「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様♪」
とある秋葉原のメイド喫茶で、アタシはいつも通り接客をこなしていると、
「きゃー♪ いたいた! 詩音お姉さまぁ♪」
「うわ、確かに
「……これは……何たる……
やたら元気な女子高生3人組がお店に入って来ました。
「ほらほらぁ♪ 見ましたか?
ショートの髪の細目の子が、他のツインテールとポニーテールの子に
ドヤ顔を決めます。
「お飲み物はいかがいたしましょうか」
営業スマイルを彼女たちに向けますと、
「あたしはミルクティーと何かスイーツいくわ!
午後に体育があってお腹ぺこぺこー」
「じゃあ私は―――」
と、そこで瑠奈と呼ばれた少女と目が合い、
「……? どうかなされましたか?」
アタシが首を傾げると、
「あっ、い、いえ。綺麗な人だなーって」
「おっ瑠奈ちゃん、もう詩音お姉さまのトリコですかい?」
「……気持ちは……わかる……」
他の二人がからかうように話す。仲が良いんだろうなあ、
と思ってますと、
「え、ええと―――
んっ、んん……ええと、男性、なんですよね?」
そこで水樹と一花、少女2人が彼女にチョップを入れました。
「何言ってんの水樹ー!!
急にタブー中のタブーに触れるんじゃないっ!!」
「……わかっていない……
……水樹ちゃんは……わかっていない……!!」
何がどうわかっていないのかはわかりませんが―――
他の女性客からも殺気がこもった視線が質問をしてきた彼女に
向けられているのがわかり、
アタシは裏声から低い男性の声に切り替えて、執事のように
片手を前に折ってお辞儀して、
「……ではこれでどうでしょうか、お嬢様方」
と、地声の方で話すと方々の女性客から、獣の
巻き起こり、
「でかした水樹ちゃーん!!」
「……この美声、永遠に記憶して再生する……!」
そしてあちこちから、
「こっち! こっちにもお願いしますー!!」
「詩音様あぁああ!! ぜひともこちらにも……!」
そしてアタシはそれからしばらく店内を回って、メイド姿で
執事のように挨拶する事になりました。