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45.シリアルキラー

========== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。現在は休暇中。

久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。

芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。

花菱綾人・・・南部興信所所員。元阿倍野署刑事。

横山鞭撻・・・南部興信所署員。元大阪府警刑事。

指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

幸田仙太郎・・・南部興信所所員。総子のことを「お嬢」と呼ぶ。

倉持悦司・・・南部興信所所員。


=====================================


= EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


午後4時。大阪府池田市。池田市カルチャー広場という名の開館。会議室。

ここでは、陽明池田小学校同窓会が開かれていた。当時小学2年生だった生徒の内、11名が出席者だった。

「23年前の事件を覚えているか?」と、幹事として、やって来ていた船倉透が言った。

「23年前の事件?」と、皆、首を傾げた。

「男がやって来て、ナイフを振りかざして、僕らや1年生を傷つけ、死んだ人間も出た事件さ。」

皆は、思い出した。社会的に大きな問題になり、犯人は逮捕され、死刑になった。

本人は、ある事情で自棄になり、誰でもいいから殺してやりたいと思った、死刑になってもいいんだ、と言った。

マスコミは、その事情を暴くことに夢中になり、加害者である犯人に同情を仕向けるように報道をした。昨今の『加害者擁護』の風潮は既にあったのだ。

弁護士は、「心神耗弱」や「家庭の事情」による情状酌量を、減刑を求めたが、結局、本人の望み通り、死刑となった。被害者の数が多すぎ、何より本人が「心神耗弱」を否定したのであった。

皆は、追いかけ回された瞬間を思い出した。同級生が犠牲になったことを思い出した。

「実は、あの時、オジサンに『学校の隙』を教えたのは、僕だったんだ。いつか、オジサンの遺志を継ぐ約束をしてね。偶然じゃなかったんだ。今、生きてる君たちを殺めることは、当時は敵わなかった。だから、オジサンは『肩代わり』してくれた。ずっと、忘れていた。でも、思い出したんだよ、先日。23年ぶりに、約束を果たすんだ。」

透は、妙なナイフを懐から取りだした。そして、やたらと振り回し始めた。

皆は悲鳴を上げ、逃げ回った。約半数の5人が刺されて倒れた。

後の5人は、会場から逃げ出した。四散したため、透は、どこにも追いつかなかった。

はっと、気がついた透も逃げ出した。

午後7時。TVのニュース。

「陽明池田小学校同窓会に集まった10人の内、5人が重軽傷を負い、傷害事件を起こした船倉透容疑者は、今も逃走中の模様です。」

午後7時。被害を免れた5人の1人、浅井真三の家の近く。

所轄署の刑事と、EITOエンジェルズの祐子と悦子が張り込んでいる。

船倉が、追い掛けて来るかも知れないからだ。5人からは、船倉が何故か自分たちを恨んでいるようだ、と警察に被害届が出され、更に保護を求めて来たからだ。小柳警視正は、怨恨かも知れないが、複数の被害者が出たことで、テロ案件として、EITO大阪支部に応援を要請した。

