目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

監視カメラ/警備室

 ――上映終了。映像を通常通りに切り替え。

 聖奈、モニター設備の前から振り返り、入り口上部角の監視カメラを確認。


「ノーベル賞受賞当時、博士が講演しに来日した際のニュースね。こんなところにあるはずない記録だけど、勝手に映しだされた時点でやぼなツッコみか」


 聖奈がパネルを操作。監視カメラの映像を閲覧。


「所内に残ってるのはあたしだけみたいね。すると根本の仕様から異変に換装されたか、従来のままか。……COMコンピュータ


 システムが聖奈の呼び掛けを感知。合成音声にて応答。


『はい、発言をどうぞ』


「ログイン情報を確認。あたしは誰?」


『あなたは、スケーリーフット社パリ支部研究所名誉副所長、詩江里聖奈です』


「監視カメラで中央ホールを映して」


『アクセス拒否。セキュリィティはロックされています。現在、スケーリーフット社パリ支部研究所はH102によって統合管理されており、レベル5の領域に許可なく介入することはできません』


「使えないわね。あたしがH102よ、って言ったらどう?」


『アクセス不可。H102の声紋認証が可能なエリアは中央ホールに限定されています』


「ふーん、いい度胸ね。来いってことか」


 聖奈、警備室の端末を操作。


「所長室の鍵があればいいんだけど……。COM。あたしがこの部屋に入って以降、所内に目立った変化はない?」


『一階、裏口に侵入者が一名。――ただいま退去しました』


「え、開かなくなってたのに。記録映像はある?」


『はい』


「それ、モニターに表示して」


『了解。中央モニターで再生します』

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?