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V1.07  さくせんかーいぎ!





『「要はその現地の人々がデタラメに動いていて上手くいってないんだろう?ならこっちで統率を取ろうか?そのすきに迎撃体制を整えて欲しい」』


 念話でミカちゃんが言ったことをそのままユキが艦長にげる。


「そんなことできるのか?」


「できるよ〜」




 そして、そのままユキとアリオト艦長は詳細を詰めはじめた。同じくその頃、残り4人の私たちはユキ達とは離れて作戦会議を開始していた。ミカちゃんは器用にユキに話しかけながら、それとは別に私たちに「ノアNo.7」の周辺状況の詳細データを送り届けてくれる。


 ひとまず、向こうのプレイヤーにどうやって指示を出すかは置いといて、こちらで具体的にどう動いてもらうかを考えようということだ。


 ミカちゃんから送られてきたデータは地図上で、モンスターやプレイヤーの動きがリアルタイムで表示されている。その詳細データを見ればどうやらプレイヤーの多くは闘技場周辺にいる人とノアのある方角へ移動するグループへ別れているように見える。


「これはまあ、初心者だから戦い方がわかってない人間と、スタートダッシュ決めて目立ちたい人間とに別れてる感じか?」


「あまりノア防衛をしよう。と言うよりはモンスターをともかく「派手に」倒そうとしている人たちが目立ちますね…」


「これ近くの闘技場も一緒に陥落かんらくしてもおかしくはないですわよ」


 派手に?目立ちたいからってことかな?


『指示出すなら現地の現実側の建物名称言わないと向こうのプレイヤーは分からないのでは?』

『地図今調べてる』

『さすがにこっちから木星までは移動できないよな?まだ』



「軌道ポータルはゲーム内だと作動しないらしいですよ?」


 軌道ポータル…確か他の惑星に行くためのテレポート装置的なものだった気がする。私は使ったことないし見たこともない。地球の軌道上を周回し他の惑星との行き来を楽にする装置…ってナビィが言ってた!


「行けるならそれにしたことはないんだがな…」


『こっち初心者だらけ…。俺もだけど』

『サービス始まってすぐだから玄人がいるわけないんだよなぁ』



「ノアの損耗そんもう率は現在どのくらいですの?」


「86%…。かなり危機的状況です」


 みんなよくそんなことがスラスラと出てくるね?コメントの人達もビュアさん経由でミカちゃんが送ってくるデータが見れるようにしてあるため、いつの間にか混ざるように作戦会議をしている。私は見てるだけだけど…



『初心者の目立ちたいヤツらがどんどん前に出ていく。人の話を全く聞かない!』



 木星の視聴者がそうコメントをうち。少し考えこむ3人…


「足並みはそろいそうにないな…」


「まだ〔地図〕や〔表示〕を持ってないのでそろえたくともできない人達もいますね…。これは」


遠隔えんかくで私たちが指示出したとしても聞く耳持たないのじゃないんですの?」



『そうかも』

『有り得る』



「それは…。そうかもな…」


 なかなかいい案は出てこない。そもそも私たちは戦いに参加できない状況が絶望的である。


 現状をまとめると、


・木星はサービス開始直後なのでほとんどのプレイヤーがスキルもほとんど使えない。

・そこに「ノアNo.7」が墜落ついらく

・木星周辺衛星の全闘技場と、ノアがモンスターの襲撃を受ける。

・ミカちゃんの大規模戦闘システムにより情報は獲得出来る。

・現在ノアの乗組員とプレイヤーは協力関係をきづけていない。

・プレイヤーは何していいのかわからない。

・1部のプレイヤーが目立ちたいがために突貫してバラバラな場所で戦闘を開始している。

・その人たちは話を聞く耳を持たない。

・現在ノアの損耗率は86%

・私たちはそこに行けない。行く方法がない。




 こんなところかな?



「ミカいわく〔地図〕の表示と〔念話〕は限定的とはいえ、向こうのプレイヤーでもできるようにすることが可能らしいよ〜」


 アリオト艦長と話し合いが終わったユキが一緒にこちらの作戦会議に加わった。その顔はいつも通りのニコニコ笑顔だ!可愛い!


「それにこちら側から7号乗組員も連携するよう通達した」


「あとはその問題のプレイヤーだけど〜…。私とナユカが指示を出せば…。そこそこ名の知れたプレイヤーな自信はあるからね〜」




 ほうほう!なるほどね!


 …ッてなるか!!?



「なんで私!?ユキだけでいいじゃん!」


「今はナユカさんもユキさんも同じくらい有名人ですよ?」



 うそー!!?確かに目立つように闘技大会では立ち回ったけど、ユキと一緒はないでしょ?私、最近始めたばかりだよ!?


「だな」


「ですわ」


『むしろ今まで自分がどれくらいだと思ってたのか気になってきたぜ?』


 ミカちゃんにまで否定されてしまった。あれ?私、味方ゼロ?


「だから2人で名前出しながら指示出したら、少なくとも何していいかわからなかったプレイヤーはしたがってくれるかな〜?」


「もう決定事項なんだ…」


 既にユキの中では私に拒否権なんてないのだ。いいもん!そういうことなら…。もう、とことんやってやる!



 1人私があきらめてむしろやる気を出していると、その間にどんな感じに向こうのプレイヤーに動いてもらうかも決まったみたいだった。

 みんな、無視はちょっとひどくない?なんかもう、とてつもない会話スピードに私だけ置いていかれてるよ!!




 そうしてわたしとユキは、ビュアさんが動画撮影用のカメラをちょうどいい場所に浮かべ。そこからいい感じの画角の場所に立つ。ビュアさんはカメラに夢中だ。


「まさか〔撮影〕と〔中継〕がこういう使い方できるとは…。盲点もうてんでした」


 ミカちゃん経由で一斉に木星に送信させる映像をビュアさんのカメラから送る。ミカちゃんそんなこともできるようになったとか。

 ちなみに後で聞いたら、アホみたいにEP減らされてちょっと涙目になっていたらしい。集めるの大変なんだって。

 大規模戦闘システムの本領発揮と引き換えなのだから、安いものでしょ〜?とユキが無惨むざんにも切り捨ててたのも、ミカちゃんがちょっといじけた原因である。



『じゃ、配信映像を木星戦闘区域に飛ばすぜ!あとは任せた!』


「任せなさ〜い」


「私いるかなぁ…」


 私のつぶやきは皆さんスルーでした。ひどい!








《大規模戦闘システム。指揮システム発動。指定区域のプレイヤーに映像と音声。地図の表示を開始致します》





ーーーー




大規模戦闘システム


・戦闘区域のプレイヤーの位置情報共有

・敵性反応の位置情報共有(ステルス不可)

・その他反応の位置情報共有

・マークポイントの設定

・コマンダー、サブコマンダー、キャプテン、リーダー、の任命

・パーティー、レイドパーティーの設定

・各対応スキルの大規模共有

・巨大シールド設置(ミカのEP不足により未開放)

・■■の操作。指示(条件未開放につき非表示)

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