目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第45話

僕の名前は中村敬都。

最近まで友達が一人もいない陰キャでした。

それが松岡瑞樹と仲良くなったことで人生ががらっと変わって、今ではクラスで少し目立つ立ち位置にいます。

瑞樹も僕も本当は目立ちたくないと思って学校生活を送っているのにどうしても目立ってしまうんです。

理由は単純で一緒にいる瑞樹の彼女がクラスでNO1可愛い才色兼備の嶋野愛さんだからです。

最初のころは内緒のお付き合い的な感じだったので、ある日嶋野さんがクラスで交際をカミングアウトしたことで学校中に広まり、その日を境に瑞樹と一緒にいる僕まで目立つようになりました。

なぜ僕が今こんな回想シーンに入っているのかというと2年生の最初のころには絶対に絶対に考えられなかったことが今起きているからです。


「敬都のおすすめってこのお店?」


「う、うん。ここであってるよ」


「今日は付き合ってくれてありがとう」


「全然大丈夫」


「みんなメイド服とかの知識とかないから理想が妄想なんだよ」


「僕も別にメイド服に詳しいわけじゃなくて、読んでいたラノベや漫画でメイド服の回があったから予備知識があったぐらいで」


「本当に?」


「本当です」


「じゃぁ敬都は私のメイド服姿にも興味ないんだ」


「そ、それは。。。」


「今想像した?エッチ」


「からかわないでよ」


「はははっ」


クラスでNO1が嶋野さんだったらクラスでNO2は誰かと聞かれたらみんな「春乃桜」と答えるだろう。

僕は今クラスNO2で可愛いといわれているさくらさんと一緒に二人で買い物に来ている。

これは17年間彼女一人もできたことない以前に女の子と二人でお出かけもしたことがない僕としては緊急事態が起こている。なぜこうなったのかというと


「では今年の私たちのクラスの出し物は男女逆転コスプレカフェに決定します」


クラス中から拍手が起きる


「先生まだ時間ありますか?」


「あと20分くらい使っていいぞ~」


「ありがとうございます。ではこのまま担当班まで決めてしまおうかなと思います」


さくらさんは手際よく進行を続ける。こうゆう前に出て人をまとめるのにすごく向いているんだと思う。


「コスプレカフェということは、まず「衣装」「ご飯」「内装・小道具」の3つの班にわけるのがいいかな。あとの接客みたいな細々したところはあとから決めていいとして。とりあえず3つの班にわけます。私たちのクラスが30人いるので私と森田君を抜いて28人だから、だいたい9人ずつぐらいでとりあえずわかれてみようか」


さくらさんは黒板に三つの班を書き、クラスの生徒が自分の名前を黒板に書いていった


「やっぱりこうなったか」


案の定「ご飯」と「内装・小道具」に集中して衣装には2人しか名前が書かれていない


「この中だったら衣装が一番人手がいりそうなんだけどな。誰か衣装に移動してくれる人はいませんか?」


さくらさんの問いかけに先ほどまでざわついていた生徒たちも沈黙を貫く


「まsぁこうなるよね。どうしようか」


「あの・・・」


一人の女子生徒が挙手をする

確か立花香奈さんという生徒だ。

黒板の衣装班に名前を書いてくれている一人。

もう一人も立花さんと仲がいい村山杏さんだ。


「立花さんどうしました?」


「私は縫物などは好きな方なので衣装班にしたんですが、メイド服の作り方自体がわからないんですが、それはどうしていきますか?」


「なるほど。メイド服の作り方か。。。考えていなかった。この中にメイド服の作り方を知っている人はいませんか?」


そんな人がいるわけもなく


「いないよね。う~~ん。どうしようかな」


また沈黙が流れる

するとさくらさんは何かを閃いたようにうなずき、なぜかはわからないが僕の方を見た

僕はなぜさくらさんが自分の方をみているんだろうと思ったが


「中村くんわかるんじゃない?」


「へっ?僕わからないよ」


「だってメイド服ってライトノベルや漫画によく出てくるって前に話していなかった?」


さくらさんの言葉いろんな意味で爆弾のように僕を襲っていた

まず視線が僕に集中している

そして「こいつメイド服の作り方とか知っているの?キモイな」みたいな視線を浴びているような感じがする。あくまで感じだが。。。


「それは話していたけど作ることはできないよ」


「でもメイドについてはちょっとは詳しいってことかな?」


「アニメや漫画に出てくるレベルぐらいだったら」


「十分。中村くん衣装班に入ってくれないかな?」


「いや、僕縫物とか全然できないよ」


「大丈夫大丈夫。資料とかを集めたり段取りを組んでもらう感じでいいから」


管理職みたいな役割だ。

確かにそれなら僕にもできるかもしれないけど。

僕なんかがそんな役をやってもいいのかな


「ダメかな???」


さくらさんは上目遣いでお願いしてくる

でもダメって言え僕


「ダメ・・・じゃないけど・・・」


「ふふふ。じゃぁお願いね」


こうやってさくらさんの思惑通り、僕は衣装班の管理職になってしまった


「私も実行委員しながらになるけど、衣装班を手伝うね。他にやってくれる人はいませんか?」


すると二人の生徒が挙手してくれた

瑞樹と嶋野さんだ


「敬都、さくらさんに一杯食わされたな」


「さくら、こうゆうのうまいからね」


「瑞樹、嶋野さん・・・」


「俺らもできる範囲でフォローするから」


「ありがとう」


嶋野さんが衣装班に入ってきたことで女子の数人が立候補してくれて衣装班は無事に10人になった

班の振り分けが終わり、担任の話が終わり下校の準備をしていると


「敬都、無理言ってごめんね」


「頑張ってみるよ」


「敬都変わったね」


「変われているといいけど」


「お礼も兼ねて今から遊びにいかない?」


「えっ?遊び?瑞樹と嶋野さんも誘って」


「いやいや、今日あの二人は別に予定があるみたいだから」


「2人で?」


「嫌かな?」


「嫌ではないです」


「じゃぁ決まり」


「先に正門のところで待っていて」


そういってさくらさんは下校の準備をしに教室に戻っていった。


ということがあり、今の異常事態になっているわけだ。

実際のところ、買い物じゃなくて下見といったところだが

「なんで僕だけなの?他の子たちは?」


「今日は下見ぐらいだし、敬都も他の子たちいるより私だけの方が緊張しないでいいかなと思って」


それに関してはそうかもしれないけど、さくらさんと二人でお出かけでも十分緊張しているんです。


「私と二人嫌だった?」


「嫌じゃないです」


「それはよかった」


そして僕たちはメイド服を多く取り扱っているお店に向かった。

さくらさんになんでこんなお店知っているの?と聞かれが、さくらさんが帰る準備をしている間に調べたといったら「ほんとかな~」と疑われた。これは本当なんです。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?