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第11話 DAY7②

 うちの家にはフライパンは小さいのしかない。だから、カレンの家から持ってきてもらおうと思ったが、カレンの家のも小さいらしく、どうしようか悩んでいた。


「聞いたことあんねんけど、キャンプとかだったらホットサンド包むやつで焼くみたいやで。」

「うちにそんなんあると思う?」

「無いよなぁ。」


フライパンを入れている所を探しても、私があまり食べる人ではないから、小さい大きさのものしかない。


「まぁ、これで手返し良く焼くか。」

「そうだな。」


フライパンに油をしき、餃子を並べて水を入れる。そのまま蓋をして2〜3分。待っている間に皿を準備して、蓋をとって水分を飛ばしたら完成。皿にひっくり返して第1弾の12個が完成した。


「「いただきます。」」


手を合わせてから、ひとつつまむ。タレにつけてご飯の上でワンバウンド。口の中に放り込むと、肉汁が広がっていった。


「なかなかいけるね!冷凍食品って感じはちょっとするけど。値段を考えたらいいんじゃない。」

「音羽ちゃん、もうちょっとカリカリに焼いてくれへん?まだ焼き目の部分がもちってしてる。」

「マジで?」


そう言って、2個目を取る。


「ほんとだ。ごめん。」

「ええで、美味しいし。」


第1弾は私は5個食べて、もう一度キッチンに戻る。


「次はもうちょっと水分を飛ばして。」


さっきと同じ手順で焼き始める。今度は水分を飛ばす時間をちょっと長く。いい感じの色になったら皿にひっくり返す。


「はい、第2弾〜!」

「うおぉぉ!」


また座って、ひとつつまむ。今度は上手くできていた。


「うんうん、このカリカリがいい!何か、餃子って感じがするわ。」

「さっきはしなかったってことかな?」

「ちゃうちゃう、こっちの方がってこと。」

「ホンマに?」

「ホンマやって!」


何気ない会話をしながら食べ進める。さっきよりもペースが早い。


「次、カレンが焼いてみなよ。」

「えぇ〜っ。」

「自炊するんでしょ。これくらい出来ないと。」

「分かった。」


カレンは立ち上がってキッチンに向かう。私はその後ろ姿を見るだけ。何やら説明書を読み込んでやっている。手順通りやっていたらまぁ問題ないだろう。


「あっつ!」


カレンの叫び声が木霊した。


「どしたん?」

「蓋の金属んとこ、手当たった。」

「はぁ〜、これで冷やしな。」


保冷剤を差し出す。カレンはそれを手に当てて冷やしながら焼けるのを見ている。


「アンタ、そんなんで自炊できてるの?」

「バレたか。インスタント生活です。」

「不健康め。丁度いいや。簡単な料理ぐらいだったら教えてやるわ。感謝しなさい。」

「マジで!音羽ちゃん、マジ神!」

「よせ、照れる。」


結局、第4弾は私が焼いて、餃子パーティはお開きになった。隣のうるさい住民とも何か約束したし、今年の夏休みは暇にならなさそうだ。

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