すざくは身動きが取れなかった。あまりに突然の出来事。眼の前の光景がゆっくりと動き、そして真っ黒い闇へと変わる。すでにその刀身は、自らの身体を真っ二つに両断しているはずで――あった。
まばゆいばかりの青い光。激しく、そして雷のようにうなる。
「大丈夫か」
「......!」
検事やさかはまるで空中に浮くような状態で、太刀を振り下ろしていた。それを右手――素手で『つかんで』いた。
すざくはあまりのことに目を見張る。
素手で刀をつかんでいるのだ。
青い光がさらに、輝きを増す。軽く
右手をすっと下ろす
「みなさま、見ましたか」
立ち上がりながら
「あれは――魔法少女の使う魔法の一つ。防御魔法ですわ。『青き光を持ちて、大手の軍勢これを退ける』とも古典にも記されています」
検事やさかは太刀を杖によろよろと立ち上がる。にやっと笑みを浮かべながら。
《罠だったの......?唯依《ゆのり》の正体を暴くために......》
「馬脚を現したな!
検事やさかがそう苦しそうに喘ぎながらいい放つ。
「検事、任務ご苦労ですわ。これにて真実は明らかになりました。魔法少女は
扇子をすっと首の横にスライドさせる
「死刑!古の有職故実に基づき、国家に仇なす魔法少女はその場で討ち果たされるが必定!」
その声を合図に、一斉に響き渡る金属音。この裁判を見ていたヴィヴォンヌ集会の生徒たちが手に拳銃を構えていた。
四方から囲まれる
「如何に魔法少女とはいえども、四方からの一斉射撃を防御魔法で防ぐことができますかね?古の習わしであれば、斬首が適当ですがこれも時代の流れ。死んだ後にその首を落として差し上げますわ......!」
高笑いとともに、
後ろにいる伊集中佐はただ、この状況をじっと見つめているだけだった――