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第2話 ヒュドラ

 その日は珍しく曇りがちな湿度の高い天気であった。


 宿屋で保存食と非常食を最大に積んで出かけたのであった、支配人に見送られながら旅立ったのである。


 国境といっても大した設備がある訳ではなく、御禁制の品物が無いかとか聞かれたが冒険者証を見せると、一発で通ったりしてしてしまったとかいう状況であり特に検問所で問題は起きなかった。


 むしろ「今日の天気はヒュドラが出やすいのでお気お付けてー」といわれるくらいであり「疑念を抱かせるようなこと言ってどーするんだ」と、その検問官がスリッパで頭をはたかれたりするどつき漫才に近いことを素でやってたりしたのを見たわけだが。


 こちらとしては不安要素が鎌首持ち上げたようなものだった。


「確かに見えますね、城塞都市カルトルの端から端よりも短いのでは?」といいながら丁度中盤に差し掛かったくらいだった。


「何か居ますね」と視界の中に何かをとらえた。


「ティルファー」と『セリア』が唱え「ヒュドラだわアレ、しかも旅の人が襲われてる」といったのであった。


「それは助けないわけにはいかんが、難儀じゃのう」といいながら『ウィーゼル』はダッシュしたのであった。


 パーティーリーダーが突っ込んだのを手放しで見ているわけにもいかず皆で走った「付いてねえな」と『ゲルハート』がいった。


「数は一匹じゃ! 畳んでしまうぞ」と『ウィーゼル』はいってさらに走り込んで一撃目をボディーブローに近い形で胴の正面を殴った。


 『セリア』は三十五メートル離して荷物を置くとその場からショックバレットを連射し始めた。その場に『ゲルハート』と私も荷物を置くとさらに走り込んで行った。


 私は二十メートル手前で真空刃ソニック・ブレードを首の数だけ飛ばした。


 流石に新調しただけあり威力も上がって首が数本切り落とされたが、再生するようであった。


「切り口を焼く!」というなり、「異界の炎フレイア!」を首を落とした場所に命中させた。


 すると途中まで伸びた首が再生せず中途半端な状態で止まったのである。


 ついでに「異界の手アナザーハンズ!」も追加しヒュドラの見えている方の左足を掴んで動け無くする。


 さらには「異界の足アナザー・フット!」でヒュドラの腹側から思いっきりヒュドラの腹を蹴り飛ばした。


 一瞬だがヒュドラがかなり浮き上がったのである。


 だが左足を掴まれているだけあってそこを軸にコケタのであった。


 商人が離れてくれた。


 『ゲルハート』はコケタヒュドラの柔らかい腹を狙って薙ぎ払いパワーヒットを仕掛けたようだった。


 見事にヒュドラの腹がさばかれる。


 ヒュドラが対象を『ゲルハート』に絞って起き上がろうとした時だった。


 「不死鳥の矢フェニックス・アロー」が十二本『セリア』が唱え残った首全てに命中して叩き折って序でに焼いたのであった。


 それを最後にヒュドラは力なくへたり込んだ。


 トドメとばかりに「異界の足!」で今度は頭の上から踏んづける足そのものが範囲攻撃なのでヒュドラが、腹側から内臓垂れ流して倒れ動かなくなった。


 カルネアデス城塞都市側から歓声の声が上がったのが聞こえた。


「お祭り騒ぎだなありゃあ」と『ウィーゼル』がいった。


「こっちもカルネアデス城塞都市側まで行こうぜ」と『ゲルハート』と私が『セリア』のところまで戻って荷物を担いだ。


 そして三人で『ウィーゼル』のところまで行き、「どこか怪我したところは無いか?」と聞いた。


「俺にはないぞ」と『ウィーゼル』が答えた。


「さっきの商人さん達も無事にカルトル側に逃げたのは確認した」と『ゲルハート』がいった。


「ここに出て来なければ、コイツとは喧嘩せずにすんだろうに」とヒュドラを見ながら『ウィーゼル』はいった。


「弱肉強食だから仕方ないわよ」と『セリア』はそういった。


「やらなければやられていた」と私もそういった。


 といって皆でその場を後にして、カルネアデス城塞都市の門の前まで行った。


 まだ門は閉じたままだった。


「まだいるのか?」と振り返る湖沼地帯から十数匹のヒュドラが湧き出ていた。


……


 パーティーアタックをしかけ一匹づつほふって行く。


 すでに数度仕掛けているだけあり、コンビネーションは完璧だった。


 『ウィーゼル』が囮になり首を束にする。


 『ゲルハート』は一撃でその束になった首を薙ぎ斬るのだ。


 それを私が「異界の炎で焼く」取り逃した首を『セリア』が「不死鳥の矢」で焼潰す。


 コレの繰り返しで、沸いたヒュドラは片付いた。


 今度こそカルネアデス側の大門が開いた。


 私たちは疲れた表情でカルネアデス城塞都市の大門をくぐり検問場で冒険者証を見せ、『ウィーゼル』が背中から出して「預かった文を届けに行く途中だパーティーで」といったため皆無事に問題なく国境の街を通過できた。


 そのまま駅馬車を運用している駅馬車協会まで行き次の街セルテトネまでの切符を二十ブロスで買いそして乗り込んで、その日のうちにセルテトネに向けで馬車は出発した。


 私の現額が、二十二プラナ百七十二ゴルト二十五シルズ六十ブロスとなったわけである。


 旅行財布の中身[0.702kg]

 十P×二[0.06kg]、一P×二[0.012kg]

 五十G×二[0.12kg]、十G×七[0.21kg]、一G×二[0.03kg]、

 五十S×一[0.05kg]、十S×二[0.07kg]、五S×二[0.05kg]、一S×五[0.10kg]


 旅行小銭入れの中身[0.12kg]

 五十B×零[0.00kg]、十B×六[0.12kg]、一B×零[0.00kg]、

 五十Ca×零[0.00kg]  貨幣全重量〇.八二二キログラム、


 体重を除く全備重量が六十五.七二二キログラムとなったのであった。


 それから三日後セルテトネまでこれたのであった。


 問題はそこからであった。


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