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81.五十音順

========= この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

南部[江角]総子(ふさこ)・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

南部寅次郎・・・総子の夫。南部興信所所長。

大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。走るのが速い。

北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった(EITOガーディアンズ)。

本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。

大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

用賀[芦屋]二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。

小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。EITOガーディアンズ。

真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

今奈良リン・・・大阪府警巡査。EITO大阪支部に出向になった。

佐々一郎・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部補。

=====================================

= EITOとは、EmergencyInformation Against Terrorism Organizationを指す =

※山に囲まれているから誤解されがちですが、大阪府には、山の無い「市」も存在します。Google検索で出てくる「答」は間違いです。

※犬鳴山は、大阪府泉佐野市大木犬鳴の犬鳴川渓谷を中心として、そこへ流れ込む燈明ヶ岳等の山域全体の総称。「犬鳴山」という名称の山があるわけではない。

※太陽光発電プラント(メガソーラー)

東日本大震災の原発事故を契機に、再生可能な自然エネルギーを活かした発電システム構築など、「新エネルギー政策」の必要性が高まっているとして、大阪府はメガソーラー事業をしている。渚水みらいセンター(枚方市)、中央水みらいセンター(茨木市)、大井水みらいセンター(藤井寺市)、北部水みらいセンター(仙北郡忠岡町)、狭山水みらいセンター(大阪狭山市)、中部水みらいセンター(貝塚市)、南部水みらいセンター(泉南市)が既に起動している。

※放火予備罪とは、現住建造物等放火罪または他人所有の非現住建造物等放火罪を犯す目的で、その予備行為をする犯罪です。刑法113条に規定されているものです。

午前9時。EITO大阪支部。会議室。

マルチディスプレイに、小柳警視正が苦々しい顔で映っていた。

「『赤〇派』の生き残りの爺さんが、『見知らぬ仲間』がいる、と言い出した。昨日、池田市の山林で不審火があったんだが、そのニュースを知ってから、だ。で、府警にメールが届いた。リバース‐プレーからの。ヘレン君。送った資料から、メールを画面に出してくれ。」

間もなく、マルチディスプレイにメールの内容が映し出された。

『大阪って、大阪市だけじゃないんだね。順番に、炎上するのも悪くないかな。リバース・プレー』

「ふざけやがって。」と、第一声を放ったのは、小町だった。

「神代。下品だぞ。私も、さっき言った台詞だが。大前君、『順番』をどう考えるかね?炎上をどう考えるかね?」

「この場合は、SNSの『炎上』、詰まり、『非難が多い』の意味じゃ無くて、文字通り火事のことに違いないわ。」と二美が言った。

「順番、ってまさか、各市に放火して回るとかいう意味かな?いろは順でもアルファベット順でもないな。五十音だと・・・。」

画面に五十音の市の名前が並んだ。

50音順一覧                                 

《      あ           行 》     池田市、 泉大津市、 泉佐野市、 和泉市、 茨木市、 大阪狭山市、 大阪市                                  

《      か           行 》     貝塚市、 柏原市、 交野市、 門真市、 河南町、 河内長野市、 岸和田市、熊取町                                         

《      さ           行 》     堺市、 四條畷市、 島本町、 吹田市、 摂津市、 泉南市

《      た           行 》     太子町、 大東市、 高石市、 高槻市、 田尻町、 忠岡町、 千早赤阪村、 豊中市、豊能町、富田林市                           

《      な           行 》     寝屋川市、 能勢町                                       

《      は           行 》     羽曳野市、 阪南市、 東大阪市、 枚方市、 藤井寺市             

《      ま           行 》     松原市、 岬町、 箕面市、 守口市                             

《      や           行 》     八尾市

「ざっと、調べたら、こういう五十音順。メールの内容から推し量ったら、恐らく自治体から『町』や『村』は外していいと思う。すると、34市になる。でもね、府の周囲が山に囲まれているから誤解されがちだけど、摂津市、守口市、門真市、泉大津市には山がないの。少なくとも山火事は起きないわね。」と、画面の向こうの一美が言った。

「一美ネエ。ありがとうな。」と、総子が拝んだ。

「取り敢えず、泉佐野市が危ないな。それと、和泉市。1日1件とは言っていないし。総子。二手に分かれて、出来るだけ阻止するんや。間に合わんかったら、地元消防の手伝い。用賀君、二美。ウォーターガンとフリーズガンをホバーバイクに装備してくれ。小柳警視正。いざと言うときはMAITOの出動要請を頼みます。あ。地元の警察・消防への連絡もお願いします。」

大前の言葉に、小柳警視正は即答した。「了解した。」

ホバーバイクとは、民間会社が開発した『宙に浮くバイク』のことで、EITOが採用、改造して戦闘または運搬に使用している。

ウォーターガンとは、文字通り水を発射し、近くに消火栓があれば、それを水源にして発射出来る。発射してグミ状になるタイプもある。

フリーズガンとは、文字通り、圧縮冷凍する銃である。

EITOエンジェルズが携帯するタイプとホバーバイク用のタイプがある。

午前11時。犬鳴山総門。『大護摩場』看板前。

10人の高齢者登山客が、何やら準備をしている。

私服(登山服)の総子、小町、祐子、今日子、美智子、真子は、犬鳴山不動尊駐車場から、不審な登山グループを発見、尾行してきた。

30分後。彼らが火を放つ寸前、総子はメダルカッターをリーダー格と思しき男の耳に放った。

メダルカッターとは、以前、総子が闘いの際に投げていたメダルに似せてEITOが開発した武器で、中央部分を押すと、プロペラ状の刃が飛び出る。メダルカッターは威嚇用ではあるが、先端にしびれ薬が塗ってある。

