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第106話 逃走。マホ

「“マジック・シュート!!”」


 私はマホ。

 通路で追ってくるロボット(インベーダー)を、私は魔法弾で狙っています。

 5、6発ほどシュートしたのですが、それが全て一体に当たりました。


「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「あ、ダメです!! 全然怯んだ気がしません!!」


 一応少しベコベコに凹んではいるっぽいんですが、活動停止に追い込めていません!

 まだ何十発か必要そうなのですが、一体にそれだけかかると、何十体も追いかけて来ている今の状況だと全然間に合いません!!

 うう、攻撃主体じゃ無い魔法少女の悲しきサガです!!


「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「とか言ってる間に、続々とやって来ましたー!?」


 もうこれ、30体くらいいません!?

 もう狭い通路なのにギチギチです!!

 蜘蛛の形をしたロボット(インベーダー)がここまで密集して追いかけられてくると、普通に生理的嫌悪感が酷いです! 吐きそう!!


「ええい、こうなったら!! “マジカル・シールド!!”」


 私は撃破を諦めて、普通に得意の盾を使うことに致しました。

 魔法のバリアを貼って、通路を完全に通せんぼしました!!


「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!?」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!?」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!?」」」

「ふう。最初からこうすれば良かったです……」


 私の貼ったバリアにぶつかったロボット(インベーダー)が、ガシャンガシャンと音を立てながら沢山ぶつかって行きました。

 狭い通路だから、貼るバリアの大きさもそこまで多くなく、耐久にリソースを割り振る事が出来ました!

 これならしばらくは安心でしょう!


 にしても、このロボット(インベーダー)。正直趣味悪いですねー。

 これが本当に、メタルマンさんが使ってるロボットと同一存在なのでしょうか?

 正直、マンションで見たものと違いすぎて、全然別物に思えるような……

 まあ、この時点の私はまだインベーダーって気付いていないのですが。


「まあ、良いです。すみませんが、このまま逃げさせてもらいまーす……」


 そうして、私はバリアを貼ったまま反対側に進もうとした。

 さて、通路は……二方向に分かれていますね?

 どっちに行ったら良いでしょう……

 と言うか、正直ずっと逃げていたから、今どこにいるのか全然分かりません。

 最初に落ちた穴から、どれくらい離れたのでしょうか……?

 地図とかこの辺りに無いですかね、フロアマップみたいな。


「まあ、とにかく今は離れるのが先決ですね。バリアも長時間はキツいですし。適当にこっちに……ん?」


 適当に選んだ道を進もうとしたら、その進行方向から音が響いて来ました。

 何の音でしょう? 聞き覚えのあるような……

 だんだん音が大きくなって来て……


「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」

「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」


「よし。逃げましょう」


 私はくるりと踵を返しました。

 そうして、選ばなかった方の道へ改めて走り出します。タッタッター。


「「「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」」」

「うざいです!! “マジカル・シールド!!”」


 そうして、私が通った直後の道にバリアを改めて貼り直しました。

 最初に貼ったやつは既に解除しています。もう新しいので十分ですし。


「うわーん!! なんでこんなにいるんですか、メタルマンさんのバカー!!」

『おい待て、私は全然関係無いぞおい!?』


 何故か脳内イメージのメタルマンさんが否定して来たような気がしますが、そんな事気にしていられません!!

 私はさっさと通路を走り抜けて行きます!


「けど、またこの先で別の団体に遭遇したらどうしましょう……!!」


 そうなったら、一環の終わりです!!

 頼むから、ぶつからないで下さい! そう念じながら走っていると……

 ふと、見覚えのある通路にやって来た。ここは……


「あれ? あの天井……私が落ちて来たやつじゃないですか!?」


 思いっきり見覚えのある大穴が天井に開いていました。

 いつの間にか、元の場所まで戻って来てます!? そんな〜!?


「「「◆◆────────」」」

「っ!! ヤバっ、やっぱり前からも来そうです!?」


 懸念してた事が当たりました!!

 このままじゃ挟み撃ちにされてしまいます!?

 二箇所以上にバリアは貼れなくは無いですが、魔力ガンガン消費しますし、ぶっちゃけキツいです!!

 前後にバリア貼ったとしてもジリ貧で、いずれ両側から破れて潰されてしまいます!?

 どうしましょう、逃げ場なんて……!!


「──あ! そうだ、“天井から逃げましょう”!」


 私はピンッと、良いアイデアを思い付きました。

 落ちた直後は慌ててたから気付かなかった事です。

 しかし、狭い通路と言っても天井までそこそこの距離です。

 空を飛べない系の魔法少女である私じゃ、全力ジャンプでもギリ届かないでしょう。


 けど、実は裏技があるんです!!

 バリア魔法ならではの! 実は……


「ちょこっと! “マジカル・シールド!!”」


 そうして私は、小さな“マジカル・シールド”を展開致しました。

 “空中に真横に”。

 手で触って、空中にしっかりと固定されている事を確認致します。


「よし、大丈夫そうですね!! もういっちょ! ちょこっと“マジカル・シールド!!”」


 そうして、作ったシールドの上にずらすように、もう一つのシールドを展開します。

 これを繰り返し……


「ジャーン♪ 完成、シールド階段〜!!」


 そこには、シールド魔法で出来た階段が天井に向かって伸び上がってました!

 バリア系は空間に固定される仕様を利用した、踏み台代わりの応用です!

 これなら、擬似的に空中戦も可能です! 我ながら良いアイデアです!!


「よっと。よしよし。このまま脱出しましょう!!」


 そうして、私が階段を上がり始めたところ……


「「「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」」」


「「「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」」」


「やばい!? もう前後から追って来ました!?」


 予想通り、前後からロボット(インベーダー)が大量にやって来ています!!

 階段作るために、どうしても既に設置してた方のシールド解除せざるを得なかったから、後ろからもやって来ました!!


 私は急いで階段を駆け上がります!!

 もう少しっ……外だ!!


「出られましたー!! ステップ解除!!」


 私は急いで、階段状のバリアを解除し。


「続けて、“マジカル・シールド!!” 穴を塞いで、と!!」


 出て来た穴を、バリアでしっかり塞ぎます。


『『『『『◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!』』』』』

『『『『『◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!』』』』』

『『『『『◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!』』』』』


「……ふう。今度こそ一安心ですねー」


 私はようやく、深い息を吐く事が出来ました。

 バリアの下で、蜘蛛型のロボット(インベーダー)が密集しているのが見えます。キモいです。


「っと、安心してる場合じゃありません。元々放送で私はここから追われたんでした」


 私はその事を思い出して、あたりを見渡します。

 幸い、下にいるロボット(インベーダー)と同じものは、地上の周囲には見えないようですが……


「この場にじっともしていられませんね。早く皆さんを探しましょう!!」


 そう思って、私はその場からタッタッタッと離れていくのでした……



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