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V1.06  この世界とここの世界



『っと!もしもし!!聞こえるかー?』


「うぉ!?」


 唐突に念話が飛んできてびっくりした!!ハルトさんは声に出てたし、みんなもいきなり聞こえてきた声にびっくりしたみたい。ユキはあまり反応なかったけどビクッ!ッてしたとこ見逃してないからねー?かわゆい。




『ミカちゃんかな〜?』


『ユキか、あってるぜ!てことはみんなも聞こえてるな?』


『うん!』

『ですわ』

『はい』


『たくッ…おどかすなよ!』



『ん?あぁ…わりー。とと、ちょっと急ぎ足だけど本題に入るぜ!』


『そっちでなにかあった〜?』


 早速本題に入るようでユキも素直にミカちゃんに問いかける。


『こっちには今、大規模戦闘システムってやつがあるんだが、それを色々つついてたらこのゲームで今、何がどこで起きたかがわかるようになってるんだ。この声もリリースみんなに聞こえてるだろ?それもこれのおかげだ!』


 あ、そういえば〔念話〕してる。ミカちゃんが〔念話〕を所持しているか分からないがパーティー組んでないのに声が聞こえるのは変だ。大規模戦闘システムが〔念話〕可能にしてるみたい。


『それで〜?』


『今ここにいるうちに限って言えば、ユキ達の場所もノアの場所も全部わかる。でた…「ノアNo.7」の動きもマップ上で確認できるんだが…。このNPCとプレイヤーが敵対…まではいかないがそれに近い動きをしてるんだ』



『マジで?』


『マジだぜ、…どっちかって言うと、NPC側がプレイヤーに敵対、警戒してる感じが見て取れる』


 ミカちゃんの報告が正しいならクエストの進捗しんちょくはよろしくない。どこいるのかは分からないけどミカちゃんには全部見えているようだ。


 …ってことはどこに落ちたかもわかるんじゃ?


『ミカちゃん!その7番どこに落ちたの?』


『あ、そうか…。場所わかってるのか』


『あ?場所?場所は…、木星の人口衛星に落ちたっぽいぞ?』



『『木星!?』』


『そういえば木星の方もRBGサービス開始したとか言ってたね〜』



『いつ?』


『闘技大会イベントと同時に〜』


 へー。



「ちなみに、今どこまでサービスしてるの?」


 気になったのでユキにそのまま聞いてみると。


「こないだのイベントで木星までだね〜。動画とかでサービス拡大の声が多かったから〜」


 結構広いね?



『木星の衛星ってことはまだ初心者しかいないのでは?』


『結構な人数プレイヤーがいることはわかるんだが…。あと闘技場も結構やばいぜ?』


「艦長!場所はわかったよ〜」


「それはほんとか!?」


 ひとまず、状況は理解したので、アリオト艦長にノアNo.7の居場所を教える。今、私たちは最初に案内された部屋ではなく、そのもっと奥の方にある大きな部屋。何となくだけど司令室だと思う。そんな場所に通されていた。


「皆!聞こえたかッ!現在ノアNo.7の場所は太陽系第五惑星「木星」その近辺にいるはずだ!何としても信号をとらえてみせよ!!」


「「「はっ!」」」


 アリオト艦長の指示に一斉に動き出す船員。そのテキパキと作業を進めるその姿は少しかっこいい。色んな機会やパネルがあるが、私が見ても全く分からない。


「お礼がまだだったね。君たちにはほんとに感謝している。この艦の防衛まで引き受けてくれてありがとう」


「それほどでも〜」


 まあそういうクエストだったしね?


「ところでどうやって情報を?」


「私たちには離れた相手と無手でも会話出来るスキルがあるからね〜。それを使って離れた仲間に情報を貰ったんだ〜」


 んー…。少しまだ未解明な点が多いんだけどね?

 この中で〔念話〕を持ってるのは私とユキ、あとアリアさんは持ってるって言ってたっけ?

 あとみんな一斉になんて機能はなかったような気がするから、それもきっと大規模戦闘システムって物が関係してきてると思う。


 よく分からないから全部ユキに任せるけど。


「ん?スキルとは何かね?」


「「「…」」」


 あれー?


 みんなアリオト艦長の回答に固まっちゃったよ?ユキー。おーい!生きてる〜?ダメだ…。身の前で手を降ってるのにまるで見えてない。


 ふむ…。えい♪


「ひゃっ!?ちょっとナユカッ!!」


「いやー、止まってたから」


 私がユキをこちょこちょすると可愛らしい悲鳴とともに再起動。ユキの弱点は脇腹ね。結構弱いからここを刺激してあげると1発よー!


「もう…」


「で?なんでそんな驚いてたの?」


 私の問いかけにユキは困惑しながらも答えてくれた。


「普通…。ゲームのNPCがゲームのスキルのこと知らないと思う?」


「え?まあ、知らなかったんじゃない?」



「そんな簡単な話じゃないんだけどな〜」


 だってずっと遠い星から来たって言ってたじゃん。それにNPCがスキル持ってるなら私たちと一緒に戦ってくれてると思うけど…

 いまいちユキの言いたいことが分からない。


「まあ、ナユカはゲーム初めてだもんね〜…」



「スキルとは私たちが使う力のことですね」


 代わりにアリオト艦長にはビュアさんが説明してくれていた。


「なるほど!そんな力が…。しかしどうやって使うので?聞いたこともないが…」


 と、艦長はスキルについて興味を持ったようである。が…


「艦長!!信号をキャッチしました!!」


「でかした!!すぐにコンタクトを!」



 そんな雑談をする余裕はないようである。しばらくして船員が「準備ができました」と艦長に声をかける。


 まもなく中央のホログラムモニターに映像が送られてくる。


『こちらノアNo.7。艦長ミザール。アリオト艦長でありますか!』


「うむ。こちらから速やかに伝えなければならないことがある。現在こちらからそちらの状況は理解している。そのうえで言う。現地の人々は敵ではない。我々は先に交渉し、相互協力することを約束した。そのため速やかに敵対行動をやめ、モンスター争闘に協力せよ!」


『なっ!現地民はまるであてになるような者達ではございませんでしたぞ!』



「無礼だぞ!こちらには現在現地の人々の協力者と共にいる。そのことを心得て発言せよ!」


『はっ!?し、失礼しました。しかし、彼らとどう戦えと?もうこの艦は長くはありませぬぞ…』


『ユキ、少しその艦長とやらに伝えてはくれねーか?』


 私たちに念話で語り掛けてくるミカちゃんが、なにか案があるのか、そうユキに頼む。


『いいよ〜?』

「アリオト艦長〜。こちらから提案が〜」


「ふむ…。何かね?」



『「要はその現地の人々がデタラメに動いていて上手くいってないんだろう?ならこっちで統率を取ろうか?そのすきに迎撃げいげき体制を整えて欲しい」』


 念話でミカちゃんが言ったことをそのままユキが艦長に告げ、ノア防衛戦。第2ラウンドが始まろうとしていた。

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