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✾音の葉は宝物

“音”は人を喜ばせるための魔法


そう信じて疑わなかった



ひとりぼっちの学園のガーデンで


泣いていたら


そよ風に乗ってピアノの音色が舞っていた


耳に届けられたその音色は


“ああ……。あの人の宝物だ”


私は自然と涙していた


音楽に詳しくなくとも人を笑顔にしたり涙を誘ったり


“音楽は宝物だ”とあの人がそう表現していた



でもあの人は――音楽で私に幻想をかけた


“すべて忘れる”ように、と



でもそれは私を遠ざけるための魔法




“お前がいれば世界は色鮮やかになっていた。だからこそ、お前に、俺の傍にいて欲しくないんだよ”



学園のガーデンで密やかに紡がれる音の葉魔法



“魔法はいつも人の傍にあるよ。誰だって誰かを笑顔にする魔法がある”



あなたに出会って恋の音の葉を知る





「あなたが伝えてくれる“好き”は、こんなにもたくさんの音の葉が聴こえるんだね」

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