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第28話

       28


 ジュリア対レオンの試合は、乱打戦が続いた。双方ともガードに重きを置かない戦い方だった。

 ガンッッ! レオンの両耳を打ったジュリアの頭の中に、鈍い音が鳴り響いた。ガロパンテ(お椀状の両手による耳への攻撃)の直後に食らった右ストレートのせいだった。

 よろめいたジュリアは、堪えきれずに尻餅を搗いた。ダメージは着実に蓄積していた。

 レオンはキックで追撃してきた。地面上の石に対して行うような蹴りだった。

 やや上げた左足でジュリアはなんとか防御。地に突くと同時に腰を持ち上げ、フル・パワーで右足を振り上げる。

 レオンはスウェー(後方への頭の移動)で回避を試みる。が、足は顎を掠めた。ぐらりとするも、レオンは足の裏での攻撃を続ける。

 ジュリアはすかさずバク転。着地するや否やぐっと前に踏み込んだ。勢いを付けてジョエリャーダ(膝蹴り)を当てる。

 一瞬、動きを止めたレオンは、大きく後退していった。

(ここで決める! 絶対!)ジュリアはダッシュを始めた。レオンの手前で横回転し、足を斜め上方に押し出した。

 ドゴッ! と頭に受けたレオンは、背中から地に落ちた。大の字になると、とても残念そうに話し始める。

「あーくそ。まーた負けたか。どーにもお前には敵わねえな」

「あたしは無敵! だから今日の勝利も必然だよっ! まあでもやってて楽しかったよ。またやろう。あたしはいつでもばっち来いだからさ」

 レオンに熱い視線をやりつつ、ジュリアは興奮気味に嘯いた。

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