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第143話 新学期の亜沙美たち

【バスの中】

今日の1時頃に寝た亜沙美とロミータだったが、6:30過ぎには目を覚ました亜沙美は1人で1階に降り身支度を済ませてから、簡単な朝食を用意しまだ降りて来ないロミータを起こしに行った


……………………………………………


「そう言えば亜沙美、今朝は早起きだったわね。日付けが変わってから寝たのに、よくあんな早い時間に起きられたわね…おかげで助かったけど?」


「何言ってるのよぉ!ロミータちゃんが私に抱きついてきて寝苦しかったから、仕方なく目が覚めちゃったんだよぉ!」


「そうだったっけ?ごめんね〜(笑)」



亜沙美の家のスグ近くのバス停に、毎朝バスが8時前にやってくる。バス停までは徒歩で5分。バスに運ばれること約10分


バスは亜沙美たちが通う学校の目の前に止まってくれるので、毎朝7:50に家を出れば学校に遅刻しないのだ


「ロミータちゃんと一緒に登校できるなんて新鮮だし楽しいなぁ♪…そだ!なんなら一緒に住んじゃう?…いや、ソレは危険かなぁ?なんてね。あはは♪」


「そんな嬉しいこと言ってくれたら…本当に亜沙美ん家に住み着いちゃうよ♬…でも危険って何よ!?普通のスキンシップじゃないっ!」


ロミータは朝方、恥ずかしがり屋の亜沙美が中学時代のアルバムを見せてくれた真意を汲み取っていた


(ありがとう亜沙美。慰めてくれたのね♬)




【学校前】

「おはよう亜沙美!」

「あれ?ロミータさんと一緒なの?」


2人がバスを降りると同じクラスの仲の良さそうな生徒2人が、亜沙美たちに声を掛けてきた


「そうなのよ!最近、亜沙美と仲良くなっちゃってさ、お願いしてお泊まり女子会させてもらっちゃったんだ♬」


「う、うん。そうなの…」


父親が中学3年になってスグになくなり、今年の5月まで引き籠もりガチだった亜沙美は、同じクラスメイトでも上手く話すことはまだ出来そうにない。ソレに亜沙美とロミータは、みんなには内緒でVTuber活動をしている仲間だ。知っているのは梨香と太一くらい


しかし、純粋無垢な亜沙美に自由に話させていたらウッカリVTuber活動してる事を言いかねないので、ロミータは亜沙美の監視と保護をすると決めていた


「そうなんだ。てっきり太一君と付き合うのかなー?って思ってたけど、違うみたいね」

「喧嘩しちゃったとか?」


「∑(๑ºдº๑)ち、違うよ!太一とは別に付き合いしてたとかじゃないし…昔からの知り合いってだけで…」


「そーなのよ!これからはロミーが亜沙美の恋人なのよっ♪」


「へー…ドッチが男役なのよ?」


「そりゃロミータさんでしょ。亜沙美ちゃんは引っ張るよりも絶対に、引っ張られる側だもん!」


「ꉂꉂ(´▽`)まあ、そうなっちゃうわよね♬」


「( ̄▽ ̄;)あはは…」


亜沙美とロミータが2人仲良く歩いている姿を見たクラスメイトたちは、亜沙美が太一と付き合う。もしくは付き合っている。という噂が流れていたので、ロミータと一緒に登校してきた事に驚いていた




【ホームルーム前】

「ねぇ亜沙美。今度はいつ泊まりに行って良いの?」


「えっと…週末は大体予定が無いから、ほとんどいつ来てもらっても構わないよ」


「そうなの?じゃあ今週末も行っちゃおうかな?」


元々、亜沙美の容姿や仕草の可愛らしさに好きになったロミータだが昨夜、何気ない視聴者(アミーゴ)の相談コメントに昔の嫌な事を思い出して気落ちしていた自分(ロミータ)に、果物を出してくれたりアルバムを見せてくれたりして、元気付けようとしてくれた亜沙美の優しさに感激してしまい、彼女(あさみ)への愛情が更に膨らんでいた


気分が高揚して仕方ないロミータは、クラスでも目立って亜沙美との会話を楽しんでいたのだが…


「ロミータさん、亜沙美さん!もう先生が来ますよ!ロミータさん、そろそろ自分の席に戻ってください!」


亜沙美のクラスの中での席位置は前から3列目で、ロミータは後ろから2列目の位置なので少し離れている為、今朝校門で話しかけてきたクラスメイトの女子に頼んで席を借り、亜沙美と向かい合わせで話していたロミータ


良い加減にホームルームが始まるから、自分の席に戻るように梨香に注意されたのだが…


(梨香さんとロミータさんって、もっと仲良い感じじゃなかった?)

(そうだよね。むしろロミータさん、亜沙美ちゃんと凄く仲良くなってるよね?)

(ロミータさんと梨香さん、喧嘩でもした?)


引き籠もりで4月は不登校だった亜沙美。5月からは学校に来るようになった経緯もあり、一時期話題の中心だった。そんな亜沙美を気遣う優しくも、少し厳しいクラス委員長でスタイル抜群の梨香


そんな梨香の家にホームステイしている、イングランドからやって来たロミータ。この学校に外国人が居るのは珍しいので、ロミータも学校の有名人なのだが…その彼女は梨香と凄く仲が良い!というのが夏休みに入るまでの話だったのだが…


夏休みが終わり新学期になって彼女たちの関係が、大きく変わっていた事に気付いたクラスメイトたち

その噂はスグに学校中に知れ渡った。何せ3人は色々と目立つ存在だからだ




【昼休み】

「ご馳走様でした」


「ありがとうね亜沙美。ロミーの分までお弁当作ってくれてさ。本当に助かったわ♬」


ロミータは亜沙美と向き合って弁当を食べる為に、朝話したクラスメイトに頼み席を譲ってもらい、亜沙美と楽しく昼ごはんを済ませていた。そこへ…


「ロミー。少し話があるんだけど、今良い?」


「梨香?…うん、少しならね。亜沙美、ちょっと行ってくるね」


「あ、うん。行ってらっしゃい…」


昼休みは60分あるのだが、昼休みに入って20分が過ぎた頃、ロミータがお弁当を食べ終わるのを見計らっていた梨香が声を掛けてきた


その梨香と一緒にクラスを出て行くロミータを見送った亜沙美は、自分の分とロミータの分の弁当箱を綺麗に片付けていた。そこへ…


「ねぇねぇ亜沙美ちゃん!ロミータちゃんとすっごく仲良いじゃん!」

「何があったの?教えてよ〜」

「何かあったんでしょ?何なにナニ!?」


「えっ、ええっと…梨香ちゃんに紹介されてロミータちゃんと遊ぶようになって…何だか凄く気に入られちゃったみたいで…」


「うっそー!?ロミータさんの亜沙美ちゃんへの感情ってさ、見てたら気に入った友達に対して程度には全然見えないよ!」

「それにさ、仲良かったハズの梨香さんとロミータさん。何かギスってない?何かあったんだよねぇ?」


「えっと。それは…なんて言ったらイイのかなぁ…」


ロミータが心配していた通り、引き籠もりしていた亜沙美はロミータ、梨香、太一以外の人間にはコミュ障気味の会話しか出来なかった


しかし、女3人男1人の関係が夏休みを境に大きく変化していたのを目の当たりにしたクラスメイトの女子たちに、激しくツッコまれ回答に困る亜沙美だった




続く

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