「ではこれより―――
『
上位者同士による団体戦を行う」
3派閥が王に呼び出されてから数日後、
命令により、上位10名を選出した彼らは、
王に指定された場所に
そこは郊外にある草原で、なだらかな丘が
点在してある程度地形の起伏もあり、
そして無人の小屋らしきものもいくつか
見受けられた。
ギャラリーも集まっており、そして何より
王公認という事もあって、
その勝負の行方を見ようと、身分問わず
「では、思う存分戦うが良い。
そしてここでの勝者が、敗者を従わせる
権利がある事を余が誓う」
王の言葉に……
『闘士』『魔術師』『格闘家』の派閥の、
選ばれた上位10名は、
『おおっ』『やるわよ』『全力で行くぜ』
と、気合い十分で―――
「では、始めいっ!!」
司会役の男の号令で、全員が一気に
動き始めた。
「くそっ、ちょこまかと」
「あぁんもう、動かないでよ!
魔法が外れるでしょ!」
「ちっ!!
さすがにこっちの間合いじゃ
戦ってくれねぇか!」
『闘士』は様々な武器を振り回し、
『魔術師』は長距離攻撃に徹して、
『格闘家』は何とか接近しようと
立ち回るが、
互いの特性を知っているからか、
なかなか攻め切れず、決定打に欠ける
状況が続き、
体力的な疲労は無いものの、精神的な
焦りだけが
「……うるさいなあ」
どこからか場違いな子供の声が聞こえ、
それが彼らの戦いを中断させる。
「!?」
「え? 男の子? 何で?」
「おい!
ここは危ないぞ!
さっさとこの場から出て行け!!」
『闘士』『魔術師』『格闘家』の3派閥は、
それぞれが少年に対し困惑の色を見せるが、
「いや、別に僕はそこの小屋でちょっと
休んでいただけなので。
で、騒がしくなったので出てみたら―――
棒振り遊びに派手なだけのコケ脅しの
魔法?
それに見かけ倒しの格闘、ですか?
そういう『遊び』はどこか、別の場所で
やって頂きたいんですけど」
彼の言葉に、3派閥の代表者たちの顔は
一気に赤くなり、
「何だと!?」
「ワタシらはねぇ、王の命令で
やってんだ!」
「子供だからって舐めたら、
容赦しねぇぞ!!」
そう少年に向かってすごむものの、
彼は涼しい顔でそれを受け流していた。