その日のうちに皆で街道地図を確認した。
残っているのはザブールから出て、同規模の街ヘイスリとラスであった、その先は目標の城塞都市カルトルになるのである。
因みにザブールからヘイスリまでは約一日、ヘイスリからラスの間もほぼ一日ラスとカルトルの間もほぼ一日であった。
「あと三日か、順調にいけばだが」と『ウィーゼル』はいった。
「何か懸念材料でもあるのか?」と『ゲルハート』はいった。
「ラスで悪霊騒動が、起きているみたいなんだ」と『ウィーゼル』はそれに答えた。
「悪霊か、
「悪霊といっても種類が様々ではあるが、どうやらレイスが夜の街を徘徊しているらしい」と『ウィーゼル』は深刻そうにいった。
「手放しでは通過できそうにない、一戦やる覚悟でないと難しいだろう」と『ウィーゼル』は追加した。
ザブールの街ではすでに噂が広がりつつあった、ランク九のパーティーがオーグの頭領ロック・スカーフェイスをヤったらしいと。
どこの誰がという話になると黒衣の剣士が首を持ってきたらしいとしか噂が出ていなかった、黒衣の剣士なんて結構ザラにいるものなのでどこの誰という話も飛ばなかったのである。
「レイスって厄介よね」とは『セリア』の一言であった。
「物理攻撃は効かないし、かと言って向こうの物理攻撃だけは通る。卑怯な悪霊の代名詞じゃない」といったのであった。
「まあ、事前に剣に魔法さえ乗っていれば叩き切れるんだけど」とも追加した。
「ラスに着いたら二手に分かれるか、御者さんたちを一組で守って、もう一組でレイスを潰すかの二択じゃないかしら」と『セリア』はいったのだ。
「すでにここ、ザブールにランク九パーティーが居るって噂で持ちきりだわよ」とソロッと街に買い物に出ていた『セリア』がそう報告した。
「商店街のおばちゃんがそういう噂好きみたいでね、教えてくれたのよ」と新鮮な果実を食べながらそのように話したのであった。
「そんなに広まるのが早いのか」と『ゲルハート』がいった、当の黒衣の剣士その人である。
「パーティーって言ってたから、皆のことも含めてじゃないかしら」と『セリア』は助け舟を出したつもりであったが。
「俺がパーティーでヤったって、門前町の番屋で言ったからなあ」と『ゲルハート』が白状した。
「まあ、仕方ないじゃない、いずれはバレるものだし」と『セリア』はお気楽にいった。
「レイスのお値段は、三千九百ゴルトらしいわよ。とりあえず手配状は見て来たけど、中堅の冒険者パーティーを何組か倒して調子に乗ってるらしいから、価格が上がってたわ」と重要な情報も『セリア』が街で見聞きしてきたものであった。
「で、まだラームリッツァの向こう側のラームリツは解放されてないらしいの国王軍も手を焼いているみたいね」とさらに重要な情報も『セリア』はいったのであった。
「まあここからじゃ、呼びに来られても行けないけど……」ともいったが一抹の不安は無い訳ではなかった。
「明日までに両方とも、ケリが着いたらいいですね」と私は希望的観測をいうに留めた。
「それは、いかな都合よすぎだろう」と『ゲルハート』いった。
「どっちかは、降りかかってくるんじゃない?」と『セリア』はいった。
「流石に、銘はもらって無いから、国王軍から呼ばれることは無いと思うけれども」と『セリア』がいった。
「まあ夜も
次の日の朝無事御者さんたちと合流すると、御者さんたちはラスに幽霊と言うか悪霊が出るらしいですね。
という話になり、「イザとなればまたオーグのように退治できるわよ」という『セリア』の説得により。
無事馬車はヘイスリに向かって、出発したのであった。
もちろんヘイスリまで何事もなかったのは伝えておかねばなるまい。
「で、値段上がってたわね四千ゴルトに……」とラスに出る悪霊の話をしたのであった。
「こりゃあ一筋縄ではいかないかもよ?」と『セリア』はいった。
「ランク六のパーティーが全滅したみたいだから。レイスだけじゃないかもね」ともいったのであった。
でまたヘイスリでの宿はロイヤルスイートツインダブルであり、「この環境になじむと他の宿が辛く感じるわね」とは『セリア』の弁であり事実でもあった。
「悪霊だけに、出会ってみないと分からないしどんなものが居るのかもわからない、それに一匹だけとは書かれていない。明日は気合いを入れて臨むとしよう」と『ウィーゼル』はいった。
そして次の日、御者さんたちも
そしてラスまでの旅が始まった、今日はいつになく急ぎで飛ばしているようでもあり、夕暮れ時にはラスの街に付いており、問題なく門を通過し、オシュル商会の宿に即刻着いたのであった。
一応部屋には休憩するということでロイヤルスイートツインダブルには入ったが、即刻作戦会議が行われたのであった。
警備兵詰め所で、情報集めを行った『セリア』の弁によると街の中で襲われている、場所は教会通りと呼ばれる所で襲われているのが一番多いとのことであった。
昨日挑んだランク六のパーティーも漏れなくその場所で襲われていたのであり、街の地図にパーティーや挑んだもので亡くなっていた場所を記してもらってきたのである。
その結果、皮肉なことにサリーネ神殿の近くが一番多いとの結果が出たのであった。
「何かあるのかなぁ? その場所に強い恨みを抱く者の仕業かも?」とは私の弁であったが、皆それに
「いっそのこと、サリーネ神殿の前で待ってみては?」と私がいった。
「それなら証人も、得られるし。ついでに支援も、もらえるかもしれない」とも追加したのであった。