「なんで2人がきているの?」
「私たちの職場は2日目は午前中で終わるってわかっていたからネットで予約しました」
「なるほど」
「ダメだった?」
「ダメじゃないよ」
「よかった」
「なんだ二人の知り合いか。それにしても二人ともかなり美人だな」
「知り合いというかクラスが一緒の同級生です」
「左の人は瑞樹の彼女です」
「おい瑞樹。お前は実はすごい系の男だったりするのか?」
初めてみる人からしたら俺みたいな陰キャにあんな美人の彼女がいたら不自然に思うのは当然だろう
「しかも瑞樹の彼女は学校でもクラスでもNO1と言われているぐらいの人です」
「おい瑞樹。お前実は惚れさせる能力でももっているんじゃないか」
「持ってませんよ。本当にたまたまご縁がありましてお付き合いすることになりました」
「お見合いか」
「ほんとですよね。たまたまあんな美人と付き合えるはラノベの主人公ぐらいですよ」
「さっきから敬都くんの言葉に悪意を感じるのは気のせいかな」
「気のせいです」
「まぁ冗談はさておき、嶋野さんと春乃さんはカットで予約してもらっていたけど一人ずつでいいかな?」
「はい。愛ちゃんからしてもらおう」
「うん」
愛のカットの時は後ろには俺がつくようになり、敬都はさくらさんと話している
なんか最近あの二人仲良くなっていないかな
「愛さん。なんかこっちを見ているのは気のせいかな?」
「本当だよ。俺のカットをみてほしいのに」
「あっすいません。ついみっちゃんがかっこよくて見つめていました」
「あ、そう。。。」
恥ずかしがることなくストレートな物言いに山田さんは言葉がでなくなってしまっている
「嶋野さんは瑞樹のことが大好きなんだね」
「はい。みっちゃん以外に興味がないぐらい好きです」
「うん。ちょっとまってね。おい瑞樹。お前の彼女なんかすごくないか」
「はい。何もしていなかったら才色兼備なんですが、裏ではだいぶポンコツなんです」
「そっか。了解。瑞樹せっかくだから嶋野さんの髪の毛ドライヤーで乾かしてあげたら」
「えっ。できますか?」
「大丈夫。だいたいでいいからやってあげな。多分俺がするよりも瑞樹がした方が嶋野さん喜ぶと思うよ」
愛の方を見ていると嬉しそうに目がキラキラしているようにみるのは多分気のせい
俺がドライヤーで愛の髪を乾かしている間に山田さんはさくらさんをカットするらしい。
さくらさんのカットの時は後ろに敬都が立っている
「じゃぁ乾かすね」
「うん」
愛の髪の毛を改めて触ると本当に綺麗な髪の毛だ。
元々綺麗というよりはちゃんとお手入れが行き届いている感じだ。
「へへへ」
愛は乾かされながらもずっとニコニコしている
「どうしたの?」
「なんか夫婦みたいだし、みっちゃんの美容師姿がいいなと思って」
「美容師にみえるかな」
「かっこいいよ」
「それならよかった」
瑞樹と愛の周辺だけ違う空間になっていた
「ねぇ君たちはいつもあれを隣で見せられているの?」
「はい。私も愛ちゃんが付き合ってこんな感じになるのは想像していなかったので、最初は戸惑いました」
「僕は嶋野さんのイメージのギャップが激しくて今でも慣れていない部分があります」
「うん。なんか大変だね君たちも」
「でも、2人をみているとこっちも幸せな気持ちになるし、応援したくなるのもあるんです」
「それはわかる」
「それで二人はお付き合いしている人はいないの?」
「私は今はいないですね。今はというよりは彼氏ができたことがないですね」
「僕にいるように見えますか」
「いや、一応聞いておこかなと思って」
「ひどい」
「春乃さんは美人だから告白されそうだけどね」
「確かに告白されることは多かったんですが、愛ちゃんの隣にいたら「嶋野愛がダメなら春乃ならいける」みたいな男子が多くて」
「それは最悪だな」
「はい。まぁ私が考えすぎな部分もあるのかもしれないですけど」
「恋愛はタイミングっていうから、春乃さんにもこの人なら心から信頼できる人が現れた時に付き合えばいいさ」
「そうですね。その時まで待ちます」
「一応聞いておくけど敬都は女子に告白されたことあるの?」
「あえて聞いてますよね?」
「バレた?」
「でも敬都は最初のころはTheオタクって感じの見た目だったんですが、瑞樹にいろいろ教えてもらって努力して今みたいに外にいるときはモテそうな感じなんですけどね」
「それは俺も思う。敬都の場合自分に自信がなさすぎるからそこからだな」
「私もそう思う。もっと自信もっていこう」
「はぁ。。。」
なんかいつの間にか僕がアドバイスされている感じになっている。
別に僕は恋愛相談していたわけではないのに。
「嶋野さんの髪の毛は乾いたか?」
「はい。だいたい」
さくらさんのカットを一度中断して愛の方に山田さんに戻ってきた
「嶋野さん別にいいんだけど、あからさまに俺になった瞬間しょぼんってならないで」
「なってないです」
俺から見てもドライヤーを変わった瞬間に愛の表情が暗くなったのがわかった
「まぁいいけど」
山田さんは苦笑いしながら愛を仕上げた。
仕上げの時にサービスと言って山田さんは愛の髪の毛を巻いてくれた
髪を巻いた愛はいつも以上に大人びた感じで綺麗だった
「どうみっちゃん?」
「めちゃくちゃ可愛い」
「やったぁ。山田さんありがとうございます。最後につけてくれたやつ買っていきます」
「本当に?ありがとう」
「みっちゃんが褒めてくれるならこれから巻髪の練習頑張ってみようかな」
「ほどほどにね」
なんかいつの間にか美容師さん並みに上手になってそうだなあと思ってしまった
「お待たせ」
「はーい」
山田さんは愛を仕上げたさくらさんのほうに戻り愛と同じようにさくらさんの髪の毛も巻いてあげた
「可愛い」
「ふふふ。敬都ありがとう」
「えっ。声に出ていました?」
「うん。バッチリ」
お前は天然主人公か!!って突っ込みたくなったけど抑えた。
にしてもさくらさんが少し嬉しそうなのは気のせいかな。
さくらさんの恋愛話なんて聞いたことがないけどどうなんだろう。
今度さりげなく愛に聞いてみようかな
「じゃぁまた夜に電話するね」
「また明日学校でね」
~2人が帰宅した後~
「改めて美人な二人だったな」
「まぁそうですね」
「敬都は春乃さん狙ってみたらどうだ?」
「いやいや僕なんか釣り合わないです」
「そんなことないさ。敬都のこれからの努力次第だよ」
「う~ん」
「まぁ俺は応援しかできないけど頑張れ」
「ありがとうございます」