「それで? やっぱり両親の説得は難しそう?」
「そうだな……
タイミングもそうだが、どう切り出したものか」
みんなでお昼を食べながら、雑談と情報共有を行う。
その中で
「お母さんの方から説得してみたら?
彼女を連れてくるっていう話なら、味方になってくれるんじゃ」
俺がそう提案してみると、
「それはちょっと甘い考えだよー、ミツ」
「女の同性チェックは、国家試験よりも厳しいですわよ」
理奈と裕子さんがすかさずツッコミを入れてくる。
ううむ、そういうものなのかと思っていると、
「まあそうよのう。
それに長男でもある事だし、見る目が厳しくなっても仕方ないか」
「あー……でも今はそういう時代じゃありませんよ?
えっと、
どちらが弥月一族を継ぐかとか、決まっているんでしょうか?」
鬼っ子の
そのまま兄妹に質問を向けると、
「戦力としては有力ですけど、そこまで一族内で上か下かは争って
いませんので」
「詩音さんの言う通り―――
長男としてのこだわりは、それほど無いと思います」
俺と裕子さんがその答えにうなずくと、
「じゃあ問題は、純粋に
どうかって事だべか」
「結婚相手としては、地位も器量も問題無しだと思います!」
加奈さんが宣言するように叫ぶ。
確かに彼女はこの辺り一帯の
普通の相手ならむしろ頭を下げて来てもらう女性だけど、
「問題はアタイが鬼、妖という事かぁ~……」
「そ、それは舞桜さんだけの責任じゃありません。
自分が妖を狩る一族だったばかりに」
主様がため息をつくと、隣りの彼氏がフォローに入る。
「ちなみに、弥月さんの一族は鬼と戦った事が?」
俺が一応その事について質問を投げてみると、
「無いとは断言出来ません。
ただ、鬼と戦うとなるとそれなりに被害が大きくなるはずですので、
あったとしても小競り合い、もしくは痛み分けで終わったのではないかと」
「まあ昔は昔で、こっちも何ていうか―――
人間離れした人もいたらしいので。
もし和解でもした記録があれば、今回のお
スムーズに進むかも知れません」
確かに、そんな過去があれば前例があると説得出来る。
「なるほど。では弥月さん一族の過去をまず調べた方が
良さそうですね。
出来る事なら、人外と組んだ……
理想を言えば妖と結ばれたケースがあれば、舞桜さんとの話は
大きく前進します!」
裕子さんが眼鏡をクイッ、と直しながら提案し、
「じゃあ、取り敢えずはその線でいきますか」
俺の言葉に人間・人外双方の全員がうなずき―――
方針が決定された。