【亜沙美の部屋】
「ちょ、ちょっとロミーちゃん…ソレを視聴者にプレゼントだなんて…嘘だよねぇ?」
✱「いやいや、それはアカンて」
✱「駄目だよアミ」
✱「やるよねロミーちゃん」
✱「燃えてきた!」
✱「アミー水は俺がもらう!」
さっき一緒にお風呂に入った時に先に亜沙美を入らせた湯船から、小さめの水筒を使い お湯を入れていたロミー。缶ジュース1個サイズの【アミー水】が入っている
「あのねぇアミ!配信者として人気になりたいんでしょ?…だったらラインのギリギリを攻める配信もたまにはしないと、凡人止まりになるのよ!そういう業界なのよっ!」
✱「せやなぁ…( ˘ω˘ )」
✱「ロミーちゃんが正しい」
✱「流石やでロミー」
✱「配信者は厳しいよな」
✱「良い企画だ」
自分の汗が染み込んだ湯を提供するなんて恥ずかしい事は、恥ずかしがり屋の亜沙美が自主的にやれるハズのない事だ
「(> <;)むうぅ…ロミーちゃんが言うんだから…そうなんだね…でも、誰に提供するのか?どうやって決めるの?」
「今夜遊んでいた【パリピカート】を今から3回プレイしましょ!それで3回とも5着以内に入った人が貰える!ってのはどうよ?」
「ヾ(ヽ0Д0)ェエエ工ー!!むり、ムリ、無理だよぉ!私が視聴者とやって3回とも5着以内なんて出来るハズないよー!」
視聴者との勝負が盛り上がるようにと、時間を作っては練習していた亜沙美だが…視聴者参加型のゲームはコレだけではない!
なので上手い視聴者(アミーゴ)と戦って上位争いするなんて、今の亜沙美には到底無理な話だった
「ねー、ロミーちゃん!お情けください!お情けをー!!アミ負けちゃうよォ…」
✱「見苦しいで」
✱「必死やなw」
✱「女に二言は無いよ」
✱「俺たちは求めている!」
✱「腹を括れ」
このままプレイしたら、絶対に条件を満たせるハズが無い!と確信している亜沙美は、ロミーの服を掴んで彼女を揺すり懇願した
「わ、分かったわよっ!んじゃー……アミだけは3回8着以内に入れたら最優先でゲット出来る!って事でどう?」
「ん、んー…分かった…!?でもさ、参加者の中で2人が3回3着以内に入ったらどうするの?」
「そーね〜…1位を多く取った方よね。じゃあアミ、参加型用の枠を作ってよ」
「うん、分かった…」
ロミータの提案により、3回行うレースで3回とも5位以内に入った者の中で、1番成績が良かった者が【アミー水】をゲット出来る事にした。亜沙美だけは特別に8位以内を3回取れたら、優先的にゲット出来るようだ
「おぉ( ゜o゜!)アミ、凄いわよ!同接人数が1万人を超えてるわよ!!」
「(; ꒪ㅿ꒪)ええっ!?…もしかして全員がアミー水を狙っているって事なのぉ??」
「そうみたいね…ほらほら!チャンネル登録者も500人以上増えてるわよ!良かったわねっ!」
「うぅ…嬉しいんだけど…あんまり嬉しくないよぉ…」
✱「アミの鳴き声うまうま」
✱「もっと鳴いて」
✱「アミ可愛いよ」
✱「登録者オメ━( ´∀`)━!!!」
✱「良かったやん」
いくらコラボ配信とは言え、こんな内容で増える視聴者の数には素直に喜べない亜沙美だった
「甘いこと言ってないの!数は配信者のチカラなのよ!喜びなさいなっ!」
(くくく♪実はこのルールだと…ロミーが1番有利なのよね〜!さっきまでの練習でロミーが亜沙美に負けるハズが無いのは既に確認済みだし、参加者にどれだけ上手い人が居たとしても…参加者は10個しかない参加枠に3回連続でインする幸運も必要なのよねー!…貰ったわ!大義名分を得てロミーが【アミー水】をゲットするのよっ!!)
いかにも公正なルールを決めた。かのように思われたが…実は絶対に参加出来る配信者の2人が圧倒的に有利なのだ!しかも、ロミータが亜沙美に負ける要素が見当たらないのも既に確認済みである!
……………………………………………
「うぅぅぅ、ロミーちゃん部屋作ったよ…」
「部屋の名前が無いわよ…そうね…【アミー水争奪戦】にしましょ♪ふぅ!腕が鳴るわっ!」
「( ̄▽ ̄;)なんでそんなにヤル気出してんのよぉ…もぅ……」
✱「(๑˃̵ᴗ˂̵)و 来い」
✱「やったるで」
✱「マジで貰えるのか?」
✱「後から無しは聞かないからな」
✱「俺の腕魅せたる!」
✱「明日の試験は捨てて、ココは勝つ!」
まさかのホンマモンの【アミー水】ゲットChance!に興奮する視聴者(アミーゴ)たち。だが!最有力候補はロミータだというカラクリに、この時はまだ誰も気が付いていなかった
「( -᷄ω-᷅ ) 部屋番号(ルームナンバー)は891542だよ。この番号を打ち込んで入ってね…」
「ねぇアミ。その番号は何か意味あるの?携帯のパスワードとかじゃないわよね?」
✱「マジでか?」
✱「メモっとこ」
✱「(; ・`д・´)ナン…ダト!?」
✱「何か秘密が?」
無造作に発表した6桁の番号に、何か私生活で使っているパスワード?と心配するロミータ。「それは本当か?」と一瞬でメモする視聴者(アミーゴ)たちだが…
「違うよぉ…好きなVTuberの名前からモジっただけで、初めて使うパスワードだから安心して。って視聴者(アミーゴ)たち、何必死にメモってんのよぉ!信じらんないっ!!」
✱「あ、ごめん」
✱「ウソウソ冗談」
✱「手が勝手に…」
✱「仕方ないやん」
✱「アミのこと好きだから」
変な期待をして即行動している視聴者(アミーゴ)たちに呆れてしまう亜沙美。と、言ってる間に【アミー水争奪戦】の部屋(ルーム)は一瞬で12枠が満席になっていた
「さて、勝負よアミっ!」
「うぅぅぅ、自信ないよぉ…」
✱「負けんぞー!」
✱「俺がもらう!」
✱「アミー水!」
✱「やった入れた!」
✱「マジかよぉ!」
✱「入れんかったー」
✱「アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水、アミー水……」
取り敢えず枠内に入れたことに喜ぶ視聴者(アミーゴ)も居れば、入れずに嘆いている視聴者(アミーゴ)もたくさん居る。同接人数から考えて1度でも入れればラッキーと言えるのだが…参加者の1人に異様に【アミー水】ゲットに燃える視聴者(アミーゴ)が居た
果たして【アミー水】はロミータの目論見通りに彼女(ロミータ)がゲットするのか?それとも大番狂わせが起きるのか!?いよいよ【アミー水争奪戦】が始まろうとしていた
続く