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T087  …続きを 【君と咲かせよう】



 ワーーーーー!!




 試合会場に入場すると途端とたんひびきき渡る歓声。隣にユキがいるとはいえ少しその場の雰囲気に飲まれそうになってしまう。しょうがないよね。ほんの少し前まで自分がこんな人前に出るだなんて考えることもなかったんだから。


 ん?でもよく考えたらこれからこの数の観客の前に、あの足丸見え浴衣を着なければならないとなると…。なんかやばい冷や汗かいてきたぞ!?


「ナユカ〜、諦めなよ〜」


「その言葉。わかってて言ってるよね!?」



「ナユカのあの衣装、可愛いから大丈夫だよ〜」


「そこじゃなくて。露出ろしゅつが多いことが問題なんだよ?」



 「じゃあナユカは私が作った服…。着てくれないの〜?」


 そう言って、ちょっとうるうるしている目元をこちらに向けてくるユキ。いやわかってるからな!?絶対演技なのわかってるからな!?


「う…」


 それでもまるで捨てられる子犬のような目でうったえ続けてくるユキに、こちらの良心がゴリゴリと削られていく。


「着るよ…。元々着る予定だったんだから…。これでいい?」


「うん!!ありがと〜!」


 私がそういった途端に「二パーッ!」と笑顔に変わるユキの顔。絶対今の演技なのに!わかっててあらがえない私がいるのだ。もう…



「でも変な人達がよってきたらユキが護ってよ?」


 そうお願いができるのもユキだから。こんな友達でも私はユキのことを信じているからに他ならない。そんな私のお願いに。ユキはその笑顔を微笑みに変えながら答える。


「もちろん。守り人ですから」


「ん?なに?」



「なんでもないよ〜」


 最後なにか言ってた気がするけどよく聞こえなかった。

 そんなユキは私の「親友」。きっとほんとに護ってくれる。だから私もユキを護れるようになるよ。



《スキルオープン》


「さぁ、時間だよ〜?ナユカ。今から私達は「役者」になり。ステージの上に立つ。今宵こよい、始まる舞台に、目立ちに目立ってその視線を独占するための第一歩。さぁ〜【私と一緒に踊りましょう】?」


 みょうに語り口調のユキが私に。会場中に(観客は選手の会話は聞こえるようになってます)そう話しかける。それと同時に発動した技がユキをドレスアップしていく。前よりもMPを少し消費して派手に吹き荒れる雪の結晶はきらびやかに辺りを彩っていた。

 あれ?これもしかして私も乗らないとダメ?なら仕方がない…。お付き合い致しましょう。


「喜んで。今宵、私はあなたと共にこの演目を踊りきりましょう。せたるは、世にも美しくきらめく星の御伽噺おとぎばなし。今此処に特大のはなを【君と咲かせようMy Lyrics】」



*>>三人称視点




 そう言って弾幕に包まれ変身するナユカ。その弾幕はナユカを中心に〔桜〕の花びらをチラつかせ、一気にふくらみ吹き飛ばす。その中から現れたナユカに会場中が息を飲む。

 あるものは可愛さにほうけ。あるものはその中に宿る凛々《りり》しさに感嘆かんたんの声をあげる。見るものが見ればその精錬された衣装とその雰囲気に恥じないナユカの演技力にも気づく。先程とは打って変わった雰囲気はまるで本物のそれであった。





*





『さぁ、始まりました!デュオの部初戦!』


『無意味な弾幕?舐めプ?』


 毎度登場する実況とその解説。アキアカネとヒカリである。しかし本来こんな初戦から実況がつくことはなく。少しばかりプレイヤーの間でうわさとなっていた。しかも、今回はここ以外のチャンネルでも実況がそれぞれ付き、その初戦から現実側でも放送中継されるほどである。


 では一体なぜそんなことが起きているのかと言うと、ソロの部の放送があまりにも人気が出てしまい、さらに同時進行で実行されているバックプラン。ゲームサービスエリアの拡大が同時に開催されていた経緯があったせいでもある。

 そのおかげというか。原因が重なり、元々注目を集めていた「Reality barrage Gamers」がさらなる注目を集めたため、一気に放送の視聴率の上昇したのである。

 その結果、元々試合数がソロと比べると低くなっていたデュオの部とパーティーの部にそれぞれ初戦から実況を配置するに至ったのであった。

 さらに、遠距離約4.2空間調律実験など様々なことも…



『でもお二人の言ってた通り会場中の視線を牛耳っております!』


『っ!それ!!それが目的。注目集めると。ユキ選手は。〔妖力〕の強化効果を。受けやすくなる』



『なるほど!それなかなか厄介じゃないですか?』


『ルール上問題ない。ちょっと強いバフと同じ』



『なるほど…』


『それより、ナユカ選手、の方。気になる』


 そうコメントするヒカリはまるで猛鳥類のような目でナユカを捉え続けていた。その様子に違和感を感じたアキアカネはその流れのまま実況を続ける。


『一体どのような事が気になるのです?』


 この問に対してヒカリと…。そして1部のプレイヤーは口をそろえてこう言った。


『ナユカも視線。集めることで、何か。ユキと同じような…。それ以上。効果を引き出す。能力、がある。…可能性が高い』


と。


『ほうほう。そう考える理由は?』


『でないと。わざわざ、ユキ選手に合わせて。弾幕。放つほどの。利点がない』



 この時はまだ知る由もない。今日この日。ナユカのとんでもないスキル。〔魅力〕が世に知れ渡るのである。



ステータス



ーーーー



名前 ナユカ


所持金 218300G



HP 0├───────────┨


MP 0├──────────╂┤


CP-5 ├───────╂───┤5


称号「回避の極意」




《スキル》


『パッシブ』


「原型」

魔力 魅力


「強化系」

体力強化 魔力強化


「生活系」

食べる


『アクティブ』


「属性系」

火 光 風 水 土


「変化系」

火炎 爆発


「鑑定系」

植物鑑定 鉱石鑑定 物品鑑定


「色彩系」

赤 青 緑 紫


「動作系」躱す 回す 伸ばす 直角 止める 減速 連動 集合 舞う 帰還 条件 打ち上げ 曲げる 振りまく 追尾


「設置系」

魔法陣 設置


「音響系」

歌唱 効果音


「表示系」

地図 表示 隠蔽 掲載


「部位系」

足 手


「命名系」

技名


「技術系」

短剣術 剣術 槍術 弓術


「造形系」

星 針 魚 桜


「体術系」

叩く スーパーアクセル 蹴る


「防御系」

防護 受け身


「装備系」

装備


「生産系」

鍛治 裁縫 調理


「飛行系」

ジャンプ 飛行


「状況系」

逆境 鼓舞


「行動系」

拍手 笑顔 投擲 与える


「?」

念話 合技


ーーーー



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