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第146話・顔合わせを終えて03


女子会が二階で行われている一方で―――


安武やすべ弥月みつき兄、そして川童かわこの銀は、

一階の居間で男同士で雑談していた。


「これで一応、琉絆空るきあさんと舞桜まおさんはご両親に

 公式に認められた事になりますが。


 この後、銀と加奈さんの仲を認めてもらう方向で動くんでしたっけ」


俺が確認のように話を振ると、


「ただまあ、母さんはすでにわかっていると思います。

 今回はあくまでも協力者としての紹介だけだったので、

 ひとまずはそこで話を終わらせたんでしょう」


中肉中背の青年が答え、


「加奈さんも似たような事を言ってたべ。


 ただ、お兄さんとの仲が認められたんで、今回はこれ以上

 話をこじらせないためにいったん帰ったんじゃないかと」


最初から見抜いていたっぽいもんなあ、あのお母さん。

だからこそ妖力ようりょく封じの腕輪も持ってきたんだろうけど。


それに息子だし、女親として用心するのも無理は無いか。


「じゃあまた時期を見て、という事になるのかな」


「正確には、弥月一族に戦力として舞桜さんが加わったと、

 全体に伝えられた後でしょう。


 多分明日には、メールや電話で連絡が行くんじゃないですかね」


琉絆空さんは普通のように異常な事を話す。


「反対や反発はありませんかね?」


「母はあれでも、一族の中では相当な実力者です。

 それに鬼が戦力として加わるとなったら、表立って反対する者は

 いないと思われます」


「正直、あのお母さん……

 本気出したら今のぬし様はともかく、覚醒前だったら多分

 互角以上に戦える気がするべよ」


褐色肌の青年がうなずきながら話すと、息子もまたうなずく。


「そういえば、銀と加奈さんの仲はその―――

 お兄さんとしては?

 当初は反対しに来ていたような」


そこがなし崩しになっていたので、確認の意味も込めて問うと、


「今の自分は、『お前が言うな』って状態ですし。

 それに舞桜さんもアイツの事を応援しているんで」


兄としては複雑だけど、恋人も認めている以上反対はしない、

という感じか。


そこまで話したところで、女性陣が下りて来て……

一通りこちらでも男女混ざって雑談に興じた後、


カップル組はそれぞれの場所へ―――

理奈と詩音は二階の寝室へと向かった。



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