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第16話 魔物達の街

 私達はそれからしばらく、いきなり消えたダイヤさんやクローバーさんを、探すために森を探索しつつ、『ヒューマ』の村ですごした。

 最初はリードさん、リズさん、タンクさん、そして私が探索をしていたのだが、3日ほど経つとガギンさんとキズーさんも探索をすると言ってきた。

 私達はもちろん止めたが、ガキンさんとキズーさんに、「あの2人を倒せたのは誰のおかげ?」と言われてしまい、仕方なく2手に別れて森を探索することになった。


「しかし、今日で1週間。全く見かけねぇなぁ。」


 ガキンさんがそう言う。


「ほんとだねぇ。死体すら見つからないと怖いよ。」


 キズーさんがそう返した。

 私とガキンさん、そしてキズーさんは一緒のチームになって、森を探索しているところだ。


「今日は、もう帰る?日も落ちてきたし。」


 キズーさんがそう言った。

 夕方になり、森は真っ赤に染っていた。

 夜は怖い魔物が多いし、スライムの私には関係ないが、人間は暗いと周りが見えないらしい。


「そうですね。もう帰りましょう。」


「ま、しょうがねぇな。」


 私とガキンさんは、キズーさんの言葉に同意し、村の方へと向かおうと向きを変えた。

 その瞬間、背後からマナの異常な動きを感じた。


「2人共、危険です!!」


 私がそう叫び、土のマナを貯め始める。

 私は、間に合うか?と不安になりつつも、急いでマナを集める。


「『監獄の電撃網プリズン』!!」


 その言葉と共に、黄色い網のようなものが、私達に向かって飛んでくる。

 このままじゃ、間に合わない!!

 私達は、その網のようなものに捕まる。

 それは、電気を帯びているのか、ビリビリと体をしびれさせる。


「フハハハハ!見たか!我の暗黒の力を!!」


「五月蝿いですねぇ、貴方は。まぁ、計算より弱くなくて安心しましたよ。」


 森の奥から、黒髪を伸ばした、隻眼のエルフと、紳士風の服を着て、シルクハットを付けた二足歩行の猫が現れた。


「なんだよ、お前達は!」


 ガキンさんが、そう叫ぶ。

 それに、エルフが答える。


「我は、闇に生まれ闇に育ち、暗黒の力を持つ…。」


 しかし、エルフが話している途中で、猫が答える。


「私達は、人間族を嫌う魔物です。スペードさんのお願いで、金髪と黒髪の人間族と、彼らに協力するスライム族を捕獲するよう言われています。」


「何故我の話を遮る。」


「貴方の話は、ややこしいんですよ。

 まぁ、そんな話は置いといて、早くこの人間族達を連れていきましょう。」


 猫の言葉に、ガキンさんが睨む。


「俺達をどこへ連れて行く気だ!」


 猫とエルフは彼の質問に答える。


「私(我)達。人間嫌いの生き物が住む街。『クラウンタウン』だ。」

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