今回の場合は回収しないが、通常は闘いの後、シューター同様、回収する。シューターとは、うろこ形の手裏剣で、やはりしびれ薬を塗ってある。

EITOは自衛隊でも警察でもない。ましてや軍隊でもない。

飽くまでも、民間の「対テロリスト集団」だ。

「平和」を維持する為に警察、時によっては消防に協力する。

「私人逮捕」は出来ても、後は警察の仕事だ。

「オッチャン。バーベキューすんのやったら、もっと上の方やで。」と総子はにっこり笑って言った。

「なんっふぁとおお!!」

そのリーダーの声をキッカケに、小町が広めた格闘術で総子達は全員「私人逮捕」した。

格闘術、とは言っても、狭い山道が多いので、彼らの股間を蹴って蹲らせただけなのだが。総子の合図で、全員「指手錠」をした。

「指手錠」とは、両手を後ろに回し、両手指をヘアゴムで縛る術で、総子の従姉である大文字伝子が伝授した技である。

「お前ら、EITOエンジェルズか。素顔晒してもいいのか?」

「大阪府警の神代です。今回、緊急なので民間のグループに協力して貰いましたが、何か問題でも?放火は立派な犯罪です。黙秘権のことはご存じですね?」

総子は、小町が話している隙に、オスプレイにイヤリングを弄って合図を送った。

EITOエンジェルズは、ユニフォームでも私服でも使えるように開発されたイヤリング型通信機を身に着けている。

午前11時半。和泉市。槙尾山口近くの喫茶レストラン。

ある登山グループから少し離れた所に、ぎん、ジュン、悦子、真美、稽古、あゆみ、みゆき、リン、そして、佐々刑事が登山服で寛いでいた。

リンが、トイレに行く振りをして、登山グループの近くに行き、Linenで二美のスマホにテレビ電話をしていた。

二美は、Linenで録音をした。

午後1時半。

登山グループが店を出ると、パトカーが数台駐まっていた。

佐々刑事とリン、そして、駆けつけた和泉市の警察官達が登山グループのメンバーに手錠をかけた。

「放火予備罪で、緊急逮捕します。」グループのメンバーは皆無言だった。

パトカーが去ると、いずみ、弥生がジュン達に合流した。

「私達は出番無しね。山の中じゃ、動きづらいしなあ。」と弥生が言った。

「用賀さん達も、出番無かったらしいわ。コマンダーが帰って来いって。」と、いずみが言った。

午後3時。

テレビで臨時ニュースが流れた。

ほぼ同じ時刻に、泉佐野市と和泉市で放火があり、登山客の通報で迅速に消火され、死傷者はない、という内容だった。

これは、小柳警視正が吉本知事の許可を得て流したフェイクニュースだった。

翌日、事実誤認のニュースだった、というニュースを流す予定だ。

午後7時。大阪市平野区。長吉長原のマンション。

「MHKの集金でーす。」インターホン越しに確認した住人が、玄関扉を開けて出てきた。

いきなり、横から住人に真壁が手錠をかけた。

「ああ。大丈夫よ。子分の後片付けは、今やってるから。」と、一美が言った。

その頃、マンションの駐車場。

「素手カア、愛想無いなあ。」と、マンションに向かう男達に声がかかった。

「何?何モンや。」

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ。満を持して。」

男達は、本能的に戦闘体制に入ったが、突っ張り棒を駆使したEITOエンジェルズには、『晩飯前』のことだった。

リンが、長波ホイッスルを吹いた。

長波ホイッスルとは、犬笛に似たサイレントホイッスルで、EITOのオスプレイを通じて警察に連絡する、「作戦終了」の合図をする笛である。

午後9時。総子のマンション。

遅い夕食を総子と南部は、まるで新婚夫婦のようにとっていた。

「今日な。」「うん。襲われ記念日やねん。」

「襲われ記念日?」「夜這い記念日やろ。」

「後悔してるんか、寅次郎。」

「してる。こんなエエ嫁来るんやったら、もっと貯金しといたら良かった。」

「マジで?」「冗談。ああ。小柳さんから連絡あってな。あの新明解会は、この間の兵庫県の事件で、『元赤〇派』は使える、と思って東京から、あの集団のリーダーの神屋晃を呼んで、犯行の『パシリ』やらせたらしい。ChotGPTも真っ青やな。」

「何で、山火事に?」「それがな。『義侠心』やて言うてるらしい。東日本大震災の時、昔の仲間がようさん死んだらしい。で、今、各地で山火事起きてるやろ?」

「うん。」

「長崎県、広島県、岡山県、愛媛県、宮城県、茨城県、兵庫県の山火事は皆、メガソーラーが原因らしい。太陽光発電プラント(メガソーラー)は、東日本大震災の原発事故をの後、大阪府はメガソーラー事業をしている。渚水みらいセンター、中央水みらいセンター、大井水みらいセンター、北部水みらいセンター、狭山水みらいセンター、中部水みらいセンター、南部水みらいセンターが既に起動しているんやが、神屋は知らんかったらしい。これらは、山に設置してない。でも、危険と言えば危険や。『メガソーラーを設置するのは、自治体のエゴに過ぎない』という思想で山火事起こそうとした。ピエロやな。クラウンか。あの反社は、ダークレインボウの組織の一部かも知れんリバース・プレーの名前を利用して、大阪府を脅す積もりやったらしい。神屋らは、特殊詐欺の『受け子』やな。悪い奴の上には、もっと悪い奴がいる、ちゅう訳や。」

南部は、話している内に、股間に違和感を覚えた。

反社の上を行く『悪い奴』が、南部を『ハニトラ』にかけようとしていた。

「やっぱり、男は弱い動物や。」

南部は声に出さず呟いた。

―完―

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