「ニャポニャポ、ニャポニャポ、ニャッポッポ! ――1ニャッポ!」
「に、2ニャッポ!」
「3ニャッポ!」
「4ニャッポ!」
「「「「ニャッポッポ!」」」」
「FOOOOOO!!!! いいよいいよー! 大分みんな慣れてきたねッ!」
いやこれホントに面白いかな!?
高校生にもなってみんなでニャポニャポ言ってるの、絵面的にどうなの!?
まーちゃんがどうしても四人でニャポニャポニャッポがしたいと言うので放課後の教室でやり込んじゃったけど、もう僕達しか残ってないし、そろそろ帰らないと。
「フッ、やあモルモット諸君、今日も元気だ空気が美味いな」
「「「っ!」」」
その時だった。
死神が深淵のオーラを全身に纏いながら、のそりと教室に入ってきた。
もう既に嫌な予感しかしないッ!!!
堂々と僕らのことをモルモット呼ばわりするようになってるし!!
こいつが政府のお偉いさんで、どんな不祥事をぶちまけようが懲戒免職にならないとわかった以上、最早恐怖の対象でしかない!!
ブラック企業に勤めてる会社員って、こんな気持ちなのかな!?(近いかもね)
「本日オススメする商品はこちら!」
「「「っ!?」」」
死神は右手でおっぷぁいの谷間から錠剤のようなものを二つ取り出した。
あれは、以前猛威を振るった、『クツガエール』!?
また性懲りもなくお前はッ!!!
早くこんな
「フッ、これはクツガエールではない。改良を施した、その名も『クツガエール改』だ!」
「「「!」」」
相変わらずの小3並みのネーミングセンス!
まあ、わかりやすくはあるけれども!
「というわけでこれを智哉と田島にドーン!」
「なっ!?」
「えっ?」
死神はいつものサイドスローで、僕と勇斗の口の中にクツガエール改を寸分の狂いなく放り込んできた。
二つ同時に!?
往年の新春か○し芸大会を彷彿とさせる!(昭和並感)
「「んがぐぐ」」
そして飲み込む時はやっぱり『んがぐぐ』ってつい言っちゃう!
これがお約束のパワー!
「うっ……!」
「ぐっ! ああああ!」
「ともくん!?」
「勇斗くん!?」
身体が焼けるように熱い……!
まるで全身の細胞が一から作り直されていくかのようだ……!
そういえば、クツガエールは胸の大きさが覆ってたけど、クツガエール改は何が覆るんだ……?
「……なっ!?」
「こ、これは!?」
「「――!」」
その時だった。
僕の胸の辺りの肉が、ムクムクと膨れ上がっていく感覚がした。
そしてそれとは反比例するかのように、股の間のものがみるみると萎んでいく。
ま、まさか――!?
「フッ、実験は成功のようだな。――これがクツガエール改の効果、『性別逆転』だ!」
「「「っ!!!?」」」
ギャックリートオオオオオオオ!?!?!?!?
「FOOOOOOOOOOO!!!! 可愛いよ可愛いよともくーん!!! いや、今はともちゃんだねッ! ともちゃん目線ちょうだいちょうだいFOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!」
「まーちゃん……」
まーちゃんは愛用の一眼レフ高画質カメラのシャッターを、16連打で連射している……。
いや、何で自分の彼氏が女の子になっちゃったのに、そんな普通なの?
まあ、例によって30分で元に戻るんだろうけどさ。
僕はロリ体型だけど巨っぷぁいという、何ともあざとい容姿になっていた。
「はわあああああ。勇斗くん……、いや、ゆうちゃん、とっても綺麗だよ」
「そ、そうか? 何か照れるな」
……確かに。
反面、勇斗は高身長でスレンダーな、パリコレモデルみたいな容姿になっていた。
僕もどちらかといったら勇斗みたいな体型がよかったな……。
まあ、元々の体型のポテンシャルが反映されてるのかもしれないけど。
「フッ、だがせっかく女になったというのに、制服が男物ではちと締まらんな。――そこでこんなものを用意した!」
「「「っ!」」」
死神は胸の谷間から、二着の女子生徒用の制服と下着を取り出した。
いや、お前の胸の谷間は四次元ポケットなのか!?
よもや
「FOOOOOOOOOOO!!!! イイですねー!! じゃあ、ともちゃんの着替えは私が手伝ってあげるね」
「えっ!?」
僕はまだ、着るなんて一言も言ってないけど!?
「そ、それでは、ゆうちゃんのは私が……」
「ああ、頼むぜ、美穂」
ゆうちゃんッ!!?
ゆうちゃんは何でいつもそんな順応力高いのッ!?
ゆうちゃんなら無人島でも、普通に暮らしていけそうだねッ!
「さあさあ、観念しなよともちゃーん」
「っ!?」
まーちゃんがオッサンみたいなやらしい顔で、両手をワキワキしながらにじり寄ってくる。
や、やだ……。
やめて……。
あーーーーれーーーーーーーー。
「FOOOOOOOOOOO!!!! 今すぐ写真集出せるレベルだよともちゃーん!! じゃあ、ちょっとだけ自分で、スカートたくし上げてみよっか?」
「みないよ!!!」
まーちゃんがどんどんオッサン化してゆく!
うぅ……、それにしても、前に文化祭で女装した時はスカートが長めのお姫様風ドレスだったけど、今回のはミニスカートだから股がメッチャスースーする!!
女の子っていつもこんなスースー感と戦ってるの!?
