「それでこっちに来たと……
まあメールでも大方の事情は聞いていましたから、緊急事態として
納得は出来ますけど」
俺の隣りで裕子さんが、眼鏡の眉間に人差し指をあてて話す。
ここは彼女のマンションであり、今回は金曜の夜から俺がお世話になって
いたのだが―――
いきなり詩音が女子高生3人を連れて来るとの事で、何事かと事情を
聞いていた。
そして妙な男にその3人が襲われそうになっていた事、それを助けるために
男を取り押さえたが、そいつが
やむを得ず正体を明かす羽目になった事などを説明され、
「まあ、口止めはしなけりゃいけないよなあ」
「言っても信じてもらえないかも知れませんけど、今回は変質者に
襲われたケースとして、警察が介入するかも」
俺と裕子さんは話しながら考え込む。
ちなみにその3人は別室で待機中で、保護者の方にはスマホでビデオ通話の
ようにして、裕子さん・詩音と一緒に写り……
住所と氏名を2人がちゃんと名乗った上で、
『酔っ払いに絡まれていたので、いったんアタシたちの家に来て頂きました』
『心配ならこちらまで車で迎えに来て頂くか、一泊した後に帰らせますので』
裕子さんはそこそこ知名度の高いゲーム会社の部長であり、
詩音はメイド喫茶の店員で男の娘ながらかなりの美人で、
どう見ても部屋は女性のそれだという事もあり、安心したのだろう。
今日は一泊してから帰らせてください、という事で許可は得た。
(もちろん俺はその時は写っていない)
「どの道、男の俺がこのままいるのはマズいよなあ」
「そうですね。住所は教えましたので、もしかしたらノーアポで
ご家族が迎えに来る可能性もありますし」
俺と裕子さんが顔を見合わせ、
「それにどうやってあの子たちに納得してもらうかですね―――
いえ、良い子たちだと思いますし、頼めば聞いてもらえると
思うんですけど」
さすがに落ち着いて
今の詩音に狐耳もしっぽも無い。
だがバッチリ
その事について避けては通れない問題だった。
「あの子たち、詩音さんによく
よく話し合ってもらうしか」
と、そこで裕子さんが話を止め、
「ちょっと待ってて」
そう言って3人が待機している部屋まで1人で行くと、すぐ戻って来て、
「じゃあ私と
後はあの子たちと詩音さんの話し合いで決めてね」
「え? 詩音とあの子たちだけで?」
そう聞き返すと彼女はそのまま俺の手を引っ張り、
「行きましょう、満浩さん」
そのまま俺は裕子さんに連行され、マンションを後にした。