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038  【豪雨「ウォーターハザードエリア」】


*>>ナユカ視点



「【豪雨「ウォーターハザードエリア」】!!」




 アリアさんがそう唱えた瞬間、ブレスや、火弾などの幾多いくたの攻撃を受け、燃え盛っていた植物園は更なる災害に見舞われる。魔法陣はクルクル周りそのまま肥大と発光を強くし魔法を発動させた。


 初めは豪雨の名にふさわしいほどの雨…。いや、雨ほどに細かく別けられた水弾が上空から凄まじいスピードで黒龍に降り注ぐ、ドカドカと降り注ぐ水弾は段々と威力を強めていく。ビュアの拘束とアリアの豪雨の影響でついに黒龍は墜落ついらくしてしまった。


 ひとつひとつが小さく、ひとつの水弾はほんとに小さいためダメージは全然高くない。が、それをおぎなうほどの物量と、激しさで黒龍の体力はどんどん下がっていく。その豪雨は植物園一体のほとんどおおくし、未だ燃えていた植物園の火を消火してしまうほどだ。


「凄まじいな…」


「全くです」


「すごーぃ!!」


 アリアさん以外の私含め、3人がそれぞれ感想を口にする。


「ひとりじゃ到底発動させられないほど時間がかかってしまうのですわ。ですから、戦闘で使ったのは初めてですわよ。それにメインはこれからですわ」


 アリアさんがそう言ったその時。はるか上空に水が集まっていく。


「あれは?」


 ビュアさんの問いに。


「トドメの水弾ですわね。あれ私のMPの約半分を使ってますの」


「半分って…」


 アリアさんの回答にビュアさんはなんとも言えない表情で返す。


(え?それって確実に〔魔力強化〕入った状態の半分ですよね?しかもあの水弾1個に!?普通1MPで10個放てる物を!?)


 半分ってどのくらいになるんだろ?そんな疑問が浮かぶが、想像できなかったのでやめておいた。


 一方、黒龍もビュアさんが掛けた拘束専用技。【イムーバブル・モデル】の効果が解けてきたのか、自身の体を動かそうと必死に足掻あがいている。


 しかし、今もなお降り注ぐ豪雨と、その豪雨により形成された巨大な水溜まりにより逃げることができない。植物園はいつの間にか、半分水没した湿地帯のようにひどい有様だった。


 それでも逃げようともがく黒龍は翼を動かすがこれも豪雨により上手くいかない。あたりは豪雨と一緒にあらしのような暴風が吹き荒れている。風に乗ろうにも不規則に変わる風向きに対応できずよろけていた。


「グオオオオオオオオオオオオーーー!」


「さて、そろそろですわね」


 はるか上空ではいよいよ巨大な水弾が出来上がろうとしている。どんどん大きくなっていた水弾はもはやただの水弾ではなくひとつの海のよう。ただ…


「あれ落っこちてきたら…、ここら辺吹き飛ばない?」


 このままでは、ここら辺一体更地さらちになるんじゃないかと、ふと思い至ったビジョンをビュアさんに聞いてみる。


「戦闘終了後しばらくしたらフィールドは元の状態に戻りますよ。なので気にしなくても大丈夫です。むしろ動画映えするんで!どんどんやってください!」


 あ、元に戻るなら大丈夫か。じゃあ派手に吹き飛んでも大丈夫だね!! それよりそういえばビュアさんって動画どうやって配信してんだろ?


 場違いにも程があるが、なんせすることがないので。未だに黒龍はもがいてるけど、こっちに攻撃できそうにないし。


「ビュアさん。動画ってどうやって配信してるんですか?」


「えぇ〜と、そういうスキルがあるんですよ。今もここら辺にカメラありますよ」


 へー、私からは何も見えない。虚空こくうなんだけど。とりあえず、にっこり微笑んで手を振っておいた。


 そんなことをしていると、後ろからすごい圧を感じて後ろを見る。


ゴゴゴゴゴゴゴ…


 でーかっい、水の塊が…。あれ、星か何かと見間違えそうなでかいのが降ってきていた。


 黒龍は、ぬかるみにハマったようにその場から出られない。

 それでも諦めていないのか大きな水弾を見上げたあと、ブレスの構えをとる。何とか、ため終えたブレスを黒龍が放つが豪雨で少しづつ威力を弱められ、ついに巨大水弾にぶつかったかと思えば。



チュン…


 あっけなく鎮火ちんかしていった。


 うん、あれだ。昔のもので例えると、バケツいっぱいの水に火のついたマッチ棒を突っ込んだ時の。そんな音がした。


 そんなこともあったがついに巨大水弾が地面に着弾する。


ドッッッバッシャーーーーーンンンンッッッ!!!!


 あれだけの巨大な水が地面に当たった時の衝撃は凄まじく、4人は今も尚、逃げていたにも関わらず吹き飛ばされる。


 後ろ向きに〔ジャンプ〕で跳んで逃げていた私も吹き飛ばされたがそれはまだ序の口だった。


「油断しないようにですわ!!次は津波やら、さっきの衝撃で舞い上がった岩なんかが降ってきますわよ!!」


「えぇーー!?」


 唐突な注意喚起もつかの間。


ヒュン…………ドコッーーン!!!


 いやーーーー!!!?顔の横を岩がすり抜けて行ったんですけどー!!?あっぶねーー!


「全員!!私の後ろに!!〔結界〕を張りますわ!!」


「「ッ!!」」


アリアさんが結界を張ってすぐにビュアさんとハルトさんはアリアの後ろに移動する。でも…


「何をしてるんですの!?ナユカさん!!」


私はと言うとそのままアリアさんの方には行かず全力で今も尚逃げていく。だって…


「私!!滞空たいくうできない!!」


「なッ!?」


 そう、私は飛行を〔ジャンプ〕で補っている。〔ジャンプ〕は空中移動をする際、土台となるジャンプ台をMPを使うことで生成している。しかし、名前の通りそれは〔ジャンプ〕するためだけに特化しており、踏んだら任意の方向に必ず移動してしまうのだ。つまり同じところに空中で留まることができないという欠点がある。


 だから、〔飛行〕で空中移動している3人はアリアさんの後ろで待機できるが、私はできない。



「ナユカさんッ!!?」


 ここはまだ植物園のエリアでかなりこの植物園は広い。つまり岩などを防げる障害物となるものはない。


 一応、下に行けば植物園なので木とかがあって多少は障害物にはなるが…


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 下に逃げれば津波に襲われてしまうだろう。


 状況は最悪。まだ、MPさえ残っていれば…。しかし、黒龍に放った攻撃や、私の場合は〔ジャンプ〕を使う度にMPを消費していく。


 それに先程ビュアさんとアリアさんを守るために放った爆発魔弾の連打。あれのMP消費量はかなりのものだった。逃げる直前にチラッと確認しただけでも残り1割程度、到底もう限界が来ている。いつMPが切れても…







 あれ?なんでMPが5割まで回復してんの?








ステータス



ーーーー



名前 ナユカ


所持金 1000G



HP 0├──────────╂┤


MP 0├──────╂────┤




スキル


パッシブ


魅力 魔力 体力強化



アクティブ


火 回す 植物鑑定 躱す 火炎 叩く ジャンプ 赤 魔法陣 足 光 地図 伸ばす 直角 緑 止める 連動 青 爆発 集合 歌唱 鍛治 減速 星



状態


飛行速度上昇

攻撃力上昇

防御力上昇

クリティカルダメージ上昇

水中移動速度上昇


ーーーー





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