「コズモたいしょ、大将ぉぉぉぉっ!?」
驚くデューイに対し、コズモは気にする事なく隣で食事を摂り始めた。コズモの食事は、サラダを中心としたバランスの取れた物が並んでいる。
「最近、健康に気をつけろと言われていてのぅ。デューイ少尉くらい昔は食べられたんじゃが、歳を感じるわい」
「そ、そうですかい? というより! 総括がなんで食堂に!? 普段個室ですよねぇ!?」
階級が高い者ほど、セキュリティの高い個室が用意されている。当然、食事も運ばれてくるため、食堂に赴く理由がない。
にも関わらず、コズモは今ここにいる。
未だ動揺を隠せないデューイに対し、コズモは微笑みながら告げた。
「たまには誰かと、食事を摂りたくなるものでのう。ホッホ」
「は、はぁ……? そういうもんですか?」
「そういうもんじゃよ。して、ハナ少尉とはどうじゃ?」
「ハナと……? 何故気にされるんですか? も、もしかして何か問題が!?」
「そう意味ではないぞ? ただ、二人はコンビネーションが重要じゃろう? ハナ少尉は繊細じゃから、ちとな?」
――ハナは繊細。
その言葉に、デューイは考え込む。
確かに、最近のハナはどこか元気がない。何度か声をかけたが、その度に気にしないでほしいと言われてしまい……実際そうしていたのだが。
(それじゃ、ダメっつー事……だよな?)
「デューイ少尉、食事を摂る手が止まっておるぞい? 食べてからじっくり考えると良いぞ?」
「は、はい! ご助言ありがとうございます!! 総括!!」
「ホッホッ」
コズモは食事を再開し、デューイの横で美味しそうに食べている。
その光景を見つめ、とりあえず早く食べ終わろうと思い至ったデューイは、食べる手を早める。
なお、デューイが総括であるコズモと食事をしたという話は、すぐに艦内に広まり、以後、語り種となるのであった――
その理由は、コズモの行動があまりにも珍しいからである……。
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その頃。
ヴェルト・アル=ズィーゲリンは、地球の軌道に乗りつつ、宇宙空間を航行している。
その宇宙空間を、自室の窓からハナは見つめていた。
(あれ以降、カタストロイも
彼女が憂いているのは、今後についての事。
(カタストロイには、知性がある……何を考えているのかしら?)
カタストロイが敵意を持っている事は間違いない。
そして、人々に何かを伝播させて変異させているのも。
だとしたら、その目的は一体なんだというのか?
そこが気になり……ハナの顔は曇っていた。
(考えても分からないけれど……でも……!)
その時だった。
扉の端末から音がした――