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第104話 女たちの駆け引き

【押忍バーガー店内】

「さっきは…いきなりでごめんなさい」


スポーツジムを後にした梨香と太一は、帰りにハンバーガー屋の【押忍バーガー】に寄っていた


「えっと…あれは…本気なのか?」


自然有機野菜をふんだんに使っているハンバーガーの為、値段は他所のハンバーガー屋より高いのだが…ヘルシーなので固定客はそれなりに居る


それとバイトではなく正社員になるとカッコ良い番長服を支給されて働ける。そこに魅力があるようで人員不足に悩まされていると聞かないお店だ。そんな店内の隅の席に座り話している梨香と太一


「もう、酷いですわ太一君…私(わたくし)凄く勇気を振り絞ってしたんですのよ…なーんてね(笑)でも、恥ずかしかったのは本当ですのよ」


「ちょっと梨香さん!?…ドッチなんだよ!俺をからかったりしてないよな?」


梨香にしては珍しく、自分から太一をからかう様な小悪魔的な表情を魅せた

(くっ!?なんて可愛い顔を!!)


普段、滅多に魅せない梨香のイタズラっぽい表情は最近、亜沙美に付き合うことが多かったので、ある程度異性に対して免疫が付きつつあった太一のハートをブチ抜いた!!


「そ、そんな可愛い顔してたら…俺も、本気になっちまうぞ。良いのかよ?」


「も、もちろん良いですわ。そう思ってなかったら…あんな事は出来ませんわ…」


(女って本当に小悪魔なんだな…あの真面目な梨香でさえ、こんな表情を魅せてくるんだからな…)


(はぁはぁ…一大決心をして大冒険した甲斐がありましたわ。太一君に私の気持ちが届いたみたいですし♪)



「ねーねー、あそこの2人ってカップルじやない?」

「うわー初々しいね!まさか初デートだったり?」

「見てよ!2人とも顔赤くして話してるじゃん♪」


2人の横を通り抜けて行った他校の女子生徒が、梨香と太一の様子を見てキャッキャしながら眺めて行った


「………あはは。少しはしゃぎ過ぎちゃったかしら?」


「別に…気にしなくても良いさ…」


見知らぬ同年代の話題のタネにされて赤面する梨香と太一。だが、2人とも今の感じに心地よい気持ち良さを感じていた


「ね、ねぇ太一君。明日さ…」


「ちょっと待ってくれ……スー、ハー…あのさ梨香!明日、俺と遊びに行こうぜ。梨香の行きたいとこがあったら俺、付き合うよ」


「本当に!?…ん、じゃあ明日までに考えておきますね……明日の10時に太一君の家に行きますね」


「来てもらって良いのか?」


「うん。いつも太一君が来てくれるから、遊びに行くのって大体私の家の近所になるから…たまには違う所に行ってみたくて…ね?」


「そうか、分かったよ♪」


Kissを梨香からされた太一は、明日のデートの誘いまで受け身になるのは避けたかったので思い切って自分から誘ったのだが、親戚同士である2人は昔から知る仲なので割と上手く話が進んだ


「じゃあ太一君。明日10日ね」

「おう!待ってるよ!」


2人の家は3kmほど離れている。太一と別れてから梨香はバスに乗り帰宅した。太一は自転車に乗り明日のデートに想いを馳せながら帰宅した




【スポーツジム】

「あっ!太一、帰ってる」


「そりゃーね。先に帰って、って言ったからね」


「うん、そうだよね。じゃあバスで行こうか?」


パソコン周りの事を教えてもらいつつ、今日撮影した動画をオフコラボ配信する為の打ち合わせもする。その理由でロミータを家に誘った亜沙美だが…ロミータの理由はソレだけではなかった




【亜沙美の家】

「はい、どうぞ。上がって」


「お邪魔します。へー、ここが亜沙美の家なのね。良い家じゃない…今この家で1人暮らししてるんだ。そっかぁ…ふーん…」


「あっ!( ̄▽ ̄;)あんまり部屋、綺麗にしてないけど勘弁してね」


「平気X2。さ、案内してよ!」


「ガチャ」

玄関の鍵を開けロミータを家に入れる亜沙美。配信者をしていると、ついつい部屋の中は配信用の道具などで散らかりやすいので、それをロミータに見られるのを恥ずかしいと感じている亜沙美だが…ロミータも同じ配信者。なのだが…




【亜沙美の部屋】

「お邪魔しまーすっ!……うわっ!?これは確かに散らかってるわね…掃除してる?」


同じ配信者とはいえ、ロミータは綺麗好きの梨香の影響もあって極力、不必要な物は断捨離する癖がついていたので…ロミータから見れば亜沙美の部屋の散らかり様は相当なレベルだった


「一応、月イチで掃除してるけど…私あんまり得意じゃなくて、その…」


「もう…仕方ないわね。まずは部屋の片付けしましょ!かろうじて床は見えているけど…打ち合わせとかするのには問題よ?…それにホコリっぽいのは身体に悪いからさっ!」


予想に反してロミータは、かなり自分の部屋を綺麗にしているんだな。と理解した亜沙美


「でも…手伝ってもらうのは悪いよ。初めて来てもらったロミータちゃんに…」


「この部屋の中で打ち合わせする方が苦痛よ?掃除や片付けはそんなにキライじゃないし…それに亜沙美はロミーの大切な友達!ってさっきも言ったよね?だから問題ないわ…晩ご飯で手を打ってあげる」


本人が言うように、確かにロミータは掃除や片付けを苦痛に思わない性格なのだが…


(ふふふ。それに片付けを手伝うのを免罪符に亜沙美の部屋の中を隅々(スミズミ)まで見る絶好の好機(チャンス)だもの♪…ベッドの下とかにエッチぃマッサージ器とか落ちてたら…ソレを使ってまたアミー水を拝む好機(チャンス)になるかも知れないわ(笑))


大好きになった亜沙美への善意の気持ちと同居して、亜沙美に対してエッチぃ悪戯をして…もっと亜沙美の可愛い姿を観たい!と考えているロミータ


亜沙美は話が悪い方向に転がると、見に危険を及ぼしかねない危ない友達を誰も居ない(助けも来ない)マイホームに招き入れてしまった事に気が付いていない


ロミータの来訪は亜沙美にとって、どんな事態を招いてしまうのだろうか?




続く

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