「なあ、どうする?」
「何がだ?」
夜になり、例の調査に来た3人組は―――
旅館の一室で並んで布団に入りながら、天井を見上げていた。
「調査報告だよ。何て言えばいいのか……」
「見たままを言えばいいんじゃねーのか?」
「それであのジジイどもが納得してくれるかねえ?」
1人が口から、大きなため息と共に疑問を吐き出す。
「もう知ったこっちゃねーよ。
そもそもカップル組はすげー仲良さそうだったし」
「馬に蹴られるくらいなら、ジジイたちの小言の方がマシか」
「そもそも調査に来ただけだから、内容にケチつけられてもなー」
上層部のいないところで、彼らはのびのびと悪口を交わす。
「だが俺たちはいいとしてもよ。
お前のところの
「そーなんだよなあ……」
指摘された青年が、仰向けの体をうつ伏せにする。
「呼吸するようにアイツら、妖怪と会ったら即せん滅!
みたいな感じだからなあ」
「いや、実際俺みたいに若いヤツはそんな通り魔思考じゃねぇよ。
ただ親父の代から上はどうしてもなあ」
「はぁ……報告するの、気が重くなって来たぜ」
意気消沈する彼らは、誰からともなく上半身を起こし―――
「なあ、いっそあの鬼娘……
彼女だけにでもこっそり教えておかねぇか?」
「だが、まだ別に敵対すると決まったわけじゃない。
それで逆に鬼を刺激しちまったらどうする?」
「鬼との全面戦争になる可能性もある。
下手をすれば、情報を漏らした俺たちから、って事にも」
すると誰からともなく大きく息が吐かれ、
「うまく行かねぇなあ……」
その言葉に、他の2人も無言でうなずいた。
「なかなか難しい立場のようだにゃ」
「とかく浮世は生きづらいでござんすねぇ」
夜の旅館の中庭―――
そこにいたのは、
「何か同情します……」
さらに一つ目小僧もおり、彼らはそこで正確に情報を収集していた。
「取り敢えず
若い連中にゃ敵対する意図は無い事、また十六夜一族という
武闘派がいる事―――
そうザンバラ髪の青年が言うと、足元にいた狐たちがパッと散っていった。