なぜ意識の難問が解けないのか、なぜ単なる有機物の塊たる脳の電気信号が意識になるのか。なぜそんな知性が生じ、この宇宙を理解しているのか。
真に人間の知性を一から人工的に再現するのなら、これらの仕組みを解明せねばならない。その未解明な領域はまるでオカルトだ。
だから、
最たるものは、その姿形が少女を模している点だ。
表向きは、「神が成人男性と目されるアダムを最初の人として創ったと聖書が伝えるなら、ぼくらは少女として創ろう」ということで提案した。でも真実は異なる。
魔女狩りでは男性も犠牲になったように、〝魔女〟という言葉は男の魔術師も含んだ。にもかかわらず女を想起させる名称なのは、それほど女性が魔法使いに向いていたためだ。世界中の神話を眺めても、産む性である女性神を太母神などの原初の神として重視するものが多い。
他方。子供はその純粋無垢さで神秘的なものを受け入れやすく、そうした存在と遭遇しやすいともされる。さらに生まれて間もないため誕生以前の現世でない世界に近く、通じているとも目される。
故に女性にして子供であることは、最も霊感に優れているということ。老若男女のうち、少女は最高の霊媒なのだ。
それ以外にも、オカルトに基づく技術は用いている。そうしたものが、科学的に未解明で補うすべさえ浮かばない箇所のパーツになることを願ってのことだ。
そんな意味では、〝願いを込める〟なる科学的根拠のない働きを期待するのも珍しくはない。神話や伝説にあやかろうと、それらに由来する名がつけられた科学の産物はままある。
心を持ったロボットを人型にする必要もない。――愚かな人間そっくりの知性にする必要も。
しかし、フランケンシュタイン・コンプレックスのような欲求が、ぼくをそこへと駆り立てるのだ。
ギュスターヴ・ドゥミ