「あ~……」
「お~……」
あれから早くも一時間が経過しようとしていたけど―――
これといった決定打は出て来なかった。
愛する人にしてあげられる事なら、何でもしてあげたいと思うのが当然。
私も部長ももう成人しているので、多少の差はあれど、たいていの事は
出来るだろう。
だけど彼女は自ずから身体的制限がつく。
「ま、まあでも……
体格差のある方が出来るプレイ? も多いですよね?」
「それにもともと主様は小柄でありますれば、命名により成長したところで
影響もほとんど無いのでは」
理奈さんと詩音さんが言葉を選びつつ鬼である主様に話すが、
彼女の表情は複雑だ。
確かにそこは究極の選択でもある。
私も銀様が望むのであれば、と思えるけど―――
そのために今の体形を捨てる決心が出来るだろうか。
そりゃ一方的にされるのが好きな人もいるにはいるだろうけど、
私としては愛し愛される関係でありたい。
「いっそ、
武田部長が解決策を提示してみるが、
「んなっ!? ななな、でもそれは……あうぅう~」
彼女は赤い顔をさらに真っ赤にさせて、慌てふためいて口ごもる。
うん。この子にドストレートに聞く事は多分無理だろう。
「でも条件としては、『地位がある』というのはクリア出来て
いますよね?」
「とすると後は―――
どこらへんまでが彼の許容範囲内なのか、という事になります」
人外である二人も、部長の案を推すように続ける。
そこで私は軽くため息をついた後、
「仕方ないですね……
ここはひとつ、兄貴と主様、お二人に覚悟を決めてもらいましょう」
私の言葉に、同室の4人の視線が集まり―――
「あ、アタイにもか!?」
当事者である鬼っ子に、私はうなずいて返した。