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優しけりゃいいってもんじゃないですよ!!(side:フィレンツォ)




 ダンテ様は非常に、非常にお優しい方です。

 だからこそ私は不満で仕方ありません。


――何でそこまで優しくするのにあと一歩踏み出さないのか!!――


 と。



 まぁ、優しいだけではないのですが。

 入学式の時にエドガルド殿下を貶された時のダンテ様は怒り心頭と言った具合でしたが、相手がぼろぼろになるだけで留飲を下げました。


 ちなみに、甘いと思います。


 ダンテ様は婚約者様や、ご両親がそうじゃないからこれでいいとおっしゃられましたが、私は我慢できず陛下にご報告し、謝罪させに行かせました。


 ダンテ様も馬鹿にされてたんですからね!!


 教育通りに育たないのが子どもですが、それでも最低限のマナー位覚えさせてくださいよ、王族を侮辱するなんて本来なら爵位没収だけじゃすまない大罪ですよ。



 話を戻して、ダンテ様は優しい。

 エリア様の件ではエリア様にとてもお優しく接しておられる。

 正直、クソみたいな貴族はいますからね、エリア様は幸運だったと思われます。

 ただ、ヴァレンテ陛下もエリア様の件で貴族の調査に乗り出したようです。

 同じような案件が見つかる、もしくはないことを私は祈ります。


 さて、エリア様はそんなこともあり、ダンテ様に恋心を抱きます、当然ですよね。

 でも私はエリア様に、ダンテ様がお気持ちにうまくこたえられないことをお伝えしましたが――



 まぁ、此処迄奥手というか酷いとは思わなかったですよ、本当。



 クレメンテ殿下の件といい、アルバート様やカルミネ様との件といい。


 どうして!

 自分からそう相手に心を惹かせるようなことをしておいて!!

 寸止めなんですか!!



 これが本心です。

 これではらちが明かないと、私はエドガルド殿下たちも集めました


「……で、どういう事だ?」

「あの、その、えっと」

「まさかエドガルド殿下まで……」

「いやぁ、ダンテ殿下の無自覚の人たらしもここに極まれりって感じですね!」

「アルバート様、ちょっと黙りましょうか」


 修羅場になりかけているこの場で私は進言する。


「ダンテ殿下は皆様に好意を抱いていますが、それ故一歩踏み出せずに居ます。このままじゃ独身一直線で我が国が終わります」


「どういう事だフィレンツォ?!」

「好意を抱いているつまり、好きだからこそ、幸せになって欲しい、じゃあ自分じゃなくてもいいよね、という考えがあるように思えます」


 勿論後半は嘘です。

 好きだから嫌われたら怖いーという風にいってしまえばダンテ様へのオシオキにはなりませんからね。


「ふざけるな!! 私にはダンテ以外居ない!!」

「ぼ、僕も、その……ダンテ……様が……」

「私もダンテ殿下以外考えられません」

「私もダンテ殿下にお心があります、故に他人は考えられません」

「私も、アルバート様と同じくです」


 皆様、そこら辺は心は一つですね。


「ですが、このままではダンテ殿下は皆様のお気持ちにちゃんと気づいてくださらないでしょう」

「「「「「!?!?」」」」」


 驚愕するのも分かりますが、ダンテ殿下はそういう方なのです。

 なので──


 五人にダンテ様をまぁ、いわゆる逆夜這いするように進言しました。



 経験がない方がほとんどだったので、そこはそういう事ができる方をお呼びし、またダンテ様のアレをしっかり模したものを用意して何とか準備を整わせました。



 さぁ、ダンテ様お覚悟を――








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