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第105話 共闘。カイトとマックス

「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」


「くっそぉ!!」


 マックスが、とっさに特殊な銃を撃つ。

 蜘蛛型のインベーダーの一体にヒットし、バチバチッ! っと放電したような音がして、そいつの動きが鈍る。

 だが、インベーダーは複数……全部で五体いた。

 残りのうち一体が、マックスに向かって刃を振り下ろす。

 マックスの回避は、間に合わない。死────


「しま──ッ?!」

「おらあッ!!」

「◆◆◆◆◆◆────!?」


 ──んではいなかった。俺が防いだ。

 マックスを狙っていた蜘蛛型インベーダーを、俺がユウカのナイフで斬りつけた。

 流石は勇者のナイフ。金属に対して斬っているのに、スルリと刃が通る。

 刃渡りが足りないから胴体を一度に真っ二つには出来ないが、足先くらいなら切り落とせる。

 マックスを狙っていた足を切り落とし、何とか攻撃を防いだ。


「……は?」

「ボサッとするな!! 次来るぞ!!」

「っ!!」


 しかし、このままでは一回防いだだけ。

 マックスを狙っていたやつは、残った足で追撃しようとしている。

 ならば──


「これ、だあッ!!」

「◆◆◆◆◆◆────!?」


 俺はナイフを数度切りつけ、目の前の蜘蛛型インベーダー1体の足を全て切り落とした。

 本体が一刀両断出来ないのなら、動くための足を全て斬り落とせば良い。

 そうすれば、何も出来ない箱の出来上がりだ。

 足が全て無くなったインベーダーは、地面に転がって甲高い機械音を出すだけになった。


「◆◆◆───?!!」

「す、スゲエ……」

「まだ! 残り4体!!」

「っ!!」


 俺はマックスに声を掛け、残りの四体のインベーダーに向き合った。

 マックスも、戸惑いながら銃を構え直す。

 一体は、まだ痺れている状態だ。残りの三体が、しゃがみ込む……


「「「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆────ッ!!」」」


 三体同時に襲いかかって来た!!

 これは、同時に対処しづらいか! なら!!


「このっ!」

「下がってろ! マジック・シールド・メダル!!」

「「「◆◆◆◆◆◆◆────ッ?!」」」

「っ?!」


 銃を向けているマックスを肩を掴んで下がらせ、俺が前に出てマホのメダルをかざす。

 するといつものバリアが現れ、インベーダー3体を壁で阻むように防いでくれる。


「今だ、撃て!!」

「っ、おお!」


 完全にインベーダーの勢いを止めて、瞬時にバリアを解除した後、マックスに声を掛ける。

 マックスは言われた通りに立ち止まった状態の3体に、例の特殊銃でバシュバシュ撃っていく。

 これで、残った4体の動きが全て鈍った!!


「マックス! そのまま撃ち続けてろ! 俺が解体する!!」

「お、ああ!?」


 俺はマックスが定期的に撃ち続けてくれてる内に、痺れたインベーダーを一体ずつ足を切り落としていくのだった……


 ☆★☆


「ふう……危なかった。これで無力化出来たか?」

「あ、ああ。多分……」

『◆◆◆◆◆◆◆〜〜〜〜ッ?!』


 俺は5体全部のインベーダーの足を切り落として、一仕事終えたように声を上げた。

 ビックリした、これがインベーダーか……

 俺は改めて、目の前の蜘蛛みたいな形をしていた機械生命体をマジマジと見つめた。

 今は頭と胴体らしき四角いボックスが転がっており、音を放つだけだった。


「こいつらがインベーダーなのか。初めて見た。こいつが定期的に襲いかかってくるのか?」

「ああ、まあ……形は、その時によって色々と違うが、外観と素材は大体一緒の筈だ」

「ふーん……どうすれば良い、これ」

「……ひとまず、ここに置いておく。後で回収班を呼んで、回収してもらう」

「ん、了解」


 しっかし、まさかいきなり襲われるとはな……

 話に聞いていた通り、人類に敵対的って言うのがはっきり伝わって来たぞ。

 あぶねーなー、と俺が内心思っていたところ……


「な、なあ……」

「ん? 何?」

「……ありがとうな。助けてくれて。一応礼を言っておく」


 そう言って、マックスはペコリと頭を下げてくれた。

 それを俺は良いって、と謙遜する。


「別に良いよ。あんたがその銃で麻痺してくれなかったら、だいぶキツかっただろうし。お互い様だ」

「それでも、命を助けてくれたのは事実だ。本当に感謝してる」


 ふう、とマックスは突然その場に尻から座り込んだ。

 深い息を吐いて、落ち着こうとしているようだ。


「はは、悪いな……メタルマンから装備を貰ったと言っても、俺は元々整備士だ。今みたいに、足止めぐらいが役目だったんだよ。一人じゃ絶対倒すどころか、逃げ切れなかった。だから、あんたがいてくれて助かった。あんたスゲーな、もしかしてミュータントだったのか?」


 マックスの問いかけに、俺は直ぐ否定する。


「違うよ。メタルマン同様、道具頼りの一般人だ」

「……はは、そっか。とにかく助かった。ありがとう」


 さて、と。と、マックスがゆっくりと立ち上がる。

 そして懐から何か端末を取り出した。


「とりあえず、上に報告させてもらうか。この地区のインベーダーは片付けたっと……」

「この後どうするんだ? 当初の目的の場所にこのまま行くのか?」

「んー、一応そのつもりなんだが……正直襲撃が再発生した以上、あんたに関わってる余裕が無さそうと言うか……むしろ、“思ったより戦力になりそうだから逆に助けて欲しいかも”って言うか……うん?」


 すると、ピロンッ♪ と端末から音が鳴り響いた。

 それに気付いて、マックスが端末の画面を見つめていくと……


「──!! 他の地区でも襲撃か!? それに応援に行けだって!?」

「マジか! じゃあ、俺達はここでお別れか? もしかして、俺一人で迎えば良い?」

「……いや、逃げ出すかもしれないし、あんたを放置も出来ねえ。……申し訳ないけど、俺に付いて来てくれるか。後、可能ならさっきみたいに助けてくれると凄くありがたいです」

「……まあ、良いぜ。可能な限り、手伝ってやる」


 俺自身、元々情報収集が目的だ。

 メタルマンが手こずっているインベーダー達を直接見れるのなら、こんなちょうど良い話は無い。


「助かる!! じゃあ、行くぞ! 付いて来てくれ!!」


 そうして、俺は改めて、走り出したマックスの後を付いていくのだった……


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