「愛とかいらねぇから彼女欲しいじゃろがいっ!」
ミチオの言葉に周りの三人は強く頷いた。ここは校舎の端にある誰も近寄らない古びた会議室、円形のテーブルにミチオ、タケシ、コマツダ、ブルーコブが今にも壊れそうな古びた椅子に座っている
「だが、ミチオよ。我々は彼女がほしいと散々言い続けて入るが一向に彼女などできない。これはもはや組織が我々に彼女ができないように何か裏工作を仕掛けていると考えていいと思うがな」
タケシはそう言うと、手に持っていたうまい棒を一口噛り「納豆味だこれ・・・・・・」と少し悲しそうに呟いた。ここは男四人が結成した秘密結社チェリーの花園の秘密基地(勝手に使っている)なのである。
ブルーコブはひたすら消しゴムをネリケシにしている。
「僕の意見を言わせてもらおうか?」
コマツダがかけてもいないメガネをクイッと上げて頭良さそうに話し始める。
ちなみにコマツダは全教科合わせて8点を叩き出した猛者だ。
「そもそもの前提として果たして僕達は本当に彼女を求めているのだろうか? 彼女がいることにより僕達の何が変わると言うんだね? 本質は何も変わらない。僕達は何か勘違いをしているのかもしれない。そう、僕達が欲しい物は愛でも彼女でもない! いつでも揉めるおっぱいなんじゃないのか!! 現に僕は今っ! クラスの女子達のおっぱいが揉みたくて仕方ない!!」
コマツダがテーブルに拳を叩きつける。
他の三人はコマツダの予想外の熱量に圧倒されている。
「そうかもしれない・・・・・・俺達は何で彼女が欲しかったのか、そのゴールしか見ていなかったんだ・・・・・・」
ミチオの頬に滝のような涙が溢れる。
タケシが「これで涙を拭けよ」とうまい棒(たこ焼き味)を差し出した。
「ミンナ・・・・・・ワルイ・・・・・・」
ここで暗い面持ちでブルーコブが言葉を発した
「「「お前っ! 話せるのかよっ!!」」」
全員のツッコミも納得だ。
四人は幼稚園生からの幼馴染だが今までブルーコブが話しているのを全員聞いたことがなかった。
「オデ・・・・・・モンダコトアル・・・・・・オッパイ」
ブルーコブの発言に三人共息を呑む。
おっぱいを揉んだことがある。
そんな輩が自分達のグループにいたなんて誰も想像できなかったからである。
「だ、誰の?」
「オナジ・・・・・・クラスノ・・・・・・マイチャン」
「ぶふぉあぁぁぁぁぁ!!!」
コマツダが血を吐いて椅子から転げ落ちた。
コマツダはマイちゃんの事が好きだったのだ。
「嘘だぁ・・・・・・嘘だと言ってくれよブルーコ・・・・・・」
「ツカ・・・・・・ツキアッテル・・・・・・」
コマツダの意識はそこで途切れた。
「コマツダァァァァァ!! てめぇ! よくもコマツダを!」
タケシがブルーコブに掴みかかろうと立ち上がる。
「タケシ・・・・・・アサミ・・・・・・スキダヨネ・・・・・・マイチャンニ・・・・・・イッテ・・・・・・ラインオシエテアゲヨウカ?」
タケシ立ち上がったと思ったら即座に土下座をし始めた。
「お願いしますっ! 靴なめます!!」
タケシがブルーコブの靴を舐め回している中。
ミチオは腕を組んだまま目を閉じている。
「ミチオっ! 何やってんだよ! お前もブルーコブ様の靴をなめろっ!」
「俺は・・・・・・舐めないっ! おいっブルーコブ! お前は嘘をついているな! お前とマイちゃんが付き合ってるはずがなかろう!!! 証拠を見せろ証拠をっ!!」
ブルーコブは嘘をついている。
ミチオはそう判断した。
俺達みたいなのが女と付き合えるはずがない。
もしかしたら大人になってもお金を払わないとおっぱいすら揉めないかもしれない。
それなのにこんなやつが、いつも半ズボンの下にパンツも履かずに過ごしているブルーコブに彼女なんているはずがない。
「ほらっ! 見せられないだろう? 嘘つきめっ!」
「ハイ・・・・・・コレ」
ミチオ床に膝をつき天を仰いだ。
ブルーコブが見せてきたスマホの画面にはディズニーランドで耳をつけマイちゃんにほっぺチューをされているブルーコブが写っていたのだ。
ミチオの視界はゆっくりと暗くなっていった。