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037  植物園が、地獄から地獄に変わったよ

*>>ナユカ視点




「なっ!?危ない!!」


 そんなことは重々承知で、それでも私は迫り来るブレスとビュアさん、アリアさんの間に身を入れる。


「ブレスに魔法を当て続ければ!!相殺そうさい、できるよね!!できるよね!??」


 出来なきゃ私死んじゃうよ?さっきハルトさん剣でブレス受け止めてたからいけるよね!?

 狙うはブレスの真ん中。真正面からそのままぶつかる魔弾、ただの魔弾だと一瞬で消し飛ばされそうだから、当たったと同時に押し返してくれそうなもの。

 それをできるだけ大きく、ひとつの魔弾に対してMP1の消費で、かつそれを連続でブレスに当て続ける!!


*>>三人称視点


 基本魔弾を発射する際にMPを消費するのは当たり前。デフォルトの魔弾だと、1MPで魔弾が10発出るのに対して、任意でその消費MPを変えることで魔弾の威力を変えることができるのである。そしてそれは最大ひとつの魔弾につき、1MPが現状ナユカが放てる最大の魔弾であり、それ以上MPを消費して魔弾を放とうとすると、他のスキルが必要だったりする仕様がある。


 なお、ナユカはそんなこと全く知らないが。


*>>閑話休題


[魔弾発射数1、属性〔爆発〕、魔力=1]


(これを、連続でブレスにぶつける!!)


「いけッ!!!」




ドガガガガガガガガーーーーーー!!


 うっ!!



 「無茶です!!」


 黒龍のブレスに真向から魔弾を飛ばすナユカ。しかしナユカの魔弾はすぐに均衡きんこうを崩し押されていく。その間4秒、次の瞬間ナユカがブレスに飲まれてしまうかとそう思った時。


「下…向けっ!!このトォォカァァゲがーーーー!!!」


 ドコッォ!!


 黒龍の後ろから飛んできたハルトにより、黒龍の頭に綺麗に剣の腹で後ろから突撃しながらフルスイングする。ハルトの思惑通り黒龍は後頭部を殴られたことで下を向き…

 ナユカに、ビュア、アリアに向いていたブレスが下にそらされた。





「セーフー!!」


「じゃねーよ!無茶にも程がある!!」


 呑気なナユカについ突っ込んでしまったハルト。


「おふたりとも助かりました!!」


 そこへ、ビュアが礼を言う。


「死んでないのでセーフですよー!ですよね!ビュアさん」


「いや、俺が黒龍の後ろに居なかったらナユカさん死んでたからな…」


 そんな2人を眺めながら自然に微笑むビュア。

(2人があの場面で機転を効かせていなければ、今頃私とアリアは2人とも死んでましたよ。なんと言うか…。私の目に狂いはなかったというべきか…。それ以上というか…)


 咄嗟とっさに黒龍のブレスに爆発魔弾で対応したナユカ。ナユカの稼いた時間は4秒。


 その4秒の少ない時間、ただし逆に4秒もブレスの到達を送らせることに成功し。それを見ていたハルトはすぐに移動を開始し、ブレスの軌道を黒龍の後頭部を剣の腹で殴ることでらした。


 どちらか一方でも欠けていれば…。2人が違う行動をとっていたら。ビュアとアリアはここで死んでいたであろう。まぎれもない2人のファインプレーだ。


 なお、後に当事者達はそれをただの偶然だと言い張るが…


「でもハルトさんは助けてくれそうな気がしたので!!」


「…」



「ありがとうございます!!」


「お、おぉ…」


「ハルト?何イチャコラしてらっしゃるの?」


 そこに現れた少しムスッっとした表情のアリア。


「お!?お前魔法はどうしたんだよ!まさかビビって詠唱中断でもしたかw?」


 そんな表情にもおくすることなく、ハルトはアリアをからかいながらそちらに視線を向けた。


「うるさいですわ。魔法…。完成しましたわよ」


 彼女の遥か後方。


 水色に輝く巨大で複雑怪奇な魔法陣がクルクルと待機状態で浮いている。


「お、おぉ…ご苦労さま」


 そしてその視線の先にある巨大な魔法陣を見て、さすがにそのえげつなさに言葉を詰まらせる。


(え?あんな馬鹿げた魔法陣嘘だろ…)


「さっ!あとは遠くへ逃げますわよ」


「逃げる?」



「だってあの魔法かなり広範囲でエリアごと破壊しますわよ?ちなみにフレンドリーファイアはこのゲームないですけど、その攻撃により起きた環境ダメージはしっかり入りますわよ。衝撃もすごいですし」


「だろーな!?」


「ですね、早く逃げましょう」


「はーい!あ、でも黒龍は?」



「いきますよ!!

イムーバブル・モデルImmovable model】!!」


 ビュアがそういった瞬間色々な場所で魔法陣が浮かびあがる。


「うわっ!なにあれ?」


 魔法陣は黒龍を取り囲むように一定間隔で展開され、怪しく光る。


「〔魔法陣〕と〔設置〕あとは〔起動〕と〔連動〕ですわね」


「さすがアリアさんです。だいたいそれで合ってますよ」


「へー」



 ビュアが唱えた技。魔法陣から現れる魔弾、それは葡萄ぶどう色をしていた。それが黒龍に当たった瞬間。


「なんかダメージ入ってなくないですか?」


 何事もなかったかのようにそのまま張り付いていた。それがほぼ全方位から黒龍に当たるが全くダメージが入らない。


「いえ、そろそろですかね?」


「え?」



「〘硬化〙!!」


「「なっ!!」」


 黒龍に着いた弾幕が怪しく発光。その直後黒龍はまるで金縛かなしばりにあったかのように動きを止める。


「今です!!できるだけ退避を!!アリアさん魔法発動お願いします!!」


「っ!!わかりましたわ!!」


 こうして、4人は黒龍からどんどん離れていく。しかし黒龍は追ってこず、それどころかビクとも動いていない。


「黒龍、あれどうなってるの?」


「さっき当てた魔弾に〔硬化〕が使われていたんですよ。それを追加で付与することで威力を上げて固めました。でも長くは持ちませんから今のうちに」


「なあ?でも追加付与なんて聞いたことないぞ?」


「スキルの二重使用もですわ」


 ビュアの魔弾に疑問を持つハルトがビュアに問いかける。が。


「それは秘密です!」


「…」


 その間にもかなりの距離を開けることに成功した面々は。


「いきますわよ!!  

【豪雨「ウォーターハザードエリア」】」




 満を持してアリアの攻撃を発射する。その瞬間。






 植物園は山火事から水害にシフトチェンジした。


 どっちも変わらず地獄だ。



ーーーー




魔力 MP magic


魔力を使い様々な自然現象を攻撃に転用できる。





気力  SP spirit


気力を消費して自然現象を物、人に付与することができる。

また、素手などに纏うことで魔法耐性、身体能力強化を獲得。




■■ ■P ■h■■■


■■を使うと■■■自■■■■■を追■付■■発■■るこ■■で■る。また、■に■■■■■。






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