「ど、どうしても行かねばならぬか?」
「じ、自分もまだ早いと思うのだが」
鬼っ子と
3時間ほど後―――
ようやく一階に降りて来た彼女たちと食事を済ませると、
二階での話し合いで何が決まったのかを知らされた。
要約すると、鬼っ子の方は自分の貧相な体に自信が持てない。
今度はそれが彼の好みであるかどうかという不安がある。
それを思い切って琉絆空さんに告げたところ、
『どんな体形になっても貴女が好きです!!』と断言されたのだが、
女性陣としては、それが愛するゆえの妥協かどうかという話になり、
『もういっそ、一度試してみたらどうでしょうか』
と、裕子さんが投げやりになって言ったところ、それに
同意し―――
互いに好き合っているのならば、と、鬼っ子の住まうトレーラーハウスに
送り出す事にしたのである。
確かに一度肌を重ねてみればいい、というのは暴論ではあるが、
それでも一目惚れした状態での経験は思い出になるだろうし、
既成事実にもなるのだから、万が一体形が大きく変わっても関係に
ヒビが入る事は無いだろう。
問題はこうまで夜の生活がダダ漏れ過ぎる事だが……
女性陣が中心になって進めている事なので、あまり介入はしないでおこう。
「でもまあ、重要な事です。
いくら人間と体力や力が異なるとはいえ、出来る事と出来ない事が
ありますから」
「そういう確認でもあるんです。
それでもし無理でしたら、改めて名前を付ける―――
という事でいいでしょう」
俺と裕子さんが並んで語り、
「兄貴、ちゃんとリードしてあげてね。
女と付き合った事が無くても知識くらいあるでしょ」
「
彼の妹の言葉を、銀がたしなめる。
「では主様―――」
「ご武運を……!」
理奈と詩音が二人に話しかけ、それを最後に主様と
山に向かって去っていった。