正直言おう。今日が佳境だ。
「やべぇ、論表何言ってるか分かんねぇ。」
「あんなん分かるもんとちゃうやろ。勘や、勘。」
「はぁ、ひい君みたいに勘で点数取れたらな。あぁ、今回欠ったらやばいのに。」
「そうそう、それは私も。」
「おい!そこの天才2人!なんで俺だけに回してん。」
「「今勉強中。」」
「おい!そこで組むな!」
俺も結構やばいんだっちゅーの。じゃなくてマジでやばい。どれくらいかって?ん〜、millennium paradeと川谷絵音がプロデュースしてるバンドが集まるくらい。
いやね、君たちもやばいと思うんですけどね、俺も俺で平均以上取らないと安心できない性格なんですよ。ね。
「はあぁぁぁ、何で君たちは昨日RINEで聞いてこないんですか?」
「あっ、その手があったか。」
奏が分かりやすく手を叩く。だろうなとは思っていたが、やっぱりか。
「しょうがねぇから30分までに聞きたいこと全部聞け。」
「はい!ひい君!範囲を教えてください!」
「次は?」
「ひい君、酷い!酷すぎる!」
「お前にそれ言われても何とも思わんねんな。残念ながら。」
きいは明らかに不服そうな顔をしてる。自業自得だ。
「じゃあ、次私ね。ここが何で4にならんのか分からんねんけど。」
「それはな…」
「なるへそ。じゃあ、ここは?」
「えっと、そこは確か…」
「そゆことね。じゃあ私は奏にパスして自分の勉強に戻るわ。」
「家庭科ヤバいんだってな。頑張れよ。」
「おう!」
海南さんは今日の教科の2/3が追認の可能性があるらしい。本当に頑張れ。
奏の方に目をやると、何やら必死に問題集に書き込んでいる。問題を解いているのか?
「奏は?」
「何となくわかるから大丈夫。俺が分からんとこも楓と同じやったから、隣で聞いてた。ありがとな。」
「お、おう。」
若干、声に尖っているものがあったが、そういうことだろう。たぶん。
「俺もやるか。」
「ひい君、私は?」
「関係詞と比較だ。自分でやれ。」
「けちー。」
俺は知っている。きいが家でほぼパーフェクトまで仕上げてきていることを。どうせ問題集は10回近くやってきているんだろう。今回はガチとか言ってたし。
「これ乗りきったらアニメ解禁!」
そんなことを呟いて、俺は問題集を見ていた。
カリカリとシャーペンが削れる音とペラっと紙をめくる音。俺は終わったが、みんなはまだやっているのか。
―キーンコーンカーンコーン
テストが終わった。時間は11時40分。昼に掛かり着ているが、空腹は感じない。テストが終わった安心感と睡眠欲に満たされていた。
「んぐぐぐぐぐ。」
固まりそうな体を伸ばす。首とか肩甲骨とか腰とかがピキピキ言っているが、それだけ頑張ったんだなって思う。
この後はテスト返却が少しある。そんなこともお構い無しに俺たちは集まっていた。
「春休みどうする?」
「やっぱり来ると思った。」
この会議が開かれるのは俺の机。いつもの事だが。
「じゃあ、行きたいとこみんなで言おうか。」
「だね!じゃあ行っくよー。せーの!」
『花見キャンプ!』
珍しく、全員一致だった。なかなかこのグループでこういうことがなかったから、少し嬉しいような気が。
「あと、普通に花見もしたくね。」
「確かに、聖地巡りとか。」
「なら京都か。」
「Q、そういうことには詳しいね。」
「だろ。」
俺の印象、オタクになっているのか。悪い気もしないでもないけど。
先生が入ってくる。手に4つの封筒を抱えて。
「じゃあ、詳しいことはKYUKA組で。」
「おけ。」
俺たちは一旦解散。テスト返却の注意事項を聞いて、テスト結果を貰いに行く。
俺は今回も『一日目のジンクス』が発動し、KYUKA組の中では、きいと海南さんを除いたら現在最下位である。あと8教科。