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第33話

 それからどれぐらいでしょう?私は必死に落ちないように木にしがみついていたら、声が聞こえなくなりました……恐る恐る下を見ると、大量の魔物が死んでいます……そして、魔物に襲われた兵士も、そして子爵も死んでいるのが見てわかりました……正直直視は出来ません、グロイです……


「終わったぞ」


「は、はいっ……あ、あの……お、降りれないでしゅ///」


 噛みました……うぅ……


「わかってる、大人しくしてろ」


「はいっ」


 直ぐに旅人様が木の上まできてくれて、私を抱えると軽々と木から飛び降りました……衝撃を覚悟しましたが全然なかったです……びっくりです……それからは、旅人様に抱えられてその場を後にしました。




「あの、えっと……あれは大丈夫でしょうか?」


「ん?別に、子爵が出張った所に魔物の集団がいて互いに戦ったが相打ちになって全滅した、それだけだな」


「あっ、そ、そういう設定になるんですね……」


「まぁ、邪魔者も消えたしさっさととんずらしよう」


「わ、わかりましたっ」


 それからは、生き延びてたお馬さんを旅人様が連れてきて、そのお馬さんに乗ってその場を後にするのでした……


「はぁ~~」


「まぁ、このあたりまで来れば大丈夫だろう」


「そ、そうですね……」


 かなりのペースであの場から移動した結果、お馬さんもかなり疲れています……




「とりあえずこのあたりで休もうか」


「は、はいっ」


 私達は馬から降りて休憩です……お水をもらって飲んで一息つきました……


「はぁ……えっと、旅人様?この後はどこに行くんですか?」


「ん?あぁ、一応シスター達から話しは聞いてある……目指すのはマグラーネ火山だな」


「火山、ですか?」


「そうだ、火山道を抜けることが出来れば、魔法王国に最短で入ることができる」


「なるほど……」


「まぁ、この街からだと1週間ほどはかかるそうだからな……ただ、なるべく商人が通るような通路は通るのは避けるからもう少しかかるかもしれないがな」


「なるほどぉ……火山かぁ……やっぱり熱いんでしょうか?」


「まぁ、活火山らしいからな……火口付近にいきゃ熱いだろうがな、通る火山道はそれほど問題はないと思うけどな」


「そうですかぁ……あっ、カペラ~お水のもー」


「きゅ~」


 外套から出てきたカペラにお水をあげる……はぁ~ちっちゃいお口でぺろぺろお水を飲むカペラが可愛すぎる♡


「きゅ~~♪」


 それからまったりとした時間を過ごしました……風が気持ちいいです……それからしばらく休んだところで、出発を促されました……さて、そこからはお馬さんに乗って移動です……


「この子、速いですね」


「まぁ、一応軍馬だからなぁ……普通の馬よりはがたいもいいし体力もある、その分速度も出せるし……なかなかいい馬を手に入れたよ」


「なるほどぉ……軍馬ちゃん……がんばってね」


 私が言ったことがわかったのか、軽く鳴き声を上げてくれました……そのあとはとにかく移動です……途中では小まめに休憩を挟みつつ移動……そして日が暮れてきたら野営をすることになりました。


「ほら、お疲れ様……」


 お馬さんにお水とご飯を上げる旅人様……そして私は唯一出来る、お料理が焦げないよう定期的に混ぜる係です……これで焦がしたりしたら私の存在がピンチです……


「どうだ?」


「あっ、はいっ!しっかり混ぜてますっ!」


「お、おぅ、そこまで気合入れる必要はないが……」


「あ、あはは……つい///」


「ふむ……もう少し煮込んだら完成だな」


「わ、わかりましたっ」


「きゅ!」


「カペラ、私頑張るからねっ」


「きゅぅ!」


「まぁ、じゃあ後は任せる……俺は少しあたりを見てくるから」


「わ、わかりしたっ」


 というわけで、旅人様が周辺警戒に出かけたところで、私はお鍋を混ぜながら見続けます……そして、ついにっ!


「できたー!うん、トロトロになってるし……ちょ、ちょっと味見は大事だよね?」


「きゅきゅっ!」


「コク……ふぁぁっ!美味しい!」


「きゅ!きゅ!きゅ!」


「カペラも欲しいの?」


「きゅー!」


「えっと……ちょ、ちょっとだけだよ?」


「何をしてるんだ?」


「ふきゃぁああ!!!?」


「すごい声だな、魔物が寄ってくるからあまり大声は出さないでほしいんだが」


「ご、ごめんなさい……」


「出来たか?」


「は、はいっ!できましたっ!」


「うん、よさそうだな……じゃあ、食べるか」


「はいっ!」

「きゅいっ!」


 旅人様が用意してくれたパンと作ったスープが今日の晩御飯……はぁ、美味しい♪私はすぐに彼に出会えたから良かったですが……そうでなかったらあの時生き延びれたとしても、絶対途中で餓死してましたね……仮に餓死しなくてもまともな生活はできなくて……うん、こんな美味しいお料理を毎日食べられる……はぁ、本当に旅人様には感謝です♪


「美味しい♪」


「毎回、本当に美味しそうに食べるな……城の料理とちがってただの男飯なんだけどなぁ……」


「いえいえ、とっても美味しいですっ!お城で出てた料理なんてあんなの料理じゃないですっ!」


「そこまでか」


「はい、冷めて全然美味しくないですし、途中からは毒殺気にしなきゃいけなかったですし……誰も一緒に食べてくれませんし……だから、旅人様のお料理はすっごく美味しいです♪」


「まぁ、それならよかったよ」


「はいっ♡」

「きゅぅ♪」


「そういえば……」


「なんですか?」


「宝石が手に入ってな……」

「きゅっ!!!」


「カペラっ!?ちょっ、ああああああああああ!!!」


 カペラは旅人様が出した宝石を口にくわえると……そのまま食べてしまいました……ど、どどどど、どうしようぅうううううううううう!!!


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