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第78話 赤い血 ※美嗣の回想

〔※美嗣の回想〕


床に広がる赤い血は、まるで咲き誇る血の花のようだった。

その中心で、両手が赤く染まっている。

まるで、その花びらを握りしめているかのように。


ああ……私の心も、この血のように赤く染まってしまった。

ドクン、ドクン――心臓が悲鳴を上げる。


もう、何もかも終わりだ。

震える手で、私はナイフを握りしめた。

まるで、最後の希望を掴むかのように――。


そして、自分の首に突き立てようとした、その瞬間。


**「やめて……!」**


その声が、暗闇に閉ざされた私の心を照らした。


振り返ると、そこにいたのは――母だった。


母の顔は、苦痛に歪んでいた。

それでも、私を救おうとする優しい眼差しが、そこにはあった。


母は、私の手からナイフを奪い取ると――

迷うことなく、


**自身のお腹に突き刺した。**


**「お母さん……!!」**


悲鳴のような叫びが、喉から溢れ出す。


**ドサッ――**


鈍い音とともに、母が倒れた。


駆け寄ろうとするが、足が動かない。

まるで、何かに縛られているかのように。


両親が……死んだ……。


母のあっけない最期を目の当たりにし、

私はただ――立ち尽くすことしかできなかった。


***


※次回は現在の場面へと移ります。


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