あとブラとパンツも……。
何か締めつけがキツいというか……。
慣れないぜ!!(慣れたくもないが……)
「はふううううう。ゆうちゃん……、素敵……」
「はは、何か変な感じだな」
ゆうちゃんはマジでスタイル良いな。
股下とか、90センチ近くあるんじゃなかろうか。
如何にも女子から好かれる女子って感じだ。
逆に僕みたいな体型の女の子は、同性からは好かれなそうだな……。
男子ウケは良さそうだけど……。
「フッ、では私はこの素晴らしい実験結果をレポートに纏めてくるからな! 感謝するんだぞ!」
死神は高笑いをしながら、悠々と教室から出ていった。
呪いこそすれ、誰が感謝なぞするか!!
次の健康診断で引っ掛かれッ!!(精一杯の呪詛)
「ねえねえともちゃんゆうちゃん、文化祭で女装した時みたいにさ、肩の手前くらいで両手を恋人繋ぎしながら、おでこ同士をくっつけてもらえないかな?」
「まーちゃん!?」
またすぐそういうこと言う!!
あの時と違って、今はガチの女の子になっちゃってるんだよ!?
いろいろとヤバくない、それ!?
「ああ、いいぜ」
「ですよねッ!」
様式美!!!
逆に聞きたいんだけど、勇斗は何だったらダメって言うの!?
「じゃ、いくぞ、智哉」
「う……うん」
勇斗は流れるような動作で、僕と恋人繋ぎしながらおでこをくっつけてきた。
ふほおおおおおおおお。
これヤベエエエエエエエエ!!!!!
何がヤバいのか上手く説明できないけど、とにかくヤバいということだけはわかるッ!!
嗚呼!!
しかもこれ、またぶるうちいず先生がエクフラしちゃうパターンのやつだよッ!!
――が、
「…………」
……ん?
あれ?
エクフラが来ないな?
来なかったら来なかったで、ちょっとだけ寂しいな(我儘)。
僕は横目でチラリとぶるうちいず先生の方を盗み見た。
すると――。
「……ふむ」
――!?
ぶるうちいず先生は顎に手を当て、眉間に皺を寄せながら僕達を見つめていた。
その顔は、何かを深く思案しているようにも見える。
も、もしや……!?
ぶるうちいず先生は、
だが、女体化同士のカップリングは百合なのか、はたまたBLなのか、判じかねているのだとしたら……!
……あり得る話だ。
実際こういうシチュを百合と捉えるのか、BLとするのかは、専門家(専門家?)でも意見が分かれるというし。
……まあ、正直僕にとっては、激しくどうでもいいことなのだが。
「FOOOOOOOOOOO!!!! いいよいいよ盛り上がってきたよー!!! ゆうちゃん、ちょっとともちゃんの耳たぶ噛んでみる?」
「みないよッ!!」
そしてまーちゃんは俄然テンアゲ(死語)だねッ!!
まーちゃんはストライクゾーンガバガバだよね!?
「あー、でもダメだなー。やっぱ嫉妬しちゃうよー」
「え?」
そう言うなり、まーちゃんは勇斗から僕を引き剥がした。
おおっと?
「じゃ、そういうことで、ここから先は、まお×とも、ゆう×みほカプで、イチャイチャタイムね」
「ふえ?」
「よいしょ」
「「「っ!?」」」
まーちゃんは僕を、すかさずお姫様抱っこした。
最早何度目のお姫様抱っこだろうか!?
「後はお二人でごゆっくりどうぞ~」
「あ、うん」
「お、おお」
そして教室に二人を残し、そのままスタスタと出て来てしまった。
「あ、あのー、まーちゃん、これ、いったいどこに向かっているので?」
「んふふー、着いてからのお楽しみだよ」
「……」
メッチャ嫌な予感がする。
「おー、予想通り。今の時間なら誰もいないと思ったんだよね」
「――!」
そして連れてこられた場所は、何と保健室であった。
だ、誰もいない保健室……。
何てイケナイ響き……!
「ほいっと」
まーちゃんはベッドの端に、僕をそっと下ろして座らせた。
「あ、あのー、まーちゃん?」
「まあまあ、いいからいいから」
そしてまーちゃんは僕に密着するくらいの位置に腰を下ろした。
いや、何がいいの!?
今の僕達は女の子同士なんだよ!?
いいから一旦落ち着こうよ、ねッ!?
「ねえともちゃん、どうかな、女の子になってみて?」
「っ!」
まーちゃんは僕のふとももを、指先でツンツンとつついてくる。
「ど、どうって……、僕にはよくわからないよ」
こんな経験初めてなんだから(そりゃそうだ)。
「ふーん、でもさでもさ、おっぷぁいが重くて、肩がこる感覚とかはわかってくれた?」
「ああ、それはね」
確かにこんな重いもの四六時中抱えて生きてたら、そりゃ肩もこるよね。
「そうかそうかー。……ふふ、可愛いよ、ともちゃん」
「――!」
まーちゃんの手が、僕の頬に優しく触れる。
「……食べちゃいたいくらい」
「――なっ!? んふっ!」
そしてまーちゃんの柔らかい唇が、僕の唇を覆う。
はわわわわわわわ。
キスはいつもしてるけど、女の子同士でするキスは、物凄く背徳的でドキドキする……。
「……ぷはっ」
「は、はふ……」
「……ともちゃん」
唇を離したまーちゃんの眼が、獲物を狙う猛禽類のように鈍く光った。
「え? ――えっ!?」
僕はまーちゃんに押し倒された。
僕を見下ろすまーちゃんは、虚ろな表情を浮かべている。
「ま、まーちゃ、ん?」
「うふふ、私がともちゃんに、女の子のこと、いっぱい教えてあげるね」
「――!」
まーちゃんはサディスティックな笑みを浮かべながら、再度僕の唇を塞いだ。
あ、あーーーーれーーーーーーーーーーーーー。