「じゃあな
「はいはい」
「き、気を付けて帰るのじゃぞ」
俺の家の庭先で、弥月さんの兄がレンタカーに乗り込む。
結局あの後―――
秘密協定が結ばれ、
その日の夕暮れ、鬼っ子と妹さんに見送られ……
東京へ帰っていった。
「では、アタイも帰るとするか。
しかし、人間、それも
長生きはするものよ」
そう言う鬼っ子の表情はまんざらでもなく……
どこか軽い足取りで山へとやや駆け足で姿を消し、
「では私どももこれで」
「長老にはこちらから伝えておきますので」
次いで、
後には私と裕子、銀と加奈さん、そして理奈と詩音が残され、
ようやく6人の日常が戻って来た。
「やれやれ、やっと落ち着いた」
「お疲れ様です、
少し遅れた夕食をみんなで食べながら、思わず今回の件について
感想が漏れる。
「でも意外と言えば意外だったべ。
あの主様が断らないとは」
「むしろ乗り気だったと思いますよ? 銀様。
あの様子では」
銀と加奈さんが隣り同士で語り合い、残った女性陣(一人男の娘)に
向かって、俺は今さらながらの質問をする。
「なあ、理奈、詩音。
主様って独身……なんだよな?」
すると二人は顔を見合わせ、
「まあ、知っている限りではねー」
「アタシたちはこ300年くらいの事しか知りませんが、
主様の
まあそもそも、
「それで弥月さん、お兄さんの方も今まで恋人とかは―――」
「そうですね、いなかったです。
一応、何度か告白みたいなのは受けた事があるそうですけど……
あーいうのが好みじゃ事案デスヨネー」
加奈さんがお味噌汁を口につけながら話す。
お互いフリーなら問題は起きないかな?
人外と人間という最大の問題からは目をそらし、俺は自分をそう納得させた。