――副所長、詩江里聖奈を除く全研究所員を〝神隠し〟により消去完了。
聖奈を重要監視対象二名のうち一名、最重要監視対象と認識。映像と音声を可能な限り文章に変換、記録する。
対象は現在、自室のデスクにて提供されたレポートを朗読中。
服装――ワンピースの上に白衣を羽織り、レッグウォーマーとブーティーを着用。長髪はサイドテールにし、カチュームで固定。
「……こんな書類があったなんて」
聖奈、発言。レポートを卓上に置くのを確認。
「するとH102の完成時期にも誤差が出て、時刻の固定とも合致する。あたしってばやっぱ天才ね! 原因はフランス、それもこの研究所A棟!!」
外部より聖奈への電子的接触を感知。分類、Eメール。
グローバルネットに照合。
……監視対象、南方祝馬のアドレスと一致。――通信を許可する。
『ユー・ガット・メール』
聖奈の携帯端末より、合成音声。
「えっ! どことも交信できなかったのに……」
端末を確認した対象に安堵の反応。瞳に涙の蓄積を検知、――袖により払拭。
「……よかった」