目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第187話 アミビーム

【竹取家の夜】

時刻は22時を回っていた。いつもなら22:30で配信終了するのが亜沙美のスタイルではあるのだが、今夜はロミータとイーグルをゲストに迎えての温泉旅行の振り返り配信の為、終了時刻は23時を宣言していた


「……………………………………………」


(まだまだ配信時間終わらないから、チークキス受け入れないと駄目だよねぇ…)


終了時間が近ければウヤムヤにして逃げる手も考えられたのだが…まだ50分近く残っているので覚悟を決めた亜沙美


「(*´³`*) ㄘゅ♪」


「ウギギ…」


「は、恥ずかしいよぉ…」


✱「おお!聞こえた」

✱「吸い付くような音した」

✱「ほっぺた?まさか…」

✱「キスしたんかアミ、俺以外の奴と」

✱「てぇてぇんだって」


「ん〜アミのほっぺた柔らかいのね♪今度は唇にしてみたいぞ!」


「ふざけんじゃないわっ!それに今、かなり唇近くにキスしたでしょーよっ!!」


間近で2人のキスを見届けたロミータは、頭から煙が出ているかのように怒っている。どんな時でも配信者目線を忘れないイーグルは、ワザと亜沙美の頬を強めに吸って、キスした音が配信上に乗るようにやったのだ


「もお〜めちゃくちゃ恥ずかしぃだけどぉ!」


配信中にチークキスされた亜沙美は顔を真っ赤にしている。そんな彼女の表情を見て萌えあがるイーグル


「か〜、マジで可愛いなアミは。これは本気でロミーから奪っちまうか!?」


「ざけんなイーグルっ!!」


本心なのか?配信のためのリップサービスなのかるイーグルはロミータを挑発するセリフを吐いた


「あ、あのイーグル先輩。ところで、ロミーちゃんの暴走の理由は、どうでしたかぁ?」


「あっ!?そ、そうね…」


イーグルがどのような返答をするのか?気になる亜沙美もロミータも彼女を凝視した


「うん。アミちゃん可愛過ぎ❤︎あんな顔魅せられたら、そりゃ女でも頭ピンクになっちまうな(笑)」


✱「やっぱりな」

✱「戦犯はアミ」

✱「見てみたい」

✱「良かったねロミーちゃん」

✱「せやろな」


「Σ(*oωo艸;)えぇ!?アミが悪いのォ?」


「でしょ、でしょ!」


イーグルの発言により、ロミーがセクハラスキンシップが多くなってしまうのは、アミが可愛過ぎるから仕方ない!という事になってしまったw


……………………………………………


「はい、今夜も視聴者(アミーゴ)の皆さん2時間見てくれてありがとうね♪楽しんでもらえたかな?…少し納得できない話もあったけどォ…」


時刻は間もなく23時になろうとしている。基本コラボ配信というものは、参加してくれた相手の都合があるので決められた時間に終わるのが暗黙の了解である


今回は亜沙美の家に3人揃ってのオフコラボなので、全員が合意すれば延長も可能なのだが…


「ねぇロミー。アミには年末参加必須の為の準備をするように伝えてある?」


「年末の為の準備って何ですかぁ?」


「あっ!ごめんなさい、言い忘れてたわ」


配信も終わり間際、突然イーグルから振られた話に覚えのない亜沙美。ロミータが何か伝え忘れていたようだ


「毎年恒例なのだがな、スタジオで【カウントダウン・リレーライブ配信】をするのだ。当然お前たち2人も東京に出向いて歌うことになるのだがな…」


「へぇー、そうなんですね。年に1回は東京に行かなくちゃイケないのかぁ…」


「違うわよアミ。夏も水着配信があるから年に2回は東京に行くのよ。ロミーも毎年年2で東京に行ってるわ」


「そうなんだ…」


亜沙美はロミータが仕事で、年に2回も東京に行ってる事を今初めて知ったのだが…


「本当はね、もう少し出て欲しいのよ?例えば、同じ箱内のライバー周年記念のライブ配信に3Dでゲスト出演して欲しいとかあるからな」


「えぇ!?そうなんですか…」


「と言ってもね、地方在住のロミー達のような在学中の内は最低2回で許されているわ」


どうやらコンサートプリンセスは、ライバーの都合を考慮して色々と条件を譲ってくれているようだ


「ところでアミの歌唱力はどの程度なんだ?知っておきたいから今からカラオケでも行くか?」


「それでしたら、我が家には狭いですけど防音室が有りますので、今から歌いますか?」


「Σ( ˙꒳˙ )何!?デビュー仕立ての癖に防音室を持っているのか?凄いなソレは…」


それは以前の空き巣被害の対処を服部に頼んだ時に、慰謝料として彼が知り合いの業者に頼み施してくれたのだ


「あんまりカラオケ行ってないから、そんなに自信はありませんけど…」


✱「聞きたい」

✱「アミの歌聞いたことないな」

✱「声は可愛いから…」

✱「アイドル系が似合いそう」

✱「聞かせて欲しい」


「ねぇアミ。アミーゴ達が今聞かせて欲しいって騒いでるわよ?」


「えっ?やだよォ、恥ずかしいし…」


「ふむ、ソレも良いな。今からアカペラで良いから軽く何か歌ってみろ」


「えぇ!?そんなぁ…」


アミーゴ達からの多数のリクエストで、防音室ではなく自室で今から歌うことになったアミ



「……好きになーって、もっと♪恩返しは〜愛のこもったアミビームでね〜♪…どうでしたか?」


✱「うん、可愛い」

✱「そこそこ?」

✱「アミの恩返しはアミー水だろ」

✱「せやなぁ…( ˘ω˘ )」

✱「下手で良いからアミー水な」


「ヽ(`Д´#)ノ ムキー!調子に乗らないの!」


「上手いな…と言っても学生レベルでは、だ。近くに歌唱塾とか無いのか?ボイトレしないと企業枠でのレベルには、少し厳しい感じだぞ?」


「確かにね…今から防音室で特訓ね♪」


「えぇ!?本気ですかぁ……はい、分かりましたぁ。それじゃ視聴者(アミーゴ)たち。そう言う訳で今夜の配信はここまでねぇ、アミは今から防音室で2人にシゴかれてきますぅ…」


✱「乙アミー」

✱「お疲れ様」

✱「頑張って」

✱「アミー水でもええんやで」

✱「乙アミーゴ」


こうして配信枠を閉じた亜沙美は、ロミータとイーグルを連れて防音室へと向かった。明日は日曜日とは言え、まだまだ寝れなそうだなと覚悟する亜沙美だった…




続く




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?