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T044  野生のプレイヤーが現れた(複数)




 いきなり戦闘モードロールプレイになったユキ。私たちの周りは知らないプレイヤーに囲まれ逃げられないように包囲されていた。


「ナユカ。昨日の黒龍のアイテム持ってるからね〜。狙われるのは何となくわかってたよ〜」


 そう小声で私に話しかけてくるユキと背中合わせで、注意深く周りのプレイヤー達を警戒する。


「そういう大事なことは早めに言って欲しかったかな?」


「まあ〜、大丈夫でしょ〜…。半分。できる〜?」


 半分…。5人くらいかな。


 私に当たり前のように押し付けて来るけど…。私は初心者だよ?


「対人空中戦は初めてなんだけど…。こっち側はたぶんやれるかな?」


 でも、ユキが背中を守ってくれるから、何とかなりそう。大会に一緒に出るんだからこれくらいは頑張って倒さないとね。


「ふむふむ、じゃあ〜、闘技大会のリハーサルだと思って〜。張り切って行きましょ〜う」


「了解!」


 私は〔ジャンプ〕でユキは〔飛翔〕で上に飛ぶ跳ぶ。そのままユキは上に上昇し、それを追って来るプレイヤーを私は足止めしにかかる。


 ユキの【凍える世界こごえるココロ】は、発動までにできるだけ上にいないとだからね。


 下方向に向けた弾幕を張り、その中の適当な魔弾に〔直角〕をつける。もちろん、相手が弾幕をかわすタイミングでの〔直角〕だ。単純な弾幕だけど、これだけでも登って来るスピードは落ちるだろう。もちろん私のところにも相手からの弾幕が飛んで来る。


 しかし、直線をえがいて素直すなおな軌道で飛んでくる弾幕は動いていれば当たらない。普通の魔弾を飛ばしてくるだけなら黒龍のブレスの方が怖い。

 私に狙いを定めながら打ってくる弾幕も、相手が〔ジャンプ〕の多角的な軌道に慣れてないためか躱すのは容易だ。


 しばらくそうして回避と時間稼ぎをしていたが、流石に何人かは私の近くまでやってくる。だがしかし、その頃にはさらに上にいたユキからの攻撃がプレイヤー達を襲うのだ!


「【凍える世界こごえるココロ】!あと、ついでに【今日はあられが降るみたい】」


 おおー、新技だー。いや私が知らないだけか。


 ユキが技を使い、周りの気温がどんどん下がっていくと共に、名前の通りあられが降り始める。しかもこれ…。アリアさんの豪雨に近い性質を持っている…。というよりこっちの方がタチが悪いかも。


 あられには微量のダメージ判定があるし、当たると体温を徐々にうばわれ、ついでに体は冷たいあられが溶けれる。


 相手は火弾やら火炎弾やらを打って温度低下を防ぐような人もいたけど、ほとんどのプレイヤーがあっという間に体温を奪われ、凍傷の状態異常になっていった。


 こうなれば相手はろくに体を動かすことは叶わない。


「よしよし、なら私は昨日手に入ったスキルを使って行こうかな!」


 まだ1回も使ってないからね!効果は何となく名前でわかるからいいけど。


 んじゃー、〔スーパーアクセル〕!!


ピョーーーーーンッ!!!


「うぇ!?はやッ!!」


 〔ジャンプ〕のスキルのあと、〔スーパーアクセル〕を使って加速したのだが、私の移動スピードは自分の視界に映る景色がどんどん後ろに通り過ぎていき、何とかギリギリ目で追えるかな?というほどだ。


 速すぎてビビった。一瞬で敵プレイヤーに接近してしまい、咄嗟とっさに避けちゃったけど…


 この加速はれるまで少し時間がかかりそう?いやいや、そこは気合いで乗り切りましょう!!てことで〔ジャンプ〕を使いもう1回跳ねて敵さんの方へ。何となく感覚で…、ここッ!!


 敵が目の前に見えた瞬間。私は思いっきり敵を〔叩く〕で殴る。敵はとてつもないスピードでビルに吹き飛んでいった。わーお、なかなかいいボディーが入った。


 …おいこら、女の子らしくないとか思わない。


 そのままの速さで今度は、その姿勢のまま魔弾を飛ばす。追撃で魔弾を放ったが魔弾のスピードは普通でむしろ私のスピードの方が速い。


 これは少し残念。魔弾も速くなってたら良かったのに。


 私は横に〔ジャンプ〕で飛び、さらに他のプレイヤーを追う。その度に〔叩く〕でぶっ飛んでいくプレイヤー。何人かには〔結界〕やら剣でガードされたりはしたが、5人くらいはキルした。


「ナユカ〜、ありがとう〜。もういいよ〜【氷の心ガラスのハート】」


 最後、ユキの技で残ったプレイヤーもカチコチに凍り、そのまま落下していき地面に当たって砕け散っていった。


「ナユカナイス〜、対人戦でも問題なさそうだったね〜」



 …もう大丈夫。別段怖いと思うこともない。


 …


「あまり強くない人達で助かったよ」


 ユキとしかまともな対人戦はしたことないから比較対象が悪いか。あ、オーブサーチで〔ジャンプ〕をゲットした時のはノーカンね?あれは私はほとんど何もしてないようなものだし。


「でもまだMP管理ができなさそうだね〜」


「あ、もう半分…」


 敵があまり弾幕を広げないのは、無駄な魔弾で余計なMPを消費しないようにするためらしい。遭遇戦の場合、いつ誰が襲って来るか分からないし、下手をしたら何戦か連続で戦わないといけないから、MPはできるだけ温存する人が多いのだとか。

 ユキが言うにはそんなこと気にしてたら勝てなくなるから、今まで通りしっかり広く弾幕を張る方がいいとの事。じゃあそうしよう!


 なんにせよ、初めて対人戦(空中)してみたけど勝てて良かったよ。


「ナユカは〜、もうたぶん中位くらいなら全然勝てるくらいの実力だと思うよ〜。あとはスキルとか装備つければいいんだし〜、さっきのスピードが早くなるやつの時なんて〜、ナイフあれば相手の首狙うだけで1発なんだよね〜」


「あ、そうか、ナイフ持つのもありか」


 ハルトさんみたいな武器でもいいし、簡単なナイフ1本あればそれだけで戦闘の幅が広まる。


 ナイフ、ほしくなってきたなぁ。



「ふふっ、じゃあ〜、サーチしながらナイフ用の鉱石集めね!」


「あれ?口に出てたかな?」



「顔に書いてあるよ〜」


 おーう、さいですか。


「よろしく頼むよ。ユキ!」


「は〜い」


 そうして、私たちは新しいスキルを取るためにサーチを開始するのであった。






ステータス



ーーーー



名前 ナユカ


所持金 100500G



HP 0├──────────╂┤


MP 0├─────╂─────┤




スキル


パッシブ

魅力 魔力 体力強化



アクティブ

火 回す 植物鑑定 躱す 火炎 叩く ジャンプ 赤 魔法陣 足 光 地図 伸ばす 直角 緑 止める 連動 青 爆発 集合 歌唱 鍛治 減速 星 スーパーアクセル



ーーーー




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