功すれば仕事に出来ることに、高校1年生のうちから取り込んでいる事は誇って良いと思いますわ!」


(私、てっきり亜沙美さんはお父様の死から立ち直れずに居る、手を差し伸べてあげないと自力では立ち直れない人かと思っていましたが…侮れませんわ。私も精進しなくては!)


梨香は亜沙美が心配してるような、秘密をバラして歓喜する低レベルな人種でもなく、どんな相手でもその人の良さを見付けて尊重できるタイプだった………それ故に亜沙美にとって強いライバルだ!とも言えるのだが…


それでも今回の旅行に出るまでは…不登校気味で言いたいことも上手く言えない少し情けない人か?と思っていたが、苦手な人混みにもついて来たり彼女なりの努力する姿勢が見れたので、梨香の中で少し評価は上がっていた




【亜沙美の部屋】

「はぁぁぁ……やってもうたなぁ…どーして私ってば、こんなドジなんかなぁ…んもぅ!」


太一の誘いに乗って、人生で初めての家族以外の旅行に望んだ下呂&飛騨高山ツアー。それも何とか終えられそう…ってところで痛恨のミスをしてしまった亜沙美


「梨香さんは絶対に人には言わない!って言ってくれたから、太一の仲の良い親戚だし信じても良いと思うけど……どっちにしても私、もっとシッカリしないとなぁ…」


太一は人の秘密を暴露して楽しむような奴は大っ嫌い!な性格であることは理解している亜沙美。太一本人の口から親戚の女の子から影響された。と聞かされた事を思い出していた


「アレって…梨香さんの事なのかな?……だったら良いなぁ……それにしても今夜の配信の準備もしないとなぁ…」



正直、知り合ったばかりの梨香を加えての旅行は、引き籠もり気味の亜沙美には高いハードルだった。ましてやゴールデンウィーク序盤で、観光客でごった返していた飛騨高山は、更に亜沙美を疲弊させていた

しかし、それでも今夜の配信時間はあと2時間後に迫っていた。急いで、旅行中に取った写真をPCにアップロードする。それと買って帰った土産を、部屋からアレコレ身バレしないように慎重に撮影し、それもアップロードした



【20:05】

今夜の配信開始まで1時間を切っていたが…


「ぬあああぁぁぁ!!駄目だぁ!テンションが上がらないよぉ!ぐぬぬぬぬ…」


流石に色々とあり過ぎて、メンタルを消耗し過ぎた亜沙美は配信に向けて精神集中が出来なくて悶(もだ)えていた


「(*'へ'*) ンー。困ったなぁ…」


特に何が有る訳でもないが、困りきってしまうと意味もなく周囲を見渡すクセがある亜沙美の目に、とあるVTuberのフィギュアを見付けた



【桜 巫女】

大手VTuber事務所に所属している。その箱の初期のメンバーであり、本来なら応募して合否を受ける手順なのだが…彼女は数少ないスカウトされたVTuber


「はぁぁぁ…私も巫女さんみたいに、普通にゲームしてるだけでも笑いが取れる才能が有ればなぁ………そうだ!最近、巫女さんの配信見てなかった。久しぶりに見てみよう!」


桜 巫女はリアクションと赤ちゃんトークに、斜め上のPONをナチュラルに噛ます大人気のVTuberのひとりで、亜沙美がVTuberを始めてみよう!と思わせたくれた彼女の心の中の師匠なのだ!


「へぇ!巫女さんアクションゲーム苦手なのに、こんな3D格闘ゲームなんてするんだ。本当にめげずに努力し続けてるんだなぁ…凄いなぁ…」


亜沙美はVTuberを始めるキッカケをくれた憧れの人の配信を見て、今夜の配信に向けてのやる気を向上する事ができたようだ!

亜沙美は尊敬するVTuberの配信を見て元気をもらい、自分の配信に向けてのテンションアップをしていた




続く

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