〔※美嗣の回想〕
床に広がる赤い血は、まるで咲き誇る血の花のようだった。
その中心で、両手が赤く染まっている。
まるで、その花びらを握りしめているかのように。
ああ……私の心も、この血のように赤く染まってしまった。
ドクン、ドクン――心臓が悲鳴を上げる。
もう、何もかも終わりだ。
震える手で、私はナイフを握りしめた。
まるで、最後の希望を掴むかのように――。
そして、自分の首に突き立てようとした、その瞬間。
**「やめて……!」**
その声が、暗闇に閉ざされた私の心を照らした。
振り返ると、そこにいたのは――母だった。
母の顔は、苦痛に歪んでいた。
それでも、私を救おうとする優しい眼差しが、そこにはあった。
母は、私の手からナイフを奪い取ると――
迷うことなく、
**自身のお腹に突き刺した。**
**「お母さん……!!」**
悲鳴のような叫びが、喉から溢れ出す。
**ドサッ――**
鈍い音とともに、母が倒れた。
駆け寄ろうとするが、足が動かない。
まるで、何かに縛られているかのように。
両親が……死んだ……。
母のあっけない最期を目の当たりにし、
私はただ――立ち尽くすことしかできなかった。
***
※次回は現在の場面へと移ります。