「来ますかねえ。高飛びしたんじゃないの?」「どうでしょうねえ。」祐子と悦子は、所轄の刑事の返答に困った。

午後7時。被害を免れた5人の1人、真鍋じゅんこの家の近く。

浅井家と同じように、悦子と今日子が所轄の刑事と共に張付いていた。

午後7時。被害を免れた5人の1人、館山健二の家の近く。

浅井家と同じように、ぎんと真美が所轄の刑事と共に張付いていた。

午後7時。被害を免れた5人の1人、八木メイコの家の近く。

浅井家と同じように、稽古とあゆみが所轄の刑事と共に張付いていた。

午後7時。被害を免れた5人の1人、麻生九郎の家の近く。

浅井家と同じように、みゆきと真子が所轄の刑事と共に張付いていた。

午後7時。被害を免れた5人の1人、浜辺みなみの家の近く。

浅井家と同じように、ジュンといずみが所轄の刑事と共に張付いていた。

午後7時。オスプレイの中。

総子と小町は、『遊軍』として、モニタリングをしていた。

午後7時。池田市カルチャー広場。

表で、幸田と倉持が張り込んでいた。

逃げて、被害を免れたた5人の内、数人から、船倉が会館の人と「打ち合わせ」をして、その後、ナイフを出した、という証言をして、それを聞いた総子が張り込ませたのだ。

詰まり、総子は、船倉は、どこかに逃走したのではなく、『会館の人』に匿われている、と考えた。船倉が逃げた後、110番したのは、天知という、会館の男だった。

通報が届いた時の声は、極めて冷静だったことが、録音で判明していた。

小柳警視正も、コマンダーこと大前も賛成した。

会館の閉館時間は午後10時だが、もう動きがあった。

会館の人と船倉らしき人物が出てきた。

倉持は、幸田の命令で総子に連絡をした。

そして、出てきた2人は車に乗り込んだ。

幸田の車は、追跡を開始した。

午後7時45分。

幸田は、総子に連絡をした。「お嬢。真鍋さんの家の方向に向かってるぞ。」

「了解。集合する。」

午後7時45分。

「兄ちゃん。目当ては真鍋さんらしい。そちらに向かう。弥生。至急や。」

総子の言葉に、大前も弥生も「了解。」と応えた。

今日は、用賀が二美と休暇を取ったので、弥生がオスプレイのパイロットだ。

午後8時半。真鍋家の前。

船倉と天知が来た。「さあ、恨みを晴らすんだ。」天知の声に促され、船倉は動きだしたが、EITOエンジェルズ姿の悦子と今日子が行く手を阻んだ。

船倉は、銃を構えた。何故か銃の先にナイフが入っている。

以前、幸田達が関わった事件で使われた、ナイフを打ち出せる銃だ。

「そうは行くか!」という声と共に、ホバーバイクが飛んで来た。

ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』で、EITOが採用、改造して戦闘や運搬に使っているバイクである。

総子は、その銃目がけて、メダルカッターを投げた。メダルカッターとは、プロペラ状の刃が回転するメダルで、先端に痺れ薬が塗ってある。

そして、四方八方から、船倉と天知目がけて、シューターが投げられた。シューターとは、うろこ形の手裏剣で、やはり先端に痺れ薬が塗ってある。

2人は、身動き出来なくなって、その場に頽れた。

やがて、2人は警官隊に逮捕連行された・・・と思ったが、天知は毒を飲んだ。

吐き出させようとしたが、無駄だった。

「俺は、俺は・・・何をしていたんだ?」と、船倉が言ったが、小町は股間を蹴り上げた。

「な、何をする!」と思わず言った船倉に「こいつ、正気でっせ、チーフ。」と小町は言って笑った。

「猿芝居の下手な、シリアルキラーか。あんた、あの日、学校休んだらしいな。お母さんと校長先生の証言取ったで。観念しいや。」

総子が言うと、ジュンたちが、船倉の股間を見つめた。

「正直なとこもあるんやな。」と小町は笑い、皆も釣られて笑った。

午後10時。総子のマンション。

おにぎりとラーメンを頬張りながら、総子は「まさかシリアルキラーとはな。昔、振られた真鍋だけでなく、皆殺しにする積もりやったらしい。花ヤンも横ヤンもようやってくれた。あんた、ボーナス、弾んでやって。」と言った。

「しっかりした社長夫人やな。それで、例のナイフガンは?明日、用賀君が東京に運ぶ。宅配便は無理やろうし。」

「ところで、何で用賀君と二美さんは休暇やねん。」「子作り休暇。」

「え?」「焼けぼっくいに火が点いた。大前の兄ちゃんに、正式に結婚する時は仲人してくれって、言って、今日は休み。」

「呆れた。」「呆れるやろ?」「兄ちゃんは、総子も大概呆れるやつやん。」って言ってた。

「そらあ、否定出来んワなあ。」

「あんた、ドリンク剤、まだあるで。」

南部は、雄カマキリの気持ちが分かる気がした。

―完